ある土曜の夜

土曜日は、ジュンは俊顕くんたちとゴルフの練習場に行って、そのあとはみんなで飲みながら夕食を食べてくるということだったので、私は久しぶりに一人で例のバーに出かけることにした。なんとなく一人では行きにくくてしばらく行ってなかったのだが、たまには誰かと飲むのもいいだろうと思い、行ってみることにしたのだ。なるべく混んでない時間をねらって、開店のすぐ後に行ってみた。時間が早いので私より先には二人づれの客が来ているだけだった。私は先客の視線を感じながら、ママが誘導してくれたカウンターの席に座った。
ママ「あ~ら、ソウさん、お久しぶりね。いらっしゃいませ。」
私「すみません、なかなか来られなくて・・・」
ママ「いい人でもできたの?」
私「いえ、そっちの方はぜんぜんだめですね。」
ママ「昨日直が来てたんで聞いたんだけど、ゴールデンウィークは直と温泉に行ったんだって?」
私「そうなんですよ。ちょっと温泉でゆっくりしたかったもんですから。」
ママ「あなたたちまさかできちゃったわけじゃないわよね?」
私「直さんと私とですか? まさか、そんなわけないですよ、しかも私のほうはコブ付きで行ったんですから。」
ママ「あら、そうなの、ジュンちゃんもいっしょだったのね、安心したわ。」
私「ジュンも直さんのことはお兄さんみたいに思ってるんで・・・」
ママ「ジュンちゃんはいい子よねえ、ノンケなんてもったいないわ・・・」
私「もったいないんですか?」
ママ「そうよ、ジュンちゃんくらい上玉はなかなかいないわよ。」
私「私の周りにいる人達がみんないい人ばっかりなんで、ジュンのことをかわいがってくれてるだけですよ。」
ママ「ソウさんもいい相手が見つかるといいわねえ。」
私「そうなんですけどね、なかなか思うようにはいかないですねえ・・・」
ママ「ソウさんみたいな人でもうまくいくとは限らないのよねえ、でもソウさんは条件がいいんだから、いい出会いがあればすぐに相手ができると思うわ。」
私「そうだといいんですけどね・・・」
ママ「あたしが応援してあげるから、ソウさんも頑張るのよ。」
私「はい、頑張ります。」
その後、続々と店に客が入ってきて私のとなりにも人が座って、私もいろいろとおしゃべりをした。2時間くらい店にいたあと、私は地下鉄で家に帰った。
土曜の夜なのでのんびりしようと思い、バスタブにぬるめのお湯を入れて、私はゆっくりと風呂に入っていた。そのときジュンが帰ってきて、バスルームの扉を開けて中をのぞいた。
ジュン「とうさん、お風呂入ってたんだ。」
私「ジュン、意外に早かったな、もう少し遅くまでみんなといっしょだと思ってた。」
ジュン「夕食食べながら飲んだだけだから、それほど遅くならなかった。俺もお風呂いっしょに入っていい?」
私「ぬるいぞ、それでいいんなら。」
ジュン「今日はけっこう暑いからぬるいほうがオレもいい。」
すぐに着ているものを脱いでジュンはバスルームに入ってきた。
ジュン「とうさん、もうけっこう長く入ってるの?」
私「まだ入ったばっかりだ。
ジュン「じゃあいっしょにゆっくり入れるね。」
私「からだ流したら、ほらこっち側に入っておいで。」
ジュン「入るよ、これだととうさんが窮屈じゃない?」
私「大丈夫だよ、もう少し足を伸ばしてもいいぞ。」
バスタブに私たちは向い合って入っていたので、足を開いた状態のジュンの股間がお湯の中で揺れているのが見えた。
私「ジュンもホント、大きくなったよなあ、ついこの前まではまだまだ子供だったのに・・・」
ジュン「オレだって成長してるもん。」
私「いつまでもジュンが子供と思ってちゃいけないんだけど、でもついかわいくて・・・」
ジュン「いいよ、オレはいつでもとうさんの子供なんだし・・・」
私「ジュン・・・」
ジュン「もうどうしたんだよ、とうさん、なんか気分が黄昏てるぞ。」
私「ゴメンゴメン、ジュンといっしょに風呂に入ってるんだから、とうさんはすごくうれしいんだけどね、それがいつまで続けられるのかと思うと、ちょっとさみしくなった・・・」
