ジュンとレッスンに行く

先週の土曜日はヴァイオリンのレッスンの日だったので、今回はコンサートの曲をみてもらうことになった。それでジュンもいっしょにレッスンに行って、アンサンブルも見てもらうことになった。斉*先生のマンションに行くと、そこにはいつも斉*先生と共演しているピアニストの人も来てくれていた。
斉*先生「今日は聡一さんとジュンくんのアンサンブルをみる予定だったから、いつも私と共演してくれてるピアノの藤*先生に来てもらって、アドヴァイスしてもらうことにしました。」
私「なんかわざわざ来ていただいてすみません。」
藤*先生「私も実はジュンくんをちょっとだけ知ってるんですよ、ジュンくんの高校に何回か代レッスンに行ったことがありまして・・・」
ジュン「ひょっとして**先生のかわりにいらしてた?」
藤*先生「覚えてくれてるとはうれしいな、ジュンくんには直接レッスンしたことがなかったから。」
斉*先生「さあ、始めてもらいましょうか。とりあえず通して弾いてみて。」
前回のレッスンで出された課題を反映した演奏を私は披露した。前回レッスンの時に言われたときには、たとえばヴィブラートを要所しかかけけないとか、すごく違和感を感じるような演奏法ではあったが、家で何回も練習しているうちにだんだんとこちらのやり方のほうがよく感じるようになってきていた。二人の先生が腕組みをして真剣に聞いてくれているのを感じながら、私とジュンは最後まで弾き終えた。
藤*先生「ジュンくん、すごくいいモーツアルトの演奏なんだけど、やっぱジュンくんは優等生だよね、学校で教わったことをホントにちゃんと弾いてるからね。でも、モーツアルトはもうほんの少しノンレガートで弾くようにしてみようよ、そのほうが斉*が聡一さんに教えようとしてる弾き方に合うと思うよ。それから高音と低音の音色をあえて同じようにしないで弾いてみると面白いと思うよ。」
ジュン「わかりました、一度先生のおっしゃるとおり弾いてみますね。」
斉*先生「聡一さんはもっと表情をいきいきと出してみてください、少し荒削りになるところができてもいいですから。」
二人の先生の指導の通りの演奏をできるように私たちは一生懸命練習を続けた。
藤*先生「今日はこんなところでいいでしょう、けっこう面白い演奏になってきましたね。」
ジュン「ホントにこんな弾き方でいいんですか?」
藤*先生「学校で教えてる伝統的な演奏法もいいでしょうが、やっぱ今は多少は現代の主流を取り入れないと・・・」
斉*先生「でも日本の聴衆は保守的だから、どれだけわかってもらえるか・・・」
私「まあ、俊顕くんとこのコンサートは不特定多数が聞きに来るわけじゃないから、何回かやっていれば、聞き慣れてくれると思いますね。」
斉*先生「まああの母上には私の方からあらかじめ予備知識を吹きこんでおきますよ、私が教えたら変な演奏になったって言われないように・・・」
ジュン「藤*先生はこんどのコンサートは聴きに来るんですか?」
藤*先生「一度行きたいんだけどね、招待してもらえるかなあ・・・」
斉*先生「私から俊顕に言ってもいいんだけど、あいつは私の言うことなんか聞いてくれないからなあ・・・」
ジュン「じゃあ、オレから俊顕に頼んでみますよ。」
斉*先生「そうしてくれるとありがたい。」
藤*先生「それにしてもジュンくんはピアノうまいね、驚いたよ。」
