ヒロが温泉に連れて行ってくれた

20年以上いっしょに住んでいたジュンがいなくなって、すぐにはその実感がわかなかったのだた、やはり時が過ぎるとじわじわと欠落感が大きくなってきていた。
ヒロがそれとなく気を使ってくれているのはよくわかっていた。だからあんまり落ち込んだ様子をヒロの前ですることができなかった。
10月の連休にヒロが温泉に誘ってくれた。那須の方の以前に一度行ったことのあるホテルをすでに予約しているらしい。
ホテルのコテージでゆっくりとヒロと二人で過ごすのも悪くないかもしれないと思い、私は行く決心をした。

連休最初の日、ヒロの車で私たちは東京を出発した。朝早いのに高速はけっこう混んでいた。
途中のSAでとりあえず朝食をとり、途中で観光をしながら、ホテルのチェックイン時間の少し前に到着した。
フロントに入ると、ちょうどチェックイン時間になったので、とりあえずチェックインを済ませて、私たちは部屋に行った。緑の多い通路を通って部屋に入ると、部屋の中は静まりかえっていた。
部屋の外にはテラスがありその向こうは自然な森になっていた。

私「相変わらずここは静かだね。」
ヒロ「やっぱ隠れ家って感じするよね。空気も澄んでるし。」
私「なんかちょっとだけ昼寝したい気分だね。」
ヒロ「じゃあ、一時間くらい昼寝しようか。」
私「そうだね、がっつり寝たら起きれなくなりそうだから、一時間くらいがちょうどいい。」

私たちは上に来ていたものを脱いで下着姿でベッドに横になった。

私「なんか気分が落ち着くね。」
ヒロ「聡一、最近夜あんまりよく眠れないんだろう。」
私「わかってたんだ。」
ヒロ「そりゃあそのくらいわかるさ。」
私「でも心配しなくていいよ、全然眠れてないわけじゃないから・・・」
ヒロ「とにかく、昼寝できそうならいいね。」
私「じゃあ、ちょっと寝よう。」

私たちは向き合って寝ていた。ヒロがさりげなく手で私を抱き寄せてくれていた。
私は安心して、すぐに眠っていた。

一時間半ほど寝て、私は気落ち良く目覚めることができた。ベッドの隣は空になっていた。
私は上半身を起こしてヒロを探した。ヒロはテラスの椅子に座って何か本のようなものを読んでいた。
私は服を着てテラスに出ていった。

私「ヒロ、先に起きてたんだ。」
ヒロ「30分くらい前に目が覚めた。聡一は気持ちよさそうに寝てたから、起こさなかったけど。」
私「よく眠れたよ、すっきりした。」
ヒロ「露天風呂に行こうか?」
私「ああ、気持ちよさそうだな。」

私たちは部屋を出て、ホテルの広い敷地を歩いて露天風呂に行った。
夕方だったせいなのか、中には一人しかいなかった。
私たちは露天風呂に並んで入った。

ヒロ「ううっ、温泉は効くぜ。」
私「なんか体の芯にまで染み渡る感じだね。」
ヒロ「からだだけじゃなくて、聡一は心も癒されるといいね。」
私「ああ、ヒロ、ありがと。気分いいよ。」
ヒロ「ここには連泊するから、温泉満喫できるからね。」

私たちはだんだんと暗くなっていく空を眺めながら、ゆっくりとお湯に浸っていた。

ヒロ「温泉から出たら、夕食だからね。」
私「なにが食べられるんだろう?」
ヒロ「今日は和食を選んでるんだけど、聡一はそれでいい?」
私「和食か、楽しみだ。」
ヒロ「で、明日の夜はフレンチだから。」
私「そっちも楽しみだね。」

ゆっくりと温泉を楽しんだ後、私たちは一度部屋に戻り、少しだけパリッとした服に着替えて、夕食を食べに行った。和食のほうは食べる人が少ないのか空いていた。
夕食はコースになっていて、会席料理の順でいろんな料理がつぎつぎと出てきた。
おいしい日本酒を飲みながらの会席料理はとても楽しいひとときだった。

ゆっくりと食事を楽しんだ後、一度部屋に戻った。テラスに座っていると風が心地よかった。
しばらく休んだ後、私たちは今度は屋内の温泉に入ることにした。
森の中の通路を通っていくと、温泉のある建物に着いた。
寝る前だったので、それほど長居しないで、私たちは部屋に戻った。

部屋に戻ると、かなり時間も遅くなっていたので、私たちはベッドに入った。

私「ヒロ、ありがとね、すげえ癒された。」
ヒロ「ならよかった。」
私「なんか眠い、もう寝ていい?」
ヒロ「眠そうだね、いいよねても。本来ならしなきゃならないことがあるんだけど、今はいい。」
私「ヒロも眠いんだろう?」
ヒロ「まあね。聡一、おやすみ。」
私「おやすみ・・・」

最近では珍しく私は自然に眠りに引き込まれていった。

翌朝、私は早くに目を覚ました。久しぶりにぐっすりと寝れれたのか、気分のいい目覚めだった。
隣ではヒロが気持ちよさそうに寝ていた。寝ている間によだれを流したのか、口の端から白い線が下にあった。私は手でその白い線をぬぐって取った。
その刺激でヒロが目を覚ました。

ヒロ「ふわああ、聡一、おはよう。」
私「よく寝てたね。」
ヒロ「聡一、俺の口のあたり触ってた?」
私「ああ、ちょっとね。」
ヒロ「げっ、すげえ朝勃ちしてる、痛いくらい。」
私「ほら、トイレに行っておいで。」
ヒロ「もう、なんか色っぽくないなあ・・・」
私「トイレに行けばすぐに収まる。」
ヒロ「なんだ、聡一も勃ってるじゃん。」
私「朝は男ならだれでもこうなる。」
ヒロ「なんかしたくなってきちゃった。」
私「これは生理現象で、あっちの方じゃないんだけどね。」
ヒロ「ううう、尿意が・・・」
私「先にトイレに行っておいで。」
ヒロ「しょうがねえなあ。」

ヒロが先にトイレに行き、私も続いて行って用をすませた。

ヒロ「まだ早いじゃん、もう少し寝ようよ。」
私「いいよ、朝食まで寝よう。」
ヒロ「今朝はビュッフェにしたから、少し遅くなってもだいじょうぶ。」
私「でも朝食前に温泉に入れるくらいに起きようね。」
ヒロ「うん、それでいいよ。」

私たちは気持のいい朝の二度寝を十分に楽しんだ。
そして9時頃には起きて、露天風呂に朝ぶろに入りに行った。
それからレストランでビュッフェの朝食を楽しんだ。

私「この時間にこんなに食べたら、昼食えないね。」
ヒロ「ホント、調子に乗って食いすぎた。」
私「とりあえず部屋に帰ろうか。」
ヒロ「うん、その後、ちょっとサロンのピアノを借りて弾きたいな。」
私「じゃあフロントに行って、弾く許可を取ろう。」

一度部屋に戻り少し休んでから、私たちはピアノのあるサロンに行った。

ヒロ「聡一、何ききたい?」
私「まずはモーツアルトかな。」
ヒロ「じゃあ、c-durのソナタ。」

ヒロはモーツアルトが20歳くらいのころに作曲したはつらつとしたソナタを弾き始めた。
15分ほどのソナタがあっという間に終わっていた。

私「いいね、このソナタ、第一楽章の展開部がすげえ好きだな。」
ヒロ「ああ、そのあたりは弾いててもグッとくる。ただ二楽章三楽章は、一楽章に比べるとちょっと軽いけどね。」
私「ヒロの演奏、すんげえ良かった。」
ヒロ「次は何がいい?」
私「シューマンはどうなかな?」
ヒロ「いいよ、最近弾いた曲ならすぐに弾ける。」
私「何弾いた?」
ヒロ「クライスレリアーナ。」
私「それ好き。」