ジュン「そんないつかわからない先のこと考えてもしょうがないだろう、それにいつでも風呂ぐらいいっしょに入れるじゃんか。」
そのとき、ジュンは私のテンションを少しでも上げようと思ったのか、子供の頃のように私の脇腹のあたりをくすぐり始めた。
私「こら、ジュン、そこはやめろ。」
ジュン「へへへ、とうさんの弱点攻め・・・」
私「ダメだって、くすぐったいから・・・」
ジュン「ホントとうさんのこのへん感じやすいんだから・・・」
私「もういい加減にしなさい。」
ジュン「あっ、とうさん、すこし勃起してきてない?」
私「おまえがくすぐるからだよ・・・」
ジュン「とうさん、溜まってるの?」
私「まあな、このところ・・・」
ジュン「オレに遠慮せずに恋人見つけてもいいよ。」
私「ひょっとして、とうさん、ジュンの重荷になってる?」
ジュン「なんでそうなっちゃうんだよ、オレはとうさんが幸せになってほしいだけ。」
私「わかった、とうさんも幸せになれるようにがんばるから、その前にジュンが幸せになってくれよな。」
ジュン「オレは今この状態でもじゅうぶん幸せなんだけど。」
私「ジュン・・・」
二人ともなんとなくからだだけではなく気持ちまであたたかくなって風呂を出た。冷蔵庫から冷たく冷えたビールを出して飲んだあと、もう遅くなっていたので、寝ることにした。
ジュン「今夜はすこし暑いから、とうさん、オレがくっついて寝ると、暑苦しい?」
私「まだそれほど暑いわけじゃないし、ジュンがくっついて寝たくらいで暑苦しくなんかないぞ。」
そう言うとジュンはものすごくうれしそうな顔をして私の方にからだを寄せてきた。
私「ジュン、ゆっくり寝るんだぞ。」
ジュン「うん、おやすみ・・・」
そう言うとジュンはすぐに寝息をたて始めた。私はジュンを軽く抱いて、ジュンのからだの暖かさを心地良く感じていた。そして私も眠ってしまっていた。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

温泉宿で

今年のゴールデンウィークは、ジュンの院の試験が遠からずあるということもあって、あまり遠出はしない予定だった。ところが私のほうはゴールデンウィークの谷間の平日に休みを取ることになり、なりゆきで10連休ということになってしまった。どうしようかと思っていると、連休の前半は直さんに誘われて温泉に行くことになった。ジュンにどうするかときいたら、温泉宿の部屋で勉強できるからいっしょに行くという。ただし昼間は私と直さんはどこか観光にでも行って、ジュンは自分は一人で部屋で勉強できるようにしてくれるとうれしいと言う。直さんはジュンを可愛がってくれているので、一緒に行くのは大歓迎だということだったので、けっきょく三人で温泉に出かけることになった。
連休2日目の朝、私たちは直さんの車で温泉に向かった。関越道を通って松井田まで行き、横川の鉄道文化村に行った。文化村を見学したあと碓氷峠の線路跡を見に行った。レンガで作られた橋を見学し、そのあと私たちは早めに温泉宿に行って温泉に入ることにした。山の中にある一軒宿で、おそろしく静かで何も無いところなので、ジュンの勉強にはちょうどいいだろう。私たちはいったん部屋に荷物をおいてから、露天風呂に出かけた。川に近いところにある露天風呂は、パンフレットによると野趣あふれると書かれていたが、よく手入れされた気持ちのいいところだった。まだ少し時間が早いのか、露天風呂は空いており、私たちはのんびりと川の流れの音を聞きながら温泉につかった。そのあと部屋に戻っても、まだ夕食時間にはかなり時間があったので、私と直さんは川沿いの遊歩道を散歩に出かけることにした。
川沿いをゆっくりと歩いて行くと、小さな滝があった。滝の近くに行くと、すこし空気が清涼になり気持ちがさわやかになっていた。
私「こんなところに滝があるんですね。」
直さん「ここまではあんまり人が来ないのかな、静かだよね。」
私「それなりに歩きましたからね。」
直さん「滝の音を聞いていると、なんか心がしずまってくるね・・・」
私「なんか直さん、いつもと違って、大人っぽいですね・・・」
