俊顕くんの家でコンサート

俊顕くんちのコンサートは今年は11月にやることになり、俊顕君とジュンの学生最後のコンサートということになった。来年からはふたりとも社会人となって、学生とは違うので、以前のような頻度でコンサートは開催できなくなるだろう。今回はとりあえずの締めのコンサートということで、曲目は以前に演奏をしたものから、俊顕君の母上が選曲したプログラムで演奏することになった。
そしてコンサートは先週の土曜の午後に開催された。

金曜の夜、私はジュンと夕食をいっしょに食べた。ヒロはその日は演奏会があるということで、私のマンションに来るのは深夜近くになる予定だった。
ジュンと直さんは、俊顕君の家に泊まりこみ備えるということで、ジュンは早々に出かけていった。私とヒロは、当日に俊顕君の家の車が出迎むかえに来てくれる予定だった。

金曜の夜遅く、12時近くなってヒロが戻ってきた。
私