今度のシューマンの曲は、30分くらいかかる。私はシューマンの中に引き込まれていた。

私「なんかシューマンの音の諧調が微妙なのにすげえ訴えかけてきた。」
ヒロ「やっぱ、聡一はわかってくれたね。普通のコンサートだともっとメリハリを出して、わかりやすい演奏をすることが多いけどね。」
私「このピアノでよくあれだけ繊細な音が出せたね。」
ヒロ「聡一に俺のホントのピアノを聴かせたかった。」

ヒロとのふたりだけのミニコンサートを終えて、私たちはとりあえず部屋に戻った。

ヒロ「これからちょっと外に出ようか、まだお腹はすいてないけど、お茶くらいはしにいかない?」
私「そうだね、ホテルだけじゃつまらないしね。」
ヒロ「ちょっと離れてるけど、車で行けばいいから、外で食べよう。」

私たちは車で、すこし走って、コーヒーがおいしいとホテルのスタッフが教えてくれた店に私たちは行った。
すっきりと抜けるようにおいしいコーヒーをだった。豆、煎り方、そして水、淹れ方、すべてに気を使ったいいコーヒーだった。
高原の済んだ空気の中で美味しいコーヒーをゆっくりと飲んでいると、かなりこころが休まった。

その後、高原をドライブして景色を楽しんだ。高原の上の方は寒いくらいの気温だった。

ホテルに戻って、また露天風呂にゆったりと浸かって、部屋に戻った。温泉で温まった後の冷たいビールはひときわおいしかった。
夕食はフレンチレストランでコース料理だった。

私「それにしても落ち着いた雰囲気だね。」
ヒロ「聡一が気に入ってよかったよ。」
私「このレストランでの夕食付だと、けっこう高いだろう?」
ヒロ「だいじょうぶ、たまにはこういうところで俺ものんびりしたかったからね。」
私「しかし、何品でてくるんだ?」
ヒロ「まずアミューズでしょ、それからオードブルでしょ、それからメインは魚の皿、次が肉の皿、それからデザートだね。さらに足りない場合はデザートの前にチーズも頼める。」

私たちはまずは白ワインを頼んで、アミューズから食べ始めた。そして魚の皿が出てきたときに、別の白ワインを頼んで飲んだ。そして肉には赤ワインを頼んで飲んだ。
魚と肉でお腹がいっぱいになったが、デザートは不思議と食べられるもので、私たちはすっきりとした味のクレームブリュレを食べて、食事を終えた。

部屋に戻ってお腹が落ち着くのを待ってから、私たちはまたライトアップされた森を歩いて露天風呂に行って入った。
照明を少し落とした露天風呂はすごくいい雰囲気だった。

私「それにしても何度入ったんだろう、温泉。」
ヒロ「数えてないよ、まあけっこう入ってるけどね。」
私「ホント、来てよかったよ、すごく癒された・・・」
ヒロ「やっぱ温泉はいいよね、聡一が喜んでくれてよかった。」
私「11月には俊顕にまた別荘に誘われてるんだけど・・・」
ヒロ「うわあ、文化の日がらみだと俺はムリ。だって書き入れ時だもんね、少しはがんばって稼がなきゃ。」
私「そうだよね、ヒロはその頃はいちばん忙しいもんなあ。じゃあ、断ることにしよう。」
ヒロ「行くのは俊顕だけ?」
私「直さんと翼くんカップルも来るんだって。」
ヒロ「じゃあ、聡一行ってきなよ、その頃は俺は仕事で忙しいから、聡一の世話をあんまりできないんだよね、だから、むしろ行ってくれた方が俺としては安心できる。」
私「なら、行ってこようかな。」
ヒロ「そうしなよ、直さんカップルがいるんなら安心だし。」
私「わかった、行くって俊顕に言っとくよ。」

ヒロ「気持ちいいなあ、でももっと気持ち良くなろうって、ベッドが呼んでる。」
私「はいはい、早く寝ようね。」
ヒロ「だから、気持ちいいことって言ってるだろう?」
私「だから、こういうところでの睡眠は気持ちいいだろう?」
ヒロ「もう、聡一ったら、わかってるくせに、焦らすんだから・・・」
私「すこしガマンした後の方が、さらに気持ち良くなるだろう?」
ヒロ「別にガマンなんかしたくても、聡一とするのはすげえ気持ちいいけどね。」
私「スケベだな・・・」
ヒロ「そのほうが好きなくせに・・・」

ヒロが近寄ってきて、私にキスをした。唇を刺激されているだけなのに、下半身にビンビンとひびいてきていた。

ヒロ「なんか、聡一、すげえ感じやすくなってない?」
私「そうかな、ジュンがいなくなって、体質変わったのかな・・・」
ヒロ「そうだとしたら、大歓迎、だって聡一の鉄壁の父親モードが、俺のために恋人モードに変わったってことでしょ、うれしいな。」
私「ジュンがいなくなってちょっとさみしくてヘンなだけだ・・・」
ヒロ「聡一もそろそろ子離れしなきゃね。」
私「なぐさめてくれる?」
ヒロ「もちろん喜んで。俺は父親モードの聡一より、恋人モードで俺に甘えてくれる聡一の方がずっと好きだよ。」
私「まさかヒロに甘えるわけにはいかないけど、いっしょにいてくれるだけでうれしい。」
ヒロ「そういう聡一好きだよ。」
私「なんかすげえ勃っちゃった、ちょっと恥ずかしいな・・・」
ヒロ「ホントだ、すげえ硬くなってる、いつもより大きくなってない?」
私「なんかすげえ気持ちいいんだけど・・・」
ヒロ「少しでもジュンちゃんのこと、忘れられそうだろ。」

私たちは濃厚なキスを長く続けた後、だんだんと濃厚な行為に入っていった。

ヒロ「オレたち、いつも入れないでしてるけど、聡一がしたいなら入れてもいいよ・・・」
私「そこまでしなくてもじゅうぶん満たされてるけど…」
ヒロ「ならいいけど・・・」
私「もう少し、それは後に残しておこうよ。」
ヒロ「俺、あんまり後ろは感じないみたいなんよね、でも聡一とだったら、いけるかもしれないんだ・・・」
私「無理するな、負担がかかるのはヒロの方だ・・・」
ヒロ「聡一、やさしいね・・・」

実際、私たちはお互いのものをこすり合わせるだけでもじゅうぶんに気持ちよくなれていた。
私たちは少しの時間差でお互いのからだに白い粘液を大量に掛け合った。

ヒロ「男って、出しちゃうとすぐに我に帰っちゃうよね。後ろの快感だと、もっと余韻が残るんだろうな。」
私「そういうやつもいるらしいけどね。」
ヒロ「それにしてもべとべとだ。」
私「そうだね、拭いてあげるよ。」
ヒロ「聡一はこういうことは自然にやってくれるよね。」
私「そうかな、当たりまえのことだと思うけどね。」
ヒロ「ジュンちゃんがなかなか親離れできないわけだ。」
私「そんなことはないぞ、これから10か月も別れて暮らすんだから・・・」
ヒロ「ジュンちゃんは親離れ、聡一は子離れのいい機会かもね。」
私「わかっていてもさみしいものはさみしい・・・」
ヒロ「俺が慰めてあげるよ、そのために俺はいるんだから・・・」
私「ヒロがいてくれてよかったよ・・・」
ヒロ「ならよかった・・・」
私「今だけ、ヘタレになりそう・・・」
ヒロ「いいよ、お父さんモードはもう完全に捨てていいよ。」
私「眠い・・・」
ヒロ「眠るまでハグしててあげるから、安心して寝ていいよ。」
私「それはいつもはわたしのセリフなのにね・・・」
ヒロ「おやすみ、聡一・・・」
私「おやすみ、ヒロ・・・」

