直さんと翼くん

昨日(22日)からジュンは俊顕くんの別荘にスノボーをするために出かけて行った。今回は俊顕くんとフィアンセ、それにコンサートの時に紹介されたフィアンセの友達と4人で行くという。俊顕くんがフィアンセと行くことになり、それならフィアンセが、友達とジュンもいっしょに行きたいと言い出したらしい。俊顕くんとフィアンセだけならスノボーではなくて、伊豆あたりにゴルフに行くつもりだったらしいが、ジュンがゴルフはできないので、スノボーということになったらしい。出かける前にジュンはしきりに私がクリスマスに一人になるのを気にしていたので、私は直さんたちと行きつけのバーでクリスマスのパーティに参加するから大丈夫だと言ったら、やっと納得して別荘に出かけて行った。
23日は、久しぶりで一人の朝を迎えた。目が覚めても暖かい布団から出る気にならず、私はしばらく布団の中でいろんなことを考えて過ごした。10時過ぎに電話がかかってきた。直さんからの電話だった。翼くんが帰国して、私やジュンと会いたがっていると言っているらしい。ジュンは俊顕くんの別荘に出かけていると言うと、それなら三人で会って昼食をしようということになった。翼くんが日本に帰ってきたばかりで和食を食べたいというので、直さんのマンションの近くの寿司屋に行くことになった。
直さんのマンションの最寄り駅の改札口に行くと、直さんと翼くんが仲良く並んで私を待っていた。一年ぶりにみる翼くんはいちだんとキリっとしたイケメンになっていた。
私「すみません、待ちました?」
直さん「ぼくたちも来たばかりだし。」
翼くん「ソウさん、久しぶりです。」
私「いつ日本に帰ってきたの?」
翼くん「今朝、羽田に着きました。」
私「イスタンブールから?」
翼「パリで一泊して、パリから羽田へ・・・」
私「最近は羽田に国際線ができたんですね。」
とりあえず、駅から5分くらいのところにある寿司屋に行った。ちょっときれいな店で、おいしい物が食べられそうな感じだった。店に入って、三人で話しやすいように、テーブル席に座った。直さんと翼くんは並んですわり、二人に向き合って私が座った。メニューはとりあえずランチの握りを注文して、足りなければあとで追加で握ってもらうことにした。ビールで乾杯して、翼くんの帰国を祝った。
私「羽田だと成田より近いから、便利だよね。」
直さん「予定より早く帰ってくるんだもん、驚きました。」
私「そうなんだ。」
翼くん「直には、今日の夕方成田に着くって言っといたんだけど、パリからだと早朝羽田に着く便があって・・・」
直さん「それならそれで連絡してくれればいいのに・・・」
翼くん「早く帰って、直が浮気してないか確認しなくちゃいけなかったから。」
直さん「ば~か、してねえよ。」
翼くん「まあ今朝の状況だと浮気なんかできないよね・・・」
私「それにしても直さんと翼くんは仲がいいよね、なんか理想的なカップルって感じがする。」
直さん「そう言えばソウさんの相手は?」
私「最近別れました・・・」
直さん「そうなんだ、変なコト聞いてすみません・・・」
翼くん「まったく直は無神経なんだから。」
私「いいんですよ、もうすんだことなんだから・・・」
直さん「明日の夜、ぼくたち例のバーでイヴのパーティーに参加するけど、ソウさんもいっしょに行きません?」
私「でも予約なんでしょう?」
翼くん「一人くらいなんとかなるんじゃないかな。」
直さん「ソウさんだったら、ママのお気に入りだから、絶対大丈夫だって。」
翼くん「ジュンちゃんもいないんだし、イヴにひとりで過ごすよりいいと思いますよ。」
直「あとでママにメールしとくよ。」
ランチの握りを食べた後、翼くんがもっと食べたいというので、いくつか握ってもらった。
翼くん「ソウさん、この後はどうするの?」
私「ジュンもいないし一人だから、家で本を読んだり、ヴァイオリンの練習でもしようかと・・・ 翼くんは?」
翼くん「オレはもう少し直のところにいて、夕方実家の方に帰る予定です。」
