卒業旅行-2

そしてホテルの部屋でちょっとだけフォーマルな服に着替えて、ホテルの車で披露パーティーのあるレストランに向かった。車はパリの街を抜け、30分ほどで会場の前に着いた。
定休日のレストランを借り切ってパーティーは行われるようだった。入り口に行くと、満面の笑みをたたえたルイスが結婚相手と腕を組んで来客を出迎えていた。二人とも礼服を着ているので、新郎が二人いる披露パーティーだった。

俊顕くん「ルイス、結婚おめでとう。」
ルイス「俊顕、ありがとう。それから、聡一、来てくれて本当にうれしいよ。ジュンもありがとうね、マリアももうすぐ来ると思う。」
俊顕くん「相手を紹介してよ。」
ルイス「そうだね、こっちが俺のパートナーのポール。」
ポール「日本からわざわざ参加してくださってありがとうございます。ゆっくりと楽しんでいってください。」

ルイスが南欧的なちょっとエキゾチックなイケメンであるのに対して、ポールはいかにもフランスのイケメンと言う感じだった。タイプの違う二人の超イケメンが礼服を着て並んでいると、映画の中の一シーンを見ているようだった。

ルイス「今日はみんな楽しんでいってね。カーニヴァルの出し物もあるからね、聡一も積極的に参加してよね。」
ポール「ジュンと聡一って本当に本物の親子なんですか?」
ルイス「そうだよ、どうして?」
ポール「だって、聡一って20歳代でしょ。ジュンは十代みたいだけど、それにしても聡一は親としては若すぎる。」
ルイス「ジュンはオレと同い年だからね。」
ポール「東洋人の年齢はわからない・・・」
ルイス「ポール、まさかジュンが大人とわかって、後で口説こうと思ったりしなかったよね?」
ポール「そんなことしないよ、ぼくの目に入るのはルイスしかいないからね。」
ルイス「ったく、口先男が・・・」

パーティーにはドラッグクィーンのような人も少しはいたけれど、それ以外はごく普通の人たちが参加していた。ただ異様に男の比率が多いのがちょっと他のパーティーと違ったところなのだろう。それから参加者のほとんどが上手いヘタはあるにしろ、英語がよくしゃべれることだった。

俊顕くんは水を得た魚のように、いろんな人と話しをして活躍していた。ジュンは遅れてやってきたマリアと仲良くしゃべっていた。
私も新郎の片割れの知り合いということで、いろんな人が話しかけてきてくれた。いろんな人と話しているうちに、今回のパーティーは異様にイケメン率が高いことに遅まきながら気がついた。俊顕くんが舞い上がってしまったのはこのせいなのだと、いまさらながら気がついたのだった。

パーティーが進んだ頃、ルイスがひとりで私のところにやってきた。

ルイス「聡一、退屈してない?」
私「だいじょうぶだよ、ルイス。でもルイスが幸せそうで良かった・・・」
ルイス「ありがとう、聡一・・・」
私「私はルイスを幸せにすることができなかったからね、それが気になってたんだ。」
ルイス「俺は聡一と少しでもいっしょにいられただけで、幸せだったよ。」
私「それならいいけど・・・」
ルイス「聡一、俺は幸せを手に入れたから、聡一も幸せになってね。」
私「ああ、がんばるよ。」
ルイス「今年中にまたポールと日本に行く予定だけど、また会ってくれる?」
私「もちろんだよ。」
ルイス「今日は聡一をお持ち帰りしたいけど、相方の監視が厳しいからなあ。」
私「こらこら、ルイスの結婚披露だろうが、そんなところで何を言うんだよ。」
ルイス「そうだね、聡一はいつも大人だ・・・」

そこにポールがやってきた。

ポール「やあ、聡一、俺の大切な相方と名にしゃべってた?」
私「ルイスとポールが正式に結婚できてうらやましいなって・・・」
ルイス「日本ではまだ同性結婚が認められてないんだよ。」
ポール「そうなんだ、でも聡一にも決まった相手はいるんだろう?」
私「いるよ。」
ルイス「聡一の相手ってどんなひと?」
私「写真見る?」

私は持っていた携帯の画面にヒロの写真を表示した。
私「これだよ。」
ルイス「キュートだね。」
ポール「十代じゃないよな・・・」
私「もうすぐ30歳だよ。」
ポール「ひゅう~、、日本人の年齢はわからない・・・」
ルイス「何してる人?」
私「いちおうピアニスト・・・」
ルイス「そういえば、ジュンもピアノうまかったよね。そうだ、聡一、ジュンといっしょになんかオレたちのために弾いて。」
私「ヴァイオリンがないよ。」
ルイス「たぶんどっかのオーケストラのヴァイオリン弾きが来てるはずだから、ヴァイオリンは見つかると思うよ。」
ポール「ぼくたちのために弾いてくれるとすごいうれしいなあ。」
私「じゃあ結婚のお祝いということで、フランクのヴァイオリンソナタの第四楽章を弾こうかな。これならすでにジュンと他で弾いたことあるから、ぶっつけでもまあだいじょうぶ。」
俊顕くん「ジュンと聡一さん、ずるいなあ、俺も弾きたいのに。」
ルイス「じゃあ、俊顕はソロでなんか弾いてよ。」