私はヒロに抱かれて、その温かい体温を感じて、だんだんと眠ってしまっていた。

翌朝早く私は熟睡の後の気持ちのいい目覚めをすることができた。いつもの朝よりも激しい朝勃ちで下半身が痛いほどだった。
前夜にヒロと満足したはずなのに、そういう時に限って、ひどい朝勃ちがあった。まだやりたりないような気持ちは全然ないのだが、からだはまだ完全には満足していないのだろうか。
私はベッドから起きだして、トイレに行き、ちょっと苦労して用をたした。それにつれて、だんだんとこわばりは収まってきていた。

ベッドに戻ると、ふかふかの枕に顔の下半分を埋めるようにヒロがぐっすりと眠っていた。
ヒロはもうだいぶ前にお肌の曲がり角を過ぎているはずなのに、まだ少年のようにつやつやとした滑らかな肌をしていた。私は指でヒロの顔を少し触った。ヒロはまだ目覚めなかった。
私も、まだ朝早かったので、もう一度寝ることにした。

しばらく寝ていると、私は隣でヒロがもぞもぞと動く気配で目を覚ました。

私「どうした、ヒロ、起きたのか?」
ヒロ「ゴメン、起こしちゃったね・・・」
私「もう8時だから、起きる時間だ。」
ヒロ「もうそんな時間か、でもよく寝た。」
私「朝ごはんの前に、温泉に入りたいな。」
ヒロ「うん、そうしよう。その前にちょっとトイレ・・・」
私「ゆっくり行っておいで。温泉に行く準備をしておくよ。」

私はホテルの敷地内なら歩けるくらいのラフな服を着た。
ヒロが晴れ晴れとした顔でトイレから戻ってきたので、ヒロの着替えが終わるのを待って私たちは露天風呂まで朝のさわやかな空気の中を歩いて行った。
露天風呂は先客もいなくて静まり返っていた。

ヒロ「いいな、貸し切り風呂みたい。」
私「ああ、のんびりできるね。」
ヒロ「さっき、俺、すげえ朝勃ちしてた。」
私「それはこっちも同じだよ。」
ヒロ「からだがあったまると、またしたくならない?」
私「そういう時もあるけど・・・」
ヒロ「ここ、幸い、人いないし・・・」
私「ばあか、こんなところでできるか。」
ヒロ「もう、こんなところだから興奮するんじゃないか・・・」
私「さあ、からだが温まったら、朝ごはん食べに行こう。」
ヒロ「もう、聡一は、すぐに話をそらすんだから・・・」
私「また、今夜できるだろう、それまでは、お・あ・ず・け・・・」
ヒロ「もう、俺は臨戦態勢なのに・・・」
私「また、トイレに行ってしてくれば、収まるんじゃない。」
ヒロ「しょうがねえなあ・・・」
私「さあ、朝ごはん食べに行こう。」

温泉からでると、ヒロは本当に勃起してしまっていた。他にだれも入っていなくてよかった。
私たちはいちど部屋に戻り、服を着替えて朝食ビュッフェの会場に行った。
広いガラスに囲まれた明るい会場で、宿泊客が本当に静かに朝食を食べていた。

ヒロ「ホント静かだよね、それなりに人はいるのに。しかも子供が騒がないのがすごい。」
私「確かにここにいる子供たちはちゃんとしつけができてるよね。」
ヒロ「やっぱ、ちょっとだけ高級なところはそういうところが違うね。」
私「ここはやっぱ高いのか、宿泊料・・・」
ヒロ「それなりににね、でも今回は割引とか適用されたから、思ったよりは安かった。」
私「半分負担するぞ。」
ヒロ「いいよ、高いったって二泊だから、それほどの負担じゃないし。それに俺が誘ったんだしね。」
私「なんかなあ、いろいろヒロには気を使わせたね。」
ヒロ「そんなの当たり前だよ、だって俺たち、カップルなんだし・・・」
私「じゃあ、今回はヒロに任せるよ。」
ヒロ「うん、そうしてくれるとすげえ俺もうれしいし・・・」

朝食の後は、私たちはちょっと腹ごなしに、ホテルのまだ行ってない場所を散歩した。自然な森の中を歩くのはものすごく癒された。

部屋に戻って、私たちはテラスの椅子に座ってしばらくまったりとした。

ヒロ「今日はどうしようか? ホテルのチェックアウトまでここでゆっくり読書でもして過ごそうよ、そんでチェックアウトをした後、昼になったらどこかでランチしよう。」
私「帰る途中で、どっかいいレストランがあったら、そこで昼を食べたいな。」
ヒロ「そうだね、そうしよう。」

連休最後の日は休み明けに備えて午後はいろんな準備をしたいというヒロの希望でホテルをチェックアウトするととりあえずは東京方面に戻ることにした。少し渋滞に巻き込まれながらも、それなりに順調にヒロのマンションまで帰り着いた。
帰り着くとヒロはすぐにピアノの練習を始め、私はそれを聴きながら、ソファで船を漕いでしまった。

ヒロ「聡一、眠いんだったら、ベッドで昼寝しなよ。」
私「ああ、寝ちゃってたよ。ヒロは眠くない?」
ヒロ「俺はもう少しピアノを弾いて、それから講義の準備とかもするから、眠くなったら寝るよ。」
私「じゃあ、一時間くらい昼寝するね。」
ヒロ「ゆっくり寝ていいよ。」

私はヒロの匂いのするベッドにもぐりこんで、昼寝をした。ぐっすりと気持ちのいい睡眠をとることができた。
一時間くらい寝てから起きると、ヒロは机に向かって怖い顔をして、パソコンをのぞき込んでいた。
私はコーヒーを淹れて、ヒロに持って行った。コーヒーを飲んだ後、私は旅行中の服や下着を洗濯した。何かしているとさみしさを忘れていられる。まあヒロもいるんだから、さみしいなんて言うと怒られそうなのだが・・・

夕食は近くのスーパーで食材を買ってきて、ふたりで夕食を作って食べた。
ヒロはまた翌日の仕事の準備をすると言って、PCに向かった。私はベッドに座ってノートパソコンを使ってこの文章を書いた。
11時過ぎにヒロの運転する車で私はマンションまで送ってもらった。
私はマンションの前で車から下りて、ヒロの車が角を曲がって消えていくまで見送っていた。
暗いマンションに入ると、ちょっと心細さで胸が痛くなった。リビングに入って携帯を見ると、ジュンのメールが入っていた。

「とうさん、元気? オレは今学校にいます。これから次の講義に出ます。いつも日本のとうさんの方へ気を送ってるから、さみしくないでしょ? 日本時間だと深夜だから、オレからとうさんにはおやすみだね。 ジュン」

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ヒロと関西へ

3月末にヒロはまた関西で一週間の集中講座をするというので、ちょうどその前が三連休になるので、先乗りをするヒロにくっついて私も関西に三日間行くことになった。
三連休前の金曜の夜、私はヒロと東京駅の新幹線ホームで待ち合わせをして、9時前の新幹線に乗ることにした。
夕食は新幹線内で食べることにしていたので、私は行きつけの店で惣菜を買ってタッパーに詰めて持ってきていた。そしてごはん代わりのおにぎりも買っておいたので、いっしょに持ってきていた。
新幹線が入線してきたころ、ヒロがホームを小走りで近寄ってきた。

ヒロ「やべ、遅くなっちゃった。」
私「だいじょうぶ、まだ5分くらい時間がある。」
ヒロ「なんか荷物を作るのにてまどっちゃって・・・」
私「手伝いに行けばよかったな。」
ヒロ「ううん、荷物ったって講義の準備資料とかだから、俺がしないとね。」
私「とにかく席に座ろう。」