直さん「それじゃあ、ソウさん、明日の夜は現地集合ということでいいですか?」
私「ママからOKの返事来ました?」
直さん「まだだけど、一人くらいだったり絶対来ない人がいるから大丈夫だと思う。」
翼くん「そうだよ、ママはソウさんみたいないい男は、絶対断らないと思うよ。」
私「それを期待して、明日は直接店の方に行きます。」
直「じゃあ、明日・・・」
寿司屋の前で直さんと翼くんと別れて、私は電車に乗ってマンションに帰った。久しぶりに一人の時間をゆっくりとすごした。夕方ジュンから電話がかかってきた。
私「ジュン、楽しんでる?」
ジュン「今日はスノボーをずっとやったんだ。みんなすごくうまくて、オレもだいぶ滑れるようになったし、楽しかった。」
私「4人で仲良くしてるんだね。」
ジュン「俊顕とフィアンセの○香さんは直ぐに二人でいなくなっちゃうから、オレはだいたい○香さんの友達のひと*さんと滑ってた。」
私「仲良くなった?」
ジュン「それはいっしょにいるから親しくはなるけど、彼女って感じじゃないよ。」
私「そんで、別荘ではどんな部屋割りにしてる?」
ジュン「とうさん、心配しなくても、オレは俊顕といっしょの部屋で、あと女の子二人は別の部屋だよ。」
私「同室が俊顕ならかえって心配だったりして・・・」
ジュン「俊顕はオレの寝込みを襲ったりしないから、大丈夫だって。」
私「27日には帰ってくるんだろう?」
ジュン「うん、何時になるかはわからないけど、帰るよ。そんで話は変わるけど、とうさん明日はどうするの?」
私「直さんと、そうそう翼くんが今朝日本に帰ってきたので、明日の夜は翼くんもいっしょに、例のバーのパーティーに行くつもりだよ。」
ジュン「翼兄ちゃん、日本に帰ってるんだ。それならよかった、とうさんがイヴに一人じゃないかと心配だったんだ。」
私「心配いらないから、ジュンはそっちで思い切り楽しんでおいで。」
ジュン「うん、そうするよ。」
別荘ではなんかの合宿みたいに楽しくやっているようだった。フィアンセの友達のひと*さんとジュンのことはたしょうは気になっていたが、こればかりは私が心配しても仕方がないことだった。私は私でイヴのパーティーは直さんや翼くんと楽しむことにしよう。
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久しぶりにジュンとデート

このところふっと気分が落ち込んでしまうことがあり、それをジュンはけっこう気にしているようなので、なるべくジュンのいるところでは明るくするように私は心がけていた。それでも私の様子がいつもと違うとジュンは思ったらしく、私を元気づけるために土曜日は一日私とデートをしてくれた。
土曜の朝、10時前にマンションを出て、電車で東京駅まで行き、そこから歩いてフィルムセンターに行った。今フィルムセンターでは黒澤明の映画を上映していて、土曜には古い60年以上前の映画が上映されるので、できれば見たいと私は思っていた。フィルムセンターに行くとすでにロビーには入場を待っている人が並んでいた。私達もその後に並んだ。そして私は500円、ジュンは学割300円を払ってホールに入った。映画は時間に始まって、80分ほどで終わった。
フィルムセンターを出て、私たちは地下鉄に乗った。10分ほどの浅草橋で降りて、柳橋の方に歩いて行った。運河にかかる鉄でできた柳橋を見たあと、そのすぐ近くにある天ぷら屋さんに私たちは入った。古い日本家屋を利用した店で、玄関で靴を脱いで、2階の部屋に通された。それほど広い部屋ではないがいちおう個室である。窓の外にはさっき見てきた柳橋が見えている。私たちはランチタイムの天丼を頼んだ。
ジュン「すげえ、まさか個室に案内されるとは思わなかった。」
私「もう1時過ぎだから、空いてたんだろうね。」
ジュン「この部屋だったら、なんでもやり放題だよね。」
私「店の人がいつ来るかわからないから、やり放題とはいかないと思うけどね・・・」
ジュン「でも注文したものが出てきたら、あとは店の人は用がないから来ないでしょう?」