そういうわけで、ミニコンサートが始まった。まずは俊顕くんがルイスと同郷の作曲家グラナドスのオリエンタルを弾いた。これがいっきに聞いている人たちのハートを鷲づかみにするようないい演奏だった。その後、ジュンと私は、ルイスの結婚祝いとして、ヴァイオリンソナタを第四楽章だけだったけれど、心を込めて弾いた。

ルイス「俊顕、ジュン、それから聡一、ホントありがとう。」
ポール「みんなプロじゃないのに、すごい演奏だった。本当にありがとうございました。」

そしてパーティーは果てしなく続いていくようだったが、あまり長居をするのもいけないので、ジュンと私は適当なところで失礼することにした。

私「じゃあ、私たちは先に失礼するよ。」
ルイス「聡一、ジュン、ホントにホントに来てくれてありがとう、すげえうれしかった。」
俊顕くん「俺は、もう少しここにいるから。」
ルイス「はいはい、俊顕にはいい男を紹介してあげるよ。」
私「やれやれ、マジで男漁りなのか。」
俊顕くん「少し発散しないと、ジュンを襲っちゃいますよ、聡一さんでもいいから、襲っちゃうかもしれない。」
私「ばあか、しょうがないヤツだ。」
ジュン「じゃあ、俊顕、オレととうさんはホテルに戻るからね。」
私「じゃあ、今夜俊顕がホテルに戻ってこない時は、いい男にめぐり合えたってことだな。」
俊顕「ジュン、ゴメンね、今夜は俺、帰らないかもしれないけど・・・」
ジュン「じゃあ、俊顕、がんばって・・・」

私たちは呼んでもらったタクシーに乗って、レストランの近くの駅まで行き、そこからは地下鉄に乗ってホテルまで帰った。夕食時間だったが、パーティーで食べ過ぎたので、夕食はとても食べられそうにはなかった。

部屋で少し休んでから、私たちは腹ごなしに散歩に出かけた。ぶらぶらと20分ほど歩いていると、古いほうのオペラ座に着いた。立派な建物を一周してから、私たちは有名なカフェに入った。私たちは通りの良く見える席に座って、赤のグラスワインを一杯ずつゆっくりと飲んだ。

私「こうやってパリのカフェでジュンと二人でワインを飲める日が来るとはなあ・・・」
ジュン「なんかこのワインもおいしく感じられるね。」
私「ジュンとこうやって旅行できるのも、これが最後だからなあ・・・」
ジュン「まあ学生最後だけど、オレが社会人になってもまたなにかの機会にとうさんと旅行できるんじゃないかな。」
私「でも、将来結婚したら、ジュンはお嫁さんのほうを優先しなきゃなんないんだからな。」
ジュン「まあそうだけど、オレと○○さんとはあんまりべたべたした関係にはならないと思うんだけど・・・」
私「とにかくとうさんみたいに、結婚生活破綻させないでほしい。 ジュンには母親をあたえられなかったわけだから・・・」
ジュン「別にオレはとうさんがいてくれたから、それでじゅうぶん・・・」
私「ジュン・・・」
ジュン「もう、この話はやめよう。」
私「そうだね。」
ジュン「明日は、午前中は観光できるんだよね?」
私「ユーロスターに乗るのは午後だから、午前は全部観光できるよ。」
ジュン「じゃあ、とりあえず凱旋門に登りたい。」
私「いいよ、まあ明日の天気しだいだけどね。」

私たちは二杯ずつ赤ワインを飲んでから、カフェを後にして、ホテルに戻った。
夜遅くなっても俊顕くんはホテルに戻ってこなかった。いい相手が見つかったのだろう。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親 ゲイ

comment

管理者にだけメッセージを送る

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: いつも楽しみにしています~

なる。さま

結婚式の方は参加していなくて、その後に行われたお祝いのパーティーに出ました。偶然今回の旅行の日程と重なったので、出ることができてよかったです。
卒業旅行のアップが終わったらい、ヒロの話を予定しています。もうしばらくお待ちください。
プロフィール

悩む父親

Author:悩む父親
FC2ブログへようこそ!

最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
カレンダー
07 | 2019/08 | 09
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
FC2カウンター
カテゴリー
メールフォーム
何でもけっこうですので、メールをくださると嬉しいです。

名前:
メール:
件名:
本文:

最近のトラックバック
ブログ内検索
リンク
QRコード
QRコード