私たちは指定券に書かれてある車両に乗り込んだ。そして二人掛けの席に並んで座った。

ヒロ「ふう、間に合ってよかった。」
私「走ってきから、汗かいてるだろう?」
ヒロ「ちょっとね。」
私「缶ビール買ってあるけど。」
ヒロ「飲む飲む。」

私たちはビールで乾杯した。ヒロは本当にのどが渇いていたらしく、ごくごくと勢いよく飲み始めた。

私「ほら、弁当持ってきたけど。」
ヒロ「食べる、すげえお腹減ってんだ。」
私「いつも買ってる店のお惣菜とおにぎりだけどね。」
ヒロ「あの店のお惣菜、俺けっこう好きだよ。」
私「ならよかった。いっぱい食べな。」

私たちはビールを飲みながら惣菜を食べた。
お腹がいっぱいになるとヒロは疲れているのか、居眠りをし始めた。
私は持ってきた本を読むことにした。
そして新幹線は深夜の新大阪に到着した。私たちはタクシーでホテルに向かった。
ホテルの部屋に落ち着いたころには日付が変わっていた。私たちは軽くシャワーを浴びてそのまま寝ることにした。
翌朝。私たちは8時過ぎまで寝てから、朝食のビュッフェを食べに行った。
ヒロ「今日はどうしようか?」
私「こういうなんの予定もない旅行って、けっこういいもんだね。」
ヒロ「壮一、行きたいとこある?」
私「そうだなあ、フンデルトワッサーデザインのごみ焼却場を見てみたいなあ。」
ヒロ「日本にもあるの?」
私「大阪港のほうにあるらしい。」
ヒロ「ウィーンだけじゃないんだ。」
私「フンデルトワッサーは俳号も持ってて、百水っていうらしい。」
ヒロ「なんだ、まんまじゃん。」
私「見られるか、調べてみるよ。」

私はスマホでフンデルトワッサーを調べてみた。環状線の駅からバスで行けるらしい。
私たちはホテルを出て環状線に5分ほど乗った。駅前からバスに乗り換えて、埋立地のほうに行った。大きな橋を渡るとすぐに派手な色合いの清掃工場が見えてきた。
最寄りのバス停で降りると清掃工場はすぐだった。曇っていはいるが雨は幸いほとんど降っていなかったので、私たちは派手な建物の周りをグルっと歩いて回ってみた。
フンデルトワッサーの作品が大阪で間近に見られるとは、ちょっと感動である。ウィーンの清掃工場は遠目にしか見なかったのが残念である。
フンデルトワッサー散歩を十分に楽しんでから、どうやって戻ろうかと思っていると、客を下ろしたばかりのタクシーがゆっくりと走ってきたので、それをつかまえて元の環状線の駅まで戻った。
そこから阪神に乗ってとりあえず難波まで行くことにした。ちょうど来た電車は難波を通り越して遠く奈良まで行くらしい。

ヒロ「このまま乗ってたら奈良まで行けるんだ。いっそ奈良まで行っちゃおうか。」
私「でも奈良まで行くとどのくらい時間がかかるんだろうね。」
ヒロ「路線図に、難波のすぐ先に鶴橋ってあるね。」
私「ああ、環状線との乗換駅だね。」
ヒロ「確か鶴橋にはコリアンタウンがあったんじゃないかな。」
私「そうだっけ。まあ大阪は在日の人たちが多いんだったよね。」
ヒロ「鶴橋でエスニックなお昼食べようよ。」
私「あんまり辛くなければいいよ。」
ヒロ「石焼きビビンバとかだったら、辛くないんじゃない。」

私たちは難波を通り越し、鶴橋駅まで行った。近鉄の改札を出ると、目の前がコリアンタウンの商店街だった。
網の目になった狭い通路を中に入って行くと、日本ではないような店が並んでいた。
商店街をウロウロして、その後コリアンレストランがあったので入ってみた。
私は石焼ビビンバ定食をたのみ、ヒロは純豆腐チゲ定食を頼んだ。
ランチメニューなのでどれだけ本格的なのかは分からないが、石焼きビビンバはおいしかった。
駅前のコリアンタウンを後に、さらに歩いたところにコリアン市場のようなところがあるということだったので、10分ほど歩いて行った。
こちらのコリアンタウンは中華街のような立派な門があり、本格的である。こちらは市場のようなもので、食品店が多いようである。
珍しいものがいろいろと売られていて、見ていて楽しいところである。
デザート代わりに黒砂糖の入った上げたお焼きのようなお菓子を買って食べた。
そしてあちこち歩き回っているうちに環状線の駅に着いたので、とりあえず環状線に乗ってホテルに帰ることにした。

ホテルに帰り、部屋にはいると、いきなりヒロに壁ドンをされてしまった。

私「どうした、ヒロ、いきなり。それに顔が近い・・・」
ヒロ「ふふふ、今日は俺が主導権を握って、聡一を楽しませる。」
私「いいけど、ヒロ、目が据わってるぞ。」
ヒロ「なんか、このシチュ、けっこう萌え。聡一のちょっと不安そうな表情がたまらない。」
私「いきなりこんなことされたら、ドキドキするだろうが・・・」
ヒロ「ドキドキするだけ? 俺のほうはもう準備OKだよ。」
私「何の準備だよ・・・」
ヒロ「わかってるくせに・・・」
私「別にそれほどモッコリしてないみたいだけど・・・」
ヒロ「今日はけっこうタイトなボクサーを穿いて、押さえつけてるからね。触って調べてみたら?」
私「しょうがねえなあ。」

私は手でヒロの少しもっこりしているあたりを触った。

ヒロ「痛てっ。」
私「強く触りすぎた?」
ヒロ「そうじゃなくて、聡一に触られてさらに硬くなったら、痛くなった、ちょっと方向を変える。」

ヒロは手をベルトの内側に差し込み、硬くなったものを楽な向きに変えた。

ヒロ「ゴメン、せっかくいいところだったのに、中断させちゃったね。」
私「どんなパンツ穿いてるんだよ?」
ヒロ「勝負パンツ。見せパンだから、見せてあげる。」

そう言うとヒロはさっさと穿いていたジーンズを脱いだ。その下からは、スーパーローライズというらしい、股上の短いボクサーがあらわれた。ヒロのものは横になってタイトな生地を盛り上げていた。

私「それにしてもこの小さなパンツじゃ、勃起すると先端が飛び出るだろう。」
ヒロ「だからさっき横に位置を直したんだよ。」
私「それにしても先端の部分に染みができてる・・・」
ヒロ「俺ってけっこうガマン汁多いんだよね・・・」

そして今度はヒロが私のボトムを脱がせ始めた。私も下半身はパンツ一枚になってしまった。

ヒロ「なんだ、聡一もけっこう色っぽいパンツ穿いてるじゃん、それにしてもモッコリがすげえ・・・」
私「このパンツはアレの収納部分がゆったりしてて、穿き心地がいいんだよね。」
ヒロ「聡一、けっこう勃ってる?」
私「まだ半分も勃ってないけど・・・」
ヒロ「それにしてはすげえモッコリ。」
私「パンツ脱ごうか?」
ヒロ「うん、生で聡一のを触りたい。」

私たちはそのままパンツを脱いで下半身素っ裸になった。そして向き合ってお互いのモノを握り合った。

ヒロ「なんか昔ドキドキしながら相互オナニーした時のことを思い出した・・・」
私「誰とそんなことしたんだよ?」
ヒロ「高校の同級生、でもそいつは残念ながらゲイじゃなかったけどね・・・」
私「それでも何かちょっと嫉妬するな・・・」
ヒロ「聡一はそんなことなかったの?」
私「だって、オクテだったから、精通したのは高校生になってからだし、大学生になってオナニーを覚える前にセックスしちゃったし・・・」
ヒロ「聡一ってちょっとそんなところが変わってる・・・」