私「まあそうだけどね・・・ それより今日の映画どうだった?」
ジュン「あれって太平洋戦争の時のだよね。」
私「そうだよ、戦争末期に作られた映画だね。」
ジュン「なんかオレちょっとうそっぽい感じがした・・・」
私「まあ戦争協力のための映画だから、そうとう美化してるのは確かだね。」
ジュン「あんな女の人が今いたらけっこうオレだったらひく・・・」
私「でも面白くないことはなかっただろう?」
ジュン「まあ映画としてはそれなりに見れたけどね。」
そんな事を話していると、店の人が部屋に天丼を持って入ってきた。天丼をそれぞれの前に置くと、店の人はごゆっくりどうぞと行って出て行った。
ジュン「意外に小振りな天ぷら・・・」
私「こんな個室のある店にしてはランチは安めの値段なんだから、こんなもんだろうね。」
ジュン「おっ、でもおいしい。」
私「いちおうここは老舗らしいからね。」
天ぷら屋の2階の個室で静かに天丼をジュンと一緒に食べるのはとても癒される時間だった。ゆっくりと食事をしたあとは、天ぷら屋の並びの古い和菓子屋さんで季節の上生菓子を夜のデザート用に買った。
そしてしばらく歩いていると、古い日本家屋を利用した、ギャラリーカフェがあったので、中にはいって食後の珈琲を飲むことにした。ここも玄関で靴を脱いで中に入ると、1階はギャラリーになっていて、2階にカフェがあるようだった。私たちは木の階段を登って2階に上がった。2階の窓からは隅田川が見えて、素晴らしい景色である。隅田川の彼方にはスカイツリーも見えていて、少し寒かったが私たちは外のテラスで景色を見ながらコーヒーを飲んだ。
私「それにしても川の風景はのどかでいいね。」
ジュン「東京の真ん中なのにこんなにのんびりできるなんてすごい。」
私「今日はジュンといっしょにいろんなところに行けて、楽しかったよ。」
ジュン「とうさんが少しは元気になって良かった。」
私「そんなにとうさん、落ち込んでたか?」
ジュン「オレの前では元気そうにしてたけど、ときどきふっと落ち込んでた。」
私「ジュンには心配させちゃったね。」
ジュン「親子だもん、心配するのは当然だろ。」
私「もう大丈夫だから・・・」
ジュン「ならいいけどさ、無理すんなよな。」
私「ジュンには心配させないようにするからね。」
ジュン「オレの心配じゃ、頼りなくていらない?」
私「そうじゃなくて、ジュンが心配しているのを見るのは、とうさんすごくいやなんだ。ジュンには何も心配なくいてほしいからね。」
ジュン「オレがいつも前向きに暮らしてれば、とうさんは幸せなんだね。」
私「そうだよ、ジュンがつらいことがないように、とうさんはいつも願ってる。」
ジュン「オレだって、とうさんが幸せになってほしい・・・」
私「ジュンはまず自分のことを考えなさい、とうさんの事はいいから・・・」
ジュン「オレだけ幸せになっても、とうさんが幸せじゃなかったらオレも嫌だし・・・」
私「ジュンはやさしいね、やっぱジュンがいるだけでとうさんはすでにすごく幸せだけどね・・」
テラスにはときどき隅田川から冷たい風が吹いてきていたが、私たちはなんかとても暖かい気持ちになっていた。カフェを出て、ブラブラと隅田川沿いを歩いて、私たちは浅草まで行った。浅草寺にお参りして、浅草を散歩してから、銀色のバスに乗って東京駅まで戻ってきた。そして電車で私たちはマンションに帰って、夕食を食べた。別にこれといったことをしたわけではなかったが、楽しいジュンとのデートの一日だった。


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ケンの住む町で

日曜の朝、私は窓の外を流れていく風景をぼんやりと眺めながら、新幹線に乗っていた。日帰りでケンの住んでいる町に行くためだった。ほんとうは土曜に行って一泊するつもりだったのだが、ケンの仕事は土曜の夜は忙しいらしくて、深夜まで拘束されるので、日曜の昼に会って、食事でもしようということになっていた。