ジュン「そんなことないですよ、だって音高の時みたいには練習してないから・・・」
斉*先生「聡一さんもレッスンに来るようになってから、うまくなりましたね。」
私「なんか先生のおっしゃるとおりの効率的な練習をしてると、うまくなってきました。」
斉*先生「なんか新しい曲をこんど始めませんか?」
私「俊顕とこで弾く曲がもうなくて、私も新しい曲を練習しないといけないとは思ってるんですけどね。」
斉*先生「聡一さん、一番やりたい曲ってなんですか?」
私「できるかどうかわからないけど、実はフランクのヴァイオリン・ソナタを弾いてみたいとずっと思ってるんですが・・・」
斉*先生「じゃあやりましょうよ、聡一さんなら私が教えればできます。」
ジュン「オレもあの曲好き。」
藤*先生「じゃあ、ジュンくんのピアノの練習は私がみてあげますよ。」
斉*先生「いいですねえ、やりましょう。」
私「かなり大変な曲なんで、長期計画で・・・」
斉*先生「一年後のコンサートでやれるようにしましょう、そうじゃないとなかなか仕上がらないから。」
私「いやあ、実はフランクは将来ジュンの結婚式の時に弾いてやりたいなというような感じだったんですが・・・」
斉*先生「ジュンくんの結婚式はまだだいぶ先だから、当面の目標として来年のコンサートを目指してということでどうです?」
ジュン「とうさん、やろうよ、まずは来年のコンサートで。」
斉*先生「いい目標ができましたね、私も全面的にサポートしますよ。」
藤*先生「良かったらピアノは私がみるけど?」
ジュン「先生にみてもらったら、うまくいきそう。」
私「なりゆきで決まってしまいましたね・・・」
斉*先生「その前に6月のコンサートのほうをがんばってください。」
ほんとうに勢いで来年のコンサートの曲まで決まってしまった。レッスンを終えて、先生のマンションを出て、緑の多いところを少し回り道をしてジュンと帰った。
ジュン「オレがもし結婚式したら、とうさんフランク弾いてくれるんだ。」
私「弾けるようにがんばらなきゃね。」
ジュン「そのときはピアノはオレが弾くからね。」
私「新郎が演奏するのか?」
ジュン「べつに新郎が弾いちゃいけないっていう決まりがあるわけじゃないでしょう?」
私「まあ、まだ先の話になるんだろうけどね・・・」
ジュン「そうだ、俊顕の結婚式でもフランク弾いてあげようよ。」
私「俊顕の結婚式は、ジュンはもちろん招待されるだろうけど、とうさんまでは招待されないと思うな。」
ジュン「そうかなあ、最近とうさんと俊顕、すごく仲いいじゃん、だから招待されるんじゃないかなあ・・・」
私「ジュンは30歳くらいで結婚するつもりなんだろう? あっという間にその日が来るんだろうなあ・・・」
ジュン「まあオレと結婚してくれる相手がいたらだけどね、とうさん、オレが結婚するとさみしい?」
私「そりゃあ、さみしいにきまってるけど、それよりジュンが幸せな家庭を持ってくれるほうがとうさんはうれしいな。」
ジュン「オレは結婚してもとうさんをさみしがらせるようなことはしないつもりだからね。」
私「ジュン・・・」
そんな事を二人で話しながら、夕暮れの道を駅まで歩いた。緑の中を吹いてくる風が心地よい季節になっていた。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