私たちは立ったまま、お互いの硬くなったものをゆっくりと刺激し合った。それにしてもこんなオナニーに毛が生えたような行為でも、好きな相手とするとものすごく気持ちがいい。たぶんヒロの方も同じように感じてくれていると思う。
私たちは夢中になって快感を貪りあった。
そして少し時間差があったが、ふたりとも相手のからだをめがけて白いマグマを掛けあったのだった。

ヒロ「聡一、すげえ良かったよ。」
私「気持ち良すぎて気が遠くなりそうだった・・・」
ヒロ「今夜はもっと濃厚なことをしようね。」
私「まだすんのか?」
ヒロ「だってこんなのはほんのオードブルじゃん、メインは夜ベッドで・・・」
私「ったく、元気だな、目がらんらんと光ってるよ・・・」

私たちは身支度をして、夕食を食べに街にでかけた。大阪らしい串揚げの店に入り、お任せコースを楽しみながら私たちはビールを飲んだ。
お腹いっぱいになってホテルの部屋に戻ると、ヒロは着替えもせずにベッドに横になり、すぐに寝息をたてはじめた。
私はヒロを起こさないように上着とジーンズを脱がせた。
そして私もヒロの横に並んで寝そべった。ヒロの体温を感じながら私もすぐに寝てしまっていた。

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夏の旅行-その4

ヨーロッパの古い家の中でヒロとふたりでパンとコーヒーだけの朝食を食べていると、遠いところに来たのだなあとあらためて思った。
その後、私たちは街を散歩しながら大学に向かった。あの古い家に、東洋から来た音楽家が大学で教えるために滞在するようだと街の人たちは知っているらしく、家を出たばかりのところでたまたま会った人たちは気持ちのいい挨拶をしてくれた。
ヒロの友達(ヤン)と、ここに着いたときに駅に迎えに来てくれた事務の女の人と、ヒロは打ち合わせを始めた。その夜開かれる予定のコンサートの打ち合わせだった。そのうちに話しの流れで私がヴァイオリンを弾くことができるということをヒロが言ったのだった。それにヤンさんがいきなり乗り気になり、私は大学のヴァイオリンと楽譜を借りて、コンサート会場でヒロの伴奏でいつものモーツアルトをとりあえず弾いてみた。このモーツアルトは比較的弾きやすいし、俊顕くんところのコンサートで人前でも弾いたことがあるので、いきなりでもなんとか弾くことができるからだ。そしてけっきょくその夜のコンサートで私も一曲だけ弾くことになってしまった。ヒロとヤンさんたちはその後、さらにほかの準備があるとかで、会場を出て行ったので、私はそこでしばらく一人で練習をした。会場の響きがいいのか、ヴァイオリンがいいのか、音が面白いように流れ出してくる。私は一時間ほど無心で練習を続けた。
そして昼はヤンさんが古いレストランに連れて行ってくれて、昼をゆっくりと食べた。そして一度家に帰り、もういちどヒロとモーツアルトをさらった。3時ごろにまた大学のコンサート会場にリハーサルのために行った。
会場にはその日出演する、ヤンさんのほか、もう一人ピアニストの女性(クララさん)が来ていて、簡単に紹介された後、すぐにリハーサルが始まった。
最初にヤンさんがバッハを弾き、つぎにクララさんがベートーヴェンのソナタ、そして私とヒロのモーツアルトで前半が終わり。後半はヒロがラヴェル、ヤンさんがヤナーチェク、そして最後にクララさんのプロコフィエフでリハーサルは終わった。
6時ころ、コーヒーと軽食でかるくお腹に入れた後、ヒロと私は大学の隣のなだらかな丘を散歩した。
そして、コンサートは8時から始まるので、私たちは30分前に楽屋に戻って、気分を鎮めるために、それぞれ椅子にすわって目を閉じて瞑想を始めた。
このあたりは8時を過ぎてもまだまだ明るかった。そして私の演奏する時が来たので、私は舞台の袖に行った。今回は夜のコンサートだったけれど、学生や街の人に気軽に聞いてもらうために、服装はカジュアルでよかったが、さすがに私もジャケットだけは着ていた。そして舞台に立つとちょうど客席の後ろの上にある窓から夕暮れ時の空が見えていた。今夏は急な出演だったが、ヒロの主導で演奏していると、響きのいい会場と、好意的な観客のおかげもあって、私はなんとかうまく弾き終えることができた。10分少々の演奏の間に、窓から見える夕空はさらに赤くなっていた。観客の拍手が終わらないので、けっきょくヒロと私は第一楽章をアンコールに弾いたのだった。無事演奏が終わって私はほっとしていた。それにしてもこういうクラッシクのコンサートを日常的に楽しむことが出来るこの街の人達はすごいと思った。
その後、ヒロは後半の演奏があったが、私は休憩の後は客席の一番後ろに座って、三人の演奏を楽しんだ。後半は三人の演奏者のそれぞれの特徴がよくでている意欲的なプログラムで、私はピアノ音楽の楽しさを心のそこから楽しむことができた。
そして、後半のプログラムが終わって、最後の演奏をしたクララさんがアンコールを一曲弾いたが、それでも観客の暖かい拍手が収まらなかったので、これが最後といって、ヤンさんとヒロが連弾でスラブ舞曲を一曲弾いた。そして、最後にその夜の演奏者全員が舞台に上がって、最後のご挨拶を観客にして、コンサートは終わった。
そして昼を食べたレストランに移って、コンサートのスタッフも交えての打ち上げパーティーが始まった。私にとっては打ち上げであるが、ヤンさんやヒロたちにとっては、これから始まるマスタークラスの始まりを祝ってのパーティーでもあったのだ。とりあえずコンサートが無事に終了した開放感もあって盛り上がり、パーティが終わったのは1時を過ぎていた。
そしてそこから私たちは歩いてすぐの家まで、真夜中の街をちょっと冷たくなった風に吹かれながらゆっくりと歩いた。石畳の道が街灯で光っていた。
そして翌日は私が帰る日だったので、朝食を食べた後、ヤンさんたちに別れを言うためにぶらぶらと歩いて大学に向かった。
通りで出会った人たちが、昨日の演奏はすばらしかったよと声をかけてくれたのには驚いた。たくさんの町の人達が昨日のコンサートのは招待されたらしかった。
そして大学に行って、ヤンさんたちに昨日のコンサートのお礼をしたら、反対に私のほうが感謝されてしまった。今日帰りますと挨拶をすると、また事務の女の人が車を運転してくれて、まずは家に戻って荷物をとってから、駅まで送ってもらった。来た列車に私が乗ろうとするとヒロがちょっと寂しそうな顔をした。
私「じゃあ、いくよ。」
ヒロ「ホントは空港まで送っていきたいんだけど・・・」
私「いいよ、来たコースを戻るだけだから、だいじょうぶ。ヒロはこっちでがんばって・・・」
ヒロ「うん、それはもちろんがんばるけど・・・」
私「じゃあ、一ヵ月後だね・・・」
ヒロ「気をつけて帰ってね。新婚旅行なのにひとりで日本まで帰らせてゴメン・・・」
私「それはヒロの仕事についてきたんだから、しかたがないよ。」
ヒロ「まあ、帰りは直さんといっしょなんだし・・・」
私「ヒロ、嫉妬してる?」
ヒロ「してねえよ、でもホントはちょっと心配。直さんって優しすぎるじゃん、聡一が俺と別れて寂しそうな顔をしてると、慰めてくれそうだから、それがやける・・・」
私「だいじょうぶだよ、心配しないでちゃんと仕事をしなきゃだめだよ・・・」
ヒロ「じゃあ、聡一、イスタンブールまではひとりなんだから、気をつけてね。」
私「おとななんだから、だいじょうぶだって・・・」
ヒロ「海外でのことだけは、聡一より俺のほうがくわしいだもん、海外にいる時くらいは俺のほうが聡一にかまってあげたいんだよ・・・」
私「じゅうぶん気をつけるからだいじょうぶだよ。」
ヒロ「じゃあね。」
私「仕事、がんばれよ。」
ヒロ「うん・・・」
さすがにキスをするわけにいかないので、わたしたちは強くてを握り合って別れをおしんだ。
その後私は列車で中央駅まで行き、そこからバスで空港に行った。そして飛行機でイスタンブールまで戻った。そこには翼君と直さんが出迎えてくれた。
また数日前に泊まったホテルに、こんどは私はひとりで泊まることになった。夕食は翼君と直さんといっしょにホテルの最上階にある眺めのいいレストランで、ボスポラス海峡でとれた新鮮な魚を食べた。レストランからは下の部屋よりもさらにライトアップされたハギア・ソフィア寺院が大きく見えていた。
私「今回は直さんと翼君のおかげでいい旅行ができたよ、ありがとう・・・」
翼君「ソウさんとヒロちゃんが来てくれてオレもうれしかった。」
直さん「ソウさんはいいなあ、ずっとヒロちゃんといっしょだったんでしょう?」
私「直さんだって、翼君といっしょだったでしょう?」
直さん「まあ翼の部屋に泊まってたんだから、夜はいっしょだったけど、昼間は翼は仕事が忙しいって言って、ぼくのことはほったらかしだったんだから・・・」
翼君「仕方ないだろう、平日だったから、どうしても外せないことがあったんだよ・・・」
直さん「そんなにしょっちゅうこっちに来るわけにいかないから、昼も翼といたかったのに・・・」
翼君「だから、謝っただろう・・・」
私「翼君、だいじょうぶだよ、直さんはいっしょに観光できなかったのをちょっとスネてるだけですよ。」
翼「ホント、直は子供みたいなんだから・・・」
私「そういうところが、直さんのいいところだと私は思いますよ。」
翼君「でもソウさんはヒロにそういうふうにされてもスネたりしないじゃん・・・」
私「まあヒロの仕事はたいへんだから・・・」
翼君「やっぱ、ソウさんは直と違って大人だなあ・・・」
直さん「うるせえ。」
そしてホテルに一泊した後、ホテルまで迎えに来てくれた翼君と直さんといっしょに空港まで行き、翼君は忙しいからと、すぐに帰ってしまったので、直さんとふたりで出国手続きをして、中の免税店でおみやげをいろいろ買ってから、飛行機に乗った。
直さん「なんか、聡一と新婚旅行の帰りみたい・・・」
私「ホントだね・・・」
直さん「もう少し早くソウさんに会ってたら、こんなふうにホントに新婚旅行してたかもね・・・」
私「でも私と早く出会わなかったから、直には翼君があらわれ、私はヒロといっしょになることができた。」
直さん「でもずっとぼくは聡一のことを信頼してるからね・・・」
私「私も直のことは好きですよ、弟みたいで・・・」
直さん「弟みたい、ですか。それってちょっと不満かも・・・」
私「それじゃあ、息子みたいのほうがいいかな?」
直さん「もう、聡一はイジワルだなあ、ぼくはジュンちゃんといっしょかあ・・・」
私「違うよ、それならジュンのほうがもう少し大人かもね・・・」
直さん「聡一、ひでえ・・・」
私「ほらほら、そんなに怒らないで、冗談、冗談・・・」
そんなことを話していると、機内食の時間になった。二種類の料理を選べたので、直さんと私は別のものを選び、少しずつ交換して味見をしたりして楽しく食べることができた。そのあとは食事のときに飲んだワインで酔ったのか、直さんは少し私の方にもたれかかって寝始めた。私もその後少し寝ることができた。長いフライトが意外に短く感じられたのは、直さんといっしょだったからかもしれない。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