駅に着いて、ホームから階段を降りて、改札口に行くと、すでにケンが待っていてくれた。ちょっとやつれたような顔をしているのが気になった。
ケン「こんなところまで来てくれなくてもいいのに・・・」
私「いちどちゃんとケンに会っておきたかったんだ・・・」
ケン「来てくれてありがとう・・・」
私「なんか、ケン、疲れてない?」
ケン「店の仕事、けっこう大変でさ、よく親はやってたと思うよ、でも今日は昼近くまで寝てたから、まあ大丈夫・・・」
私「とりあえず、昼飯でも食べようか?」
ケン「じゃあ、ゆっくりできるところに行こうよ。」
駅を出てすこし歩いたところの、ビルの2階にある和食レストランに入った。広いフロアにゆったりと席が配置されているので、静かに話もできそうだった。
私「仕事大変そうだね。」
ケン「実際やってみるとけっこう大変だった。子供の頃は、店の仕事のせいで親がオレのことをほったらかしにしてたのを恨んでたけど、自分でやってみると忙しくて余裕がなくなるのがわかった。親もそれなりに大変だったんだなあって・・・」
私「じゃあ、少しは両親とも仲直りしたんだ・・・」
ケン「まあ、完全に許したわけじゃないけどね・・・」
私「でも同じ家に住んでるんだろう?」
ケン「まあそうだけどね、今のほうが母親が親らしいことしてくれてるよ、子供の時にして欲しかったけどね・・・」
私「でも、ケンの両親は、ケンを東京の専門学校まで出してくれたんだろう?」
ケン「まあね、それは感謝してるけど・・・」
そして私たちはしばらくの間、食事を黙って食べていた。
私「じつは今日来たのは、ケンとこれからのことを話そうと思って・・・」
ケン「オレもそれはちゃんとしておきたかったんだ・・・」
私「私はもしも長距離恋愛になってもいいと思ってるんだけど・・・」
ケン「聡一、無理してない? オレもまだ聡一のことは好きだけど、オレの今の状況だと、聡一になにもしてあげられないし・・・」
私「確かに状況がよくないのはわかってる・・・」
ケン「オレの方から聡一にコクったみたいなもんだから、ちょっと聡一に悪いとは思うんだけど、今のオレの状況だと好きだから続けたいとは言えないんだ・・・」
私「好きな人でもできた?」
ケン「まさか。だってオレ、仕事が忙しくて、なんもできないんだぜ、休みの日は疲れてるから家でゆっくりしてることが多いし・・・」
私「ゴメン、変なこと言って・・・」
ケン「オレは聡一のことがすごくすごく好きだから、だから聡一には絶対に幸せになってほしい。でも今のオレは聡一に何もしてあげられないんだ・・・」
私「別に、ケンに何かしてもらいたくて付き合ってるわけじゃないけどね・・・」
ケン「それに今のオレは仕事でいっぱいいっぱいだし、休みの日は家でゴロゴロしながらシコってるだけだし、聡一にふさわしいような人間じゃないんだよ・・・」
私「もう、別れたほうがいい?」
ケン「聡一にはオレよりもふさわしい人がきっといると思う。そのほうが聡一にとっても、オレといるよりずっと幸せになれると思うよ・・・」
私「ケン、ホントにそう思ってる?」
ケン「うん・・・」
私「・・・」
その後私たちは言葉を失っていた。ケンの目がうるんでいた。
ケン「オレ、もう行くね・・・」
私「わかった・・・」
ケン「聡一のこと、嫌いになったわけじゃないから・・・」
私「わかってるよ・・・」
ケン「聡一と少しでも一緒にいられてよかった・・・」
私「私も同じだよ・・・」
ケン「じゃあ、ホント行くね・・・」
私「仕事、がんばれよ、応援してるから・・・」
ケン「ありがとう、聡一・・・ じゃあ・・・」
そう言うとケンは走るように店を出て行った。
あっけない別れだった・・・
私は呆然としてケンの後ろ姿を見ていた。
帰りの新幹線に乗ってから、私は激しい喪失感を感じていた。同じはずの景色が来る時とは違って私には見えていた・・・

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