俊顕くんとジュン

新学期も始まり、ジュンはいきいきとして大学に通っている。内部推薦があるとはいえ、とりあえずは院の入試があるので、俊顕くんといっしょにその勉強をやっているようだ。大学の授業は早く終わる日は、うちに俊顕くんも来て、楽しそうに勉強をしている。そういう日は必ずうちで三人でいろんなことをしゃべりながら夕食をとっている。
私「試験の準備をしながら、コンサートの練習するのたいへんだろう?」
俊顕くん「試験のほうはいまさら勉強しても遅いし、どっちかっていうと将来のための勉強をしている感じですね。」
ジュン「なんか勉強したあと、ピアノを弾くと、気分転換になっていいんだ。」
俊顕くん「そうだ、気分転換っていえば、こんどジュンをゴルフに誘っていい?」
私「ゴルフ?」
俊顕くん「俺の婚約者と、この前のコンサートの時にジュンに紹介した彼女が、ジュンも誘ってゴルフをしたいって言ってるんだけど。」
ジュン「俊顕たちはゴルフずっとやってるからいいけど、オレはゴルフなんてやったことないから、できないって・・・」
俊顕くん「俺が誘ったら、ジュンは聡一さんが許してくれたら、するって言ってるんだけど・・・」
ジュン「だってゴルフはけっこうお金がかかるみたいだし・・・」
俊顕くん「ゴルフクラブは俺の使ってないセットを貸してあげられるし、ゴルフも平日行くようにすれば経済的だし。」
私「なんにしろ、いきなりコースに出られるわけじゃないだろう?」
俊顕くん「もちろん最初はレンジで練習しなきゃなんないけど、俺が習ってる練習プロについでに教えてもらえば、そんなにお金かからないし。」
私「まあとりあえず練習に行くくらいなら問題ないだろう。」
俊顕くん「やった、聡一さんてやさしいね。」
私「俊顕にほめられてもぜんぜんうれしくないなあ。」
俊顕くん「聡一さんもいっしょに練習します?」
私「私はいいよ、とりあえずジュンがやって、その話を聞いてから考える。」
ジュン「とうさん、いいの?」
私「せっかく友だちが誘ってくれてるんだから、とりあえず練習だけでもしてごらん。」
ジュン「うん、あんまりお金がかかるようだと、そこでやめるから。」
俊顕くん「なるべくお金かからないようにしますけど、かかるものはかかるから、聡一さんよろしくね、ジュンのためなんだから。」
私「まったくいくらジュンのためとはいえ、私が出せるのは限りがあるからな。」
俊顕くん「そのへんはちゃんとしますって。それにあんまり聡一さんに負担をかけるとジュンの方がやめるって先に言いだすだろうし。」
私「俊顕、まったくお前ってヤツは嫌味なくらいよくわかってるよな。」
俊顕くん「そんな、聡一さんに褒められると照れちゃうじゃないですか。」
私「私はぜんぜん褒めてないぞ。」
ジュン「とうさんと俊顕ってすごく仲良くなったよね。」
私「仲良くなんかないぞ、ジュンの友達だから多少気を使ってるだけ。」
俊顕くん「その言葉そのまま聡一さんに返します、俺もジュンのお父さんだと思って多少遠慮してるだけ・・・」
私「ジュンと違って可愛くねえヤツだなあ。」
俊顕くん「いつも思うんだけど、聡一さんみたいなイジワルばっかり言う人からどうしてジュンみたいにいい子が育ったんだろう、すげえ不思議・・・」
ジュン「まあ、とうさんと俊顕が仲いいとオレもうれしいし。でも俊顕、オレのとうさん取らないでね。」
俊顕くん「俺が聡一さんを取るわけないじゃん、俺はジュンの方がいいから。」
私「バ~カ、どさくさにまぎれて親の前でコクるな。」
俊顕くん「なに言ってるんですか、そんなことしてませんよ。」
私「ほら、俊顕、メシが終わったら、もう帰れ。」
俊顕くん「はいはい、邪魔者はさっさと消えますよ、あとでゆっくりジュンとイチャイチャしてください。」
ジュン「なんだよ俊顕、まだ帰っちゃだめだよ、もう少しオレ俊顕と勉強するつもりなのに・・・」
俊顕くん「そうだね、もう少しやっとこうか。」
私「俊顕、ジュンといっしょにいる理由ができてよかったな。」
俊顕くん「なんとでも言ってください、じゃあジュン、どこからやる?」
私「まあ勉強するんだったらしかたないか・・・ それなら食後のコーヒー入れてやるから、飲むか?」
ジュン「飲む飲む、でも薄めにしてね。」
俊顕くん「俺も飲む飲む、薄めにしてね。」
私「俊顕、気色悪い声だすな。」
俊顕くん「ジュンみたいに可愛く言ったのに、ひどすぎる・・・」
ジュン「まったく、なに二人で漫才やってんだよ・・・」
その後ジュンと俊顕くんは勉強の続きを始めた。私は二人のじゃまをしないように、ベッドルームに行った。なんかお互いに刺激し会える友人がいるというのは、ジュンにとって幸せなことだなと思った。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