夏の旅行-その2

昼間のツアーのあと私たちはホテルの船で街の港まで送ってもらい、海沿いの町をすこし散歩した。有数のリゾート地ということもあり、さまざまな国の人たちが開放的な姿で歩いていた。海沿いにはしゃれたレストランが並んでいたが、ほとんどがシーフードを売り物にしていた。昼間もシーフードだったのだが、他に選択肢があまりないので、海沿いの気持ちよさそうなレストランに入った。まだ開店したばかりだったので、先客も少なく、私たちは海側の眺めのいい席に案内された。
メニューは、メインはシーフードとしても、前菜くらいはシーフード以外のものを食べたいと私たちが言うと、翼君がギャルソンのお兄さんにトルコ語でいろいろと質問しながら適当に注文してくれていた。
まずはチーズ味のドレッシングのかかったサラダが大量に出てきた。四人で取り分けても食べきれないくらいである。メインはフランス料理風という、スズキのパイ包みが大きな皿にどかんと出てきた。ギャルソンがパイを切って開くと中からはおおきな白身の魚が丸ごと一匹入っているのが見えた。魚はふっくらとしておいしいのだが、白身の魚ということもあり味が単調で、最後はしょうゆをかけて食べたいねというのが、一致した感想だった。
前菜とメインを食べただけで、もう2時間近くが過ぎていた。ホテルの車が待ちの中心まで迎えに来てくれるのは、まだそれでも2時間ほど先だった。
翼:俺たちはちょっと他の店に行ってデザートと食後酒を飲んできますね。そうさんたちは時間まで、ここでふたりでゆっくりデザートを食べててください。」
私「じゃあ、迎えの車で待ち合わせということで。」
翼「車が来るのはこの先すぐだけど、わかります?」
私「だいじょうぶ、そこの広場のとこだよね。」
翼君も久しぶりに会った直さんとふたりだけで夜を楽しみたいのだろう。翼君たちは楽しそうにレストランを出て行った。
ヒロ「いいなあ、あのふたり、すごく自然な感じで・・・」
私「そうなれるように、こっちもがんばらなきゃね・・・」
ヒロ「でも、直さんって見た目はしかりしてるのに、じつはけっこう抜けてて守ってあげなきゃって思わせるじゃん。でも聡一はちゃんとしすぎてて、俺がなんかしてあげなくてもちゃんとやっていけるじゃんか・・・ それにジュンちゃんもいるし・・・」
私「ヒロがそう思っていてくれるのはうれしいけど、直さんたちカップルとは違うんじゃないかな。それに私から見ると、ヒロがしっかりしすぎてるくらいだけどね・・・」
ヒロ「なんだ、もっと甘えていいんだったら、思いっきり甘えちゃうよ。でも俺はジュンちゃんと違って聡一の息子じゃないからね。」
私「相変わらずヒロはジュンを意識しすぎるね。」
ヒロ「ジュンちゃんはかわいいくせにすげえ頭がいいから、俺、なかなかたちうち出来ないんだよね・・・」
私「ヒロだってじゅうぶんかわいいし、頭もいいじゃん。」
ヒロ「でも聡一のことになると、馬鹿みたいに頭が働かなくなるし・・・」
私「それでいいんだよ、ヒロはジュンとは違うんだから。」
けっきょく私たちはそのレストランがあまりにも海からの風が気持ちよく吹いてくるので、移動することなく、そこでデザートを食べ、コーヒーを飲み、さらにゆっくりと食後酒まで飲んだ。
そしてレストランを出て、迎えの車が来るまで少し港のあたりを歩いた。そのあと、待ち合わせ場所に行くと、直さんたちはすでに来ていた。私たちはまもなく到着した迎えの車に乗ってホテルに帰った。
そして部屋に戻って、テラスのいすに座って、星空を眺めた。その夜も降るような星が満天にひしめいていた。しばらくすると、昼間疲れたのか、ヒロが居眠りを始めた。
私「ヒロ、眠いんだったら、ベッドでちゃんと寝よう・・・」
ヒロ「ここが気持ちいい・・」
私「ダメ、夜はけっこう気温が下がると思うよ。」
ヒロ「ベッドにつれてって・・・」
私「ほんとうは抱いていきたいんだけど、ちょっと力が足りないから、ささえてあげるから、じぶんの足で歩いて・・・」
なんとか私がささえると、ヒロは立ち上がってベッドまで歩いてくれた。そしてベッドにように横になり、ヒロはそのまま眠ってしまった。私もヒロのとなりに横になり、ヒロの無防備な表情を見ながら、まもなく眠ってしまっていた。