直さん「それって、いつもは大人っぽくないってこと?」
私「私は子供みたいに明るい直さんも、大人っぽい直さんもどっちも好きですよ。」
直さん「なんか適当に言いくるめられたような気がするなあ・・・」
私「すみません、変なこと言ってしまったかな・・・」
直さん「別にいいけど・・・」
私「スネてる直さんも私は好きだな・・・」
直さん「もう、ソウさん、いじわるだなあ・・・」
私「そんなつもりじゃなかったんですが・・・」
直さん「じゃあ、ソウさん、キスしてくれたら許してあげる。」
私「それで直さんの機嫌が治るんだったら、いくらでもしてあげる。」
直さん「いくらでもって、ホントにいくらでも?」
私「キスくらいいくらでもいいよ。」
直さん「じゃあ、早くしてほしいな・・・」
自然に目を閉じた直さんのくちびるに私は軽くキスをした。そしてすぐに私はくちびるを離した。
直さん「なんだ、そんだけ? いくらでもしてくれるって言わなかった?」
私「ディープキスしたら、直はすぐに腰砕けになるだろう、ここじゃまずい。」
直さん「確かにそうだけど、でも・・・」
私「そろそろ戻ろうよ、暗くなるといけないから。」
直さん「ゲッ、けっこう時間経っちゃったんだ。」
空はまだじゅうぶんに明るかったが、山に囲まれた川沿いは薄暗くなり始めていた。私たちは来た道を反対方向に少し急ぎ足で帰った。
部屋に戻るとジュンはなにか資料を食い入るように読んでいた。
ジュン「けっこう長く散歩してたんだね。」
直さん「ちょっと遠かったけど、滝があるっていうから見に行ってきたんだ。」
私「暗くなる前に帰りつかないといけないと思って、急いで帰ってきた。」
ジュン「夕食前にもう一度温泉に入ろうよ。」
直さん「うん、そうしようよ、外歩いたらからだが冷えちゃったし。」
私「夕食まであんまり時間がないから、今回は内湯にするよ。」
ジュン「内湯はまだ入ってないから、オレはそのほうがいい。」
部屋で浴衣に着替えて私たちは近くの内湯に向かった。内湯もそれなりに風情のある作りになっているが、やはり露天風呂のほうがいいのか、だれも先客はいなかった。
ジュン「うわっ、オレたちだけで、広いお風呂を独占できる。」
直さん「ジュンちゃん、ちょっとだけ湯船で泳ごうか。」
ジュン「うん、そうしようそうしよう。」
私「まったく二人とも子どもみたいに・・・」
ジュン「なんかスッポンポンで泳ぐとちょっと気持ちいい。」
直さん「ふだん隠してるところが、ゆらゆらして開放的で気持ちいいね。」
ジュン「とうさんも泳いだら?」
私「まったくしょうがないなあ、二人とも・・・」
子供みたいにはしゃいで泳ぎ回る直さんとジュンを見ていると、私は自然と幸せな気分になっていた。
ジュン「兄弟がいるってこんな感じなのかなあ。」
直さん「ジュンちゃん、うれしいこと言ってくれるね。」
私「直さんはいつもジュンを可愛がってくれるから・・・」
直さん「ジュンちゃんがゲイだったら誘惑したかもね。」
ジュン「うわっ、問題発言、翼兄ちゃんに言いつけちゃおうかな・・・」
直さん「ゲッ、それはマズい、翼に殴られる・・・」
私「まったく、翼くんは殴ったりする子じゃないと思うけど・・・」
ジュン「翼兄ちゃんはそのくらい直さんのことが好きなんだよ。」
直さん「とてもそうだとは思えないけど・・・」
ジュン「とうさんにもそんなに思ってくれる人ができるといいね。」
私「できるといいんだけどね。」
直さん「ソウさんだったらぜったいできるって。ぼくだって翼を好きになる前にソウさんに会ってたら、好きになってたと思うし・・・」
ジュン「オレは、翼兄ちゃんが直さんのことを好きなのと同じくらい、とうさんのことが好きだよ。」
私「ジュン・・・」
直さん「ジュンちゃん、優しいね。」
温泉でからだだけでなく、心までじんわりと暖まったような感じがしていた。温泉宿の夜はゆっくりと静かに時間が過ぎていくようだった。

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