ジュンの話

この週末にジュンからニューヨークでの話をまとめて聞いたので、その中からおもしろかったことをちょっとまとめてみました。
私「ニューヨークのホテルってえらく便利なところにあったんだろう?」
ジュン「そうなんだ、セントラルパークにも近いし、カーネギーホールも近かった。」
私「そんでカーネギーホールにコンサート聞きにいったんだろう?」
ジュン「俊顕がチケット予約しておいてくれたから、聞きに行けた。」
私「何やってたんだ?」
ジュン「オレのいた頃はなんか日本の特集みたいなのをやってて、バッハコレギウムのロ短調ミサを聞いた。」
私「古楽器の演奏だな。」
ジュン「最初はちょっと慣れなかったんだけど、聞いてるうちにすぐにハマった。オレ、これからバッハは古楽器演奏で聞くよ。」
私「とうさんも最近ちょっとレッスンでピリオド奏法をかじってるよ。」
ジュン「じゃあ、こんどのコンサートのモーツアルト楽しみだね。こんどのレッスンの時オレもいっしょに行って、オレも教えてもらおうっと。」
私「その他はなにかコンサート行ったのか?」
ジュン「俊顕がメトロポリタンオペラのチケットも予約しておいてくれたから、なんと二回もオペラ聞きに行っちゃった。」
私「なに聞いた?」
ジュン「ドニゼッティのルチアと、プッチーニのトスカ。」
私「歌ったのは?」
ジュン「ルチアはナタリー・デセイ。すげえ良かったなあ、ベルカントオペラなんて、主人公のソプラノだけが気持よく歌ってるんだと思ってたら、テノールもけっこう活躍するんだよね。」
私「ルチアは他のドニゼッティのオペラとはちょっと違うのかもね。」
ジュン「そんで、トスカの方はヴィオレッタ・ウルマーナって人だった。こっちもよかったけど、ルチアのほうがよかった。」
私「それにしても俊顕くん、よくチケットがとれたね。」
ジュン「なんか俊顕とこと家族でつきあってる人がいるみたいで、そっちに頼んだんだって。そんでルチアの時にはその人達も来てて、その週末に郊外の別荘に誘われた。」
私「郊外に別荘、すごいな。」
ジュン「けっこう郊外にセカンドハウス持ってる人多いみたいだよ。ニューヨークは働く場所で週末は自然の中で過ごすみたいな・・・」
私「やっぱ、アメリカってすごいなあ、でもいろんな経験できてよかったな。」
ジュン「でもさ、土曜日に行ったんだけど、いきなり俊顕との連弾を頼まれちゃって、ちょっと大変だった。」
私「それでなに演奏した?」
ジュン「シューベルトとフォーレとブラームス。」
私「とうさんも聞きたかったなあ。」
ジュン「そんで演奏のあとは聞きに来てくれた人たちとバーベキューパーティーをやった。」
私「アメリカらしいなあ。」
ジュン「なんか俊顕はパーティーだといきいきしててさ、誰とでも気軽に話せてすげえなあってあらためて思った。」
私「ジュンはどうだったんだよ?」
ジュン「まあオレもそれなりに話したけど、俊顕みたいに冗談言ってみんなを笑わせたりはまだできないもん・・・」
私「まあ、少しずつ経験すれば、だんだんそういうこともできるようになるさ。」
ジュン「それにしても俊顕ってすごいよね。」
私「まああいつは一般人とはお育ちが違うからなあ、でもジュンもこういう機会に少しでも経験を積んでいけばいいんだと思うよ。」
ジュン「こういう事って学校じゃ教えないから、いろいろ経験しなきゃいけないね。」
私「そんで、観光客が行くようなところへは、行ったのか?」
ジュン「うん、エンパイアステートビルに登ったり、自由の女神を見に行ったり、セントラルパークを散歩したり、ホントいっぱい行った。」
私「俊顕が案内してくれたのか?」
ジュン「俊顕はだいたい行ったことがあるみたいだったけど、オレといっしょにもう一度回りたかったんだって・・・」
私「ジュンを案内してる時の俊顕のニヤケっぱなしの顔が思い浮かぶ・・・」
ジュン「オレだって俊顕と観光してるとけっこう楽しかったよ。」
私「その他は?」
ジュン「そうそう、ナイアガラの滝を見に行って、カナダに入ってトロントで一泊した。それにしても、ナイアガラの滝は想像以上にすごかった。」
私「ナイアガラの滝も見れたのか、良かったね。」
ジュン「それからあとは日帰りでボストンに行った。」
私「他には?」
ジュン「遠出をしたのはそのくらい、あとはニューヨークにずっといた。」
私「それにしても俊顕くんにはいろいろ世話になったみたいだね。」
ジュン「そうなんだ・・・ 俊顕は一人より二人のほうが楽しいから、オレがいたほうがいいって言うんだけどね・・・」
私「まあ俊顕はジュンがいるだけで楽しいみたいだからな・・・」
ジュン「オレも俊顕いると楽しいから、ちょうどいいのかもね。」
まあジュンと俊顕はお互いにひかれ合っているのは事実だが、俊顕くんのジュンへの強い気持ちは、ジュンには届いているの事実でも、ジュンの方ではごく親しい友だちの思いとして認識されているようだった。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親 ニューヨーク