翌朝は私たちはふたりだけで、ホテルのレストランの朝ビュッフェを食べに行った。ヒロによると、多少はトルコ風の料理がある以外は、ヨーロッパのホテルの朝食と変わらないそうである。私たちは、明るいレストランの中で朝食をゆっくりと食べた。
その日は直さんたちとは別行動をする予定だった。私たちはホテルの車に乗って、近くの大きな遺跡を見に行った。紀元ころにはものすごく栄えた街の遺跡だった。歩いても歩いても崩れた廃墟が続いていた。ところどころ大きな建物の柱や壁面が残っていた。そして、舞ってくれていたホテルの車で、聖母マリアがなくなったというところにある教会に行った。こんなイスラム教の国でマリア様はなくなったのがちょっと意外な感じだった。教会はそれほど大きくないのですぐに見終わって、つぎに近くの街のトルコ料理のレストランに連れて行かれて、そこでランチを食べた。レストランの近くにローマ時代の水道橋の遺跡が残っていたので、それを見学してから、私たちは早めにホテルに戻った。
ホテルのバーに置いてあるピアノを一時間くらい弾かせてもらえないかとヒロは言っていたので、とりあえずフロントで相談してみた。フロントの人が電話で聞いてくれて、午後の時間帯なら少しだけ弾いてもいいと言っているらしい。私たちは人気のないバーに行くと、買カウンターの後ろで何か準備をしていた人が、ピアノの方を手で示してくれた。
ヒロはピアノの前に座って、最初少し指慣らしをしてから、その後本格的に弾き始めた。私は近くのソファに座ってその演奏を聴いた。周りのサワサワとした雑音が消えて、ピアノの音しか聞こえなくなっていた。
一時間ほどバーでヒロはピアノを弾いてから、私たちは部屋に戻り、水着に履き替えて、今度はホテルのプールに泳ぎに行った。プールの周辺に置かれたデッキチェアには、何人か寝そべっている人がいたが、午後のプールは静かな雰囲気だった。
私たちも人のいないほうに歩いて行き、2つ並んだデッキチェアに座った。やわらかな風が吹いてきて気持ち良かった。
ヒロ「なんかのどかで眠っちゃいそうだね。」
私「昼寝でもする?」
ヒロ「その前になんか一杯飲みたいな。」
私「飲むってなに?」
ヒロ「なんか今は甘いカクテルでも飲みたい気分。」
私「のどがかわいてるから、量の多いのがいい。」
ヒロ「わかった、じゃあ注文するね。」
プールの脇にあるあづまやになったバーの人にヒロが合図をすると、注文を取りに来てくれた。そしてしばらくして注文のものが来た。
私「これ、飲みやすいね、何?」
ヒロ「カシス・ソーダだよ、喉が渇いた時にはいいんじゃないかと思ってさ。」
私「おいしいよ、どんどん飲めてしまうね。
喉の渇きを潤してから、私たちはプールに入って少し泳いだり、デッキチェアで寝そべったりを繰り返した。そして少し日が傾いたころ、私たちは部屋に戻った。

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genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

夏の旅行-その1

夏休みに日本に帰れなかった翼君に会いに、8月末にトルコに直さんが行くということで、いっしょに行かないかと直さんと翼君から誘われた。
また、ヒロのほうは9月に、向こうの大学から、新学期前の準備講座の講師を頼まれているので、8月の末には出発する予定だった。それならば、直さんといっしょに日本を出発して、翼君に会ってから、ヒロの仕事をする国に行って、どんなところか少しでも見てこようということになった。

8月のある日、私たちは成田空港から飛行機で出発した。ヒロはしょっちゅう海外に行っているし、直さんはこの便はもう何回も乗っているというので、私一人が初めて乗るのでテンションが高かった。目的地のイスタンブールまではノンストップで12時間以上もかかるのだ。それでも機内食を食べて、そのあと少し眠ったりしていると、それほど時間をもてあますこともなく、目的地に着くことができた。
入国手続きを終えて、とりあえず国際線の出口を出ると、大勢の出迎えの人の中に、翼君が笑顔で立っていた。相変わらずはっきりとした顔立ちのイケメンだが、さらにくっきりとした顔になっていた。以前と違うなと思っていると、なんと翼君はヒゲを生やていた。
翼君「ソウさん、ヒロ、久しぶりです。直も来てくれてうれしい。」
私「翼君、忙しいんじゃないのか?」
翼君「俺もまだ夏休みとってないし、少しは休まないといけないから・・・」
国内線のターミナルに歩いていき、そこからイズミールに行く飛行機に乗り換えた。荷物は成田からずっと預けたままになっていたので、国際線から国内線に乗り換えるのも楽だった。国内線の飛行機は1時間ほどで目的地のイズミールに着いた。荷物を受け取って出口を出ると、泊まる予定のホテルの係員が出迎えに来てくれていて、そのまますぐに車に乗せられて、ホテルに向かった。とにかく翼君はトルコ語がペラペラになっていて、ホテルの人もそれには驚いていた。
ホテルの部屋はさすがに4人いっしょというわけにも行かず、隣り合わせた部屋にしてもらうことになった。部屋に入ると、いきなりヒロが抱きついてきた。
私「こらこら、いきなり・・・」
ヒロ「やっとふたりだけになれたんだもんね・・・」
私「テラスに出てみようよ、星がすごいんじゃないかな・・・」
ヒロ「そうか、新婚旅行なんだから、まずは雰囲気を盛り上げないとね・・・」
私たちはテラスに出た。目の前には海が広がっていた。島影も見えているようだが、それは暗すぎてよくわからなかった。空を見上げると、あまりにもたくさんの星が満天にひしめくように輝いていた。
ヒロ「すげえ、星が雲みたいに見える・・・・」
私「たぶん、川のように広がっているのが、天の河じゃないかな。」
ヒロ「すごいね、なんか手が届きそうなくらい近くに見える・・・」
私「目が少しずつなれてきたら、星の数が増えてみえる。」
ヒロ「ほんとだ、最初より星がずっと多くなってる・・・」
私「なんか星空に覆われているみたいだ・・・」
ヒロ「なんかシェルタリング・スカイの意味がわかったような気がする・・・」
私「空気が乾燥してるからこんなに星がたくさん見えるんだろうね・・・」
ヒロ「なんか、俺感激した、聡一と見られてよかった・・・」
私「いいとこに、連れてきてもらったね。」
ヒロ「あっ、あそこのベンチに座ってるのは、直さんと翼じゃない?」
私「ああホントだ、彼らはあそこで海を見てたんだね。」
ヒロ「なんかいいかんじみたいじゃん。直さんって、ふだんはけっこうおちゃらけてるけど、恋人にはちゃんと愛をしっとりと語れるんだ・・・」
私「愛を語ってるかどうかは知らないけど、いい雰囲気ではあるよね。」
ヒロ「俺たちもそう見えるかな・・・」
私「もちろん、そうだろうね・・・」
ヒロ「聡一、愛してる・・・」
私「愛してるよ・・・」