ジュンが帰ってきた

先週ジュンがやっとニューヨークから帰ってきた。俊顕くんのほうは相変わらず車のお迎えが空港に来ていたので、ジュンもそれに便乗して、しかもウチまで送ってもらって帰ってきたのだった。
ジュン「ただいま、とうさん・・・」
私「おかえり、疲れてないか?」
ジュン「そんなに疲れてない、だって帰りは俊顕といっしょだったから、エコノミーでもいい席のほうにアップグレードされてたから、けっこうよく眠れたし。」
私「そんでニューヨークはよかった?」
ジュン「うん、すんげえ楽しかった。」
私「ホテルは?」
ジュン「俊顕はカジュアルなホテルって言ってたけど、けっこう高級なホテルだったと思う。部屋もそれなりに広かったし、ベッドがすげえ大きかった。それから窓からの眺めもニューヨークって感じで、夜景なんかすごくよかったなあ。」
私「けっきょく俊顕とは同じベッドで寝てたのか?」
ジュン「そうだよ、でもベッドがすげえ大きいから、ふたりで寝ても余裕だったよ。でもさ、俊顕たら、せっかくベッドが大きいのに、わざわざくっついて寝たがるんだもん・・・」
私「まあそんなところだろうとは思ってた。そんで俊顕になんかされなかったか?」
ジュン「俊顕が変なことオレにするわけないじゃん。俊顕はなんかあっちにいると普段以上にジェントルマンって感じで、オレのことをエスコートすんだよね。オレは俊顕の婚約者じゃないんだから、そんなことする必要ないのにさ。」
私「まあいろんな意味で俊顕らしいよな・・・」
ジュン「まあオレはニューヨーク初めてだったし、俊顕は何回かすでに来たことあるって行ってたから、自然にエスコートするみたいな感じになっちゃうのかもしれない。」
私「そう言えばホテルのすぐ近くにピアノのショールームがあったんだって?」
ジュン「そうなんだ、なんかすげえたくさんピアノが並んでて、りっぱなとこなんだよね。そんで俊顕は真剣に一台一台試弾していくんだ。オレにも弾かせて意見を聞くんだよね。でも同じようなピアノでもそれぞれ違いがすごくあって、選ぶのが大変だった。でもけっきょく夕方まで弾いて、オレたちの意見が一致したのが一台あったんだ。」
私「どんな感じのピアノだった?」
ジュン「最初はちょっと高音が刺激的な感じだと思ったんだけど、それでも音の減衰がすごくきれいで長いんだよね。そんで調律師さんにちょっとだけ整音してもらったり、タッチの調整をしてもらったりしたら、ふたりともすごく気に入っちゃって、そんで俊顕はそれを選ぶことにしたんだ。でももっと弾き込んだらすげえいいピアノに成長しそうな感じだった。」
私「けっこうちがいがあるんだなあ・・・」
ジュン「なんか、ホールに置くようないちばん大きなやつは粒ぞろいなんだけど、その下のものは当たり外れがあるんじゃないかな。」
私「それにしてもグランドピアノを、それくださいってすぐ買っちゃうんだから、俊顕ってやつはまったく・・・」
ジュン「でも、俊顕、去年ニューヨークに来た時も、いろいろ弾いたんだけど、俊顕の好みのものがなくて、買わなかったみたいだよ。だから今回はよっぽど気に入ったんじゃないのかな、きっと・・・」
私「ジュンがいいって言ったから、俊顕くんも決心がついたんだろうな。」