そしてわたしたちはキスをしながら部屋の中に入って、そのままベッドに倒れこんだ。
ヒロ「直さんと翼ってどっちがタチなんだろうね?」
私「直さんはリバだって言ってるけど、じっさいはほとんどウケだからね・・・」
ヒロ「まあ翼はけっこう気が強そうだから、そうなのかもしれない。でもあの直さんが翼に押し倒されてるなんて、なんか想像できない。」
私「でも、なんていうか、いつも入れてるわけじゃないみたいだけど・・・」
ヒロ「聡一は、そういうのしなくていいの?」
私「ヒロがそうしたいなら、いつでもするけど、ほんとのところヒロはどうなの?」
ヒロ「俺は今まで、後ろでよかったことなかったから・・・」
私「じゃあ無理してすることないよ。」
ヒロ「でも聡一に入れられるんだったら気持ちいいかもしれないなって思ったりして・・・」
私「とにかく急がないで、そういうときが来たら、自然にすることにしようね。」
ヒロ「聡一がそれでいいんだったら、俺もそれでいい。」
私「そんなことしなくても、ヒロとのエッチはじゅうぶん気持ちいいわけだし・・・」
ヒロ「俺、もうギンギン・・・」
私「同じだよ・・」
特別なことをするわけではないのだが、ヒロと肌を重ねると心が共鳴しているような錯覚を覚える。私たちは、満ち足りた時間を過ごす。それはものすごく強い快感を伴っていた。

翌朝、隣の部屋の翼君から内線電話がかかってきて、私は目を覚ました。
翼君「ソウさん、よかったら俺たちと朝ごはんいっしょに食べませんか?」
私「いっしょしていいのかい? 直さんはいいって言ってる?」
翼君「ソウさんたちがふたりで食べたいんだったら無理には誘わないけど、それに直はいっしょのほうがいいって言ってるよ。」
私「じゃあ、せっかくのお誘いだから、いっしょに食べようかな。」
翼君「じゃあ、ルームサービス、これから頼みますから、30分後くらいにこっちの部屋に来てください。」
電話を切ると、ヒロも目を覚ましていた。
私「翼君たちが、朝食いっしょに食べようって誘ってくれたから、OKしといたよ。」
ヒロ「じゃあ、俺、シャワー浴びてさっぱりしてくる。」
私「ちゃんと身支度しておいで。」
ヒロ「翼に負けないようにがんばってかっこよくするからね。」
私「翼君と競争することないけど、ヒロがかっこよくなるのはうれしい・・・」
しばらくするとヒロはバスルームから出てきた。ちゃんと身支度も終えていて、内側からかっこいいオーラが皮膚を通してあふれ出ていて、まぶしいくらいだった。私も軽くシャワーを浴びて、いつでも外出できるような格好になった。
ヒロ「ねえねえ、聡一、コンタクト持ってきてる?」
私「使い捨てコンタクトなら持ってきてるよ。」
ヒロ「じゃあ、メガネはやめてコンタクトにしてほしいなあ・・・」
私「いいけど・・・」
ヒロ「聡一のそのメガネ、しないほうがずっとずっといいよ。」
私「じゃあ、これからは外出するときはコンタクトにするよ。」
ヒロ「こんど、かっこいいメガネを選んであげるからね。」
時間が来たので隣の部屋に行った。すでにテラスのテーブルの上にはクロスが敷かれて、朝食がところせましと並んでいた。
直「ソウさん、なんか今日はすげえイケてる・・・」
翼君「こらこら、直、いくらソウさんがかっこいいからって、色目つかうんじゃないの。」
直「イケてるって言っただけじゃん・・・」
私「直さんもすげえ自然な感じで海辺のリゾートに溶け込んでいる・・・」
翼君「直はどこにいっても緊張感のかけらもないんだよね・・・」
ヒロ「でもそれってけっこうすごい才能かもね・・・」
翼君「ヒロ、あんまり直をおだてないでね。すぐにその気になっちゃうんだから・・・」
直「今日はソウさんたち、どうします?」
翼君「俺たちはツアーに参加して近くのギリシャ領の島に行こうかと思ってるんだけど・・・」
私「それいいですね、もしよかったら私たちもいっしょに行っていいかな・・・」
翼君「じゃあ、ソウさんたちの分もフロントに頼んで見ますね。」
そう言うと翼君は部屋のデスクの上にある電話でフロントと交渉してくれた。
翼君「だいじょうぶだって、それで出発は10時フロント前です。」

いちど私たちは部屋に帰って、テラスに座って海を見ながらゆっくりとした。そして10時少し前にフロントに出て行った。そこには翼君と直さんはすでに来ていた。二人のあたりには、どうもいっしょにツアーに参加するらしい人たちが数人、リラックスした様子で座っていた。
ツアー会社の人「ソウさんに、ヒロさんですね、私、ケマルです。よろしくお願いします。皆さん、そろったようですので、すぐに出発します。」
ツアーの相客はスイスから来たという男女二人ずつの4人の熟年グループだった。彼らは4人ともバイリンガルどころかトリリンガルで、ドイツ語、フランス語、英語がしゃべれた。いちおうこのツアーは英語ツアーなので、とりあえずみんなの共通語は英語ということになった。でも、直さんはフランス語で、ヒロはドイツ語で彼らと話していた。
ホテルの船着場には白い船が係留されていた。船はすぐに出発して、蒼い海に白い航跡を描きながらギリシャ領の島に向かった。日差しは厳しく気温も相当高いと思われるが、空気が極度に乾燥しているのか、風が心地よかった。船には操縦をしている船長と、その補助をしている高校生くらいの少年が乗っていた。船長は以前ドイツで働いたことがあるということでドイツ語ができる。手伝いの少年は英語が話せるのでこういう仕事には都合がいいのだろう。
船は30分ほどでギリシャ領の島に着いた。とりあえずどこかで国境を越えたらしい。建物や風景はとくにトルコ側と変わらないが、表示がギリシャ文字になっているのが、最大の違いである。
桟橋にはツアーの車が迎えに来てくれていたので、それに乗って古代の遺跡を見に向かった。小さな遺跡だったが、倒れた石の柱が草に埋もれかけていて、時の流れを感じさせるところだった。
遺跡を見た後は海辺のレストランに入って、シーフードの昼食を食べた。海に張り出した桟橋のようなところに作られた客席は海風が通り抜けて快適だった。8人掛けのテーブルにスイス人といっしょに座ってにぎやかなランチが始まった。
スイス人の男性「私たちは職場の仲間で、ヴァカンスで初めてこの辺に来ました。あなたたちは?」
翼「俺がイスタンブールで働いてて、夏休みに日本から彼らに来てもらったんです。」
スイス人の女性「あら、あなた働いてるの、わたしは学生かと思ったわ。」
翼「みんな働いてますよ、ヒロはピアニストだし、ソウさんと直は会社員です。」
スイス人の女性「まあ、あなたはピアニストなの?」
ヒロ「本職は大学の教員ですけどね・・・」
スイス人の男性「私たちも教員なんですよ、みんな違う専門だけどね。」
いろんなことを話していたのだが、私はだんだんと会話についていけなくなっていた。
そしてランチが終わると、帰りの船の出発まで、レストランの横にある海岸で泳ぐことになった。海岸に屋根つきの休憩所のようなところがあり、海岸ではお互いにプライバシーを侵害しないように、スイス人グループとは少しはなれたところにそれぞれの場所を決めた。
男性人はそこで着替えてそのまま海に入った。女性人はレストランの横の更衣室で着替えてきたようだった。翼君は、生地を限界まで小さくした競泳用のパンツだった。直さんとヒロもそれに負けないようなパンツ、私だけが短パン式のパンツだった。
3時間ほど泳いだというより、休憩所のデッキチェアーでゆっくりしてから、また車で港に戻り、船で来るときとは違う経路で景色を楽しみながらホテルに戻った。ホテルの桟橋でスイス人たちは船を降りていった。私たちはそのまま船でホテルの近くの街まで乗せていってもらって、街を散歩してその後夕食をとるつもりだった。

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