ジュン「そうなのかな、でも俊顕も弾きやすそうだったよ。」
私「そんでそのピアノはいつ届くんだ?」
ジュン「いろいろあって来月の終わりくらいには届くみたいだよ。」
私「そんでお披露目のコンサートは?」
ジュン「6月中にしたいって俊顕は言ってた。とうさんにも一曲お願いしたいんだってさ。」
私「でもとうさん、今のところ人前で弾けそうな曲は全部やっちゃったしなあ・・・」
ジュン「じゃあ最初に俊顕とこでやったモーツアルトは?」
私「そうだね、実は次回からあのモーツアルトをレッスンでみてもらう予定なんだよね、だから6月ならちょうどいいかもしれない。」
ジュン「じゃあピアノはオレ、それとも俊顕がいい?」
私「今回ちょっと新しい演奏のしかたを教えてもらうつもりだから、いつでも練習できるジュンとやりたいな。」
ジュン「とうさんがそうするんだったら、オレもちょっと勉強しなきゃね。」
私「一度いっしょにレッスンに行けばいい。」
ジュン「うん、一度オレもとうさんのレッスン、どんなふうにしてるのか見てみたかったんだ。」
私「先生に言っとくよ。」
やっぱり疲れているのか、ジュンは話の途中であくびをかみころすようなしぐさをした。
私「ジュン、疲れてるみたいだな、ニューヨークの話はまた明日でも聞くから、今夜はもう寝なさい。」
ジュン「うん、そうする。」
私「その前に、シャワーだけは浴びておいで。」
ジュン「うん、じゃあね、とうさん、オレの服、脱がせてよ。」
私「まったく甘えて・・・」
バスルームの前に行って、私はジュンと向きあって、ジュンの服を脱がせてやった。ジュンはくすぐったそうな顔をしているのが、私にはどうしようもなく可愛く感じられた。
ジュン「とうさんに服脱がせてもらうのって、オレすげえ好き・・・」
私「ほら、シャワーを浴びておいで、着替えは出しておくから。」
しばらくしてジュンのシャワーが終わり、その後私も軽くシャワーを浴びた。そしてビールでも飲もうと思ってリビングに行くとジュンは寝たのかもういなかった。ベッドルームをのぞくと、ジュンはすでに気持よさそうに眠っていた。いくら若くてもやはり長時間の飛行機は疲れるのだろう。
私はリビングのソファで一人でビールを全部飲み干した。そしてベッドに行って、ジュンのとなりに横になった。そしてジュンのひたいに軽くキスをした。ジュンは何も気づかずに寝続けていた。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親 ニューヨーク

プロフィール

悩む父親

Author:悩む父親
FC2ブログへようこそ!

最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
カレンダー
03 | 2011/04 | 05
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
FC2カウンター
カテゴリー
メールフォーム
何でもけっこうですので、メールをくださると嬉しいです。

名前:
メール:
件名:
本文:

最近のトラックバック
ブログ内検索
リンク
QRコード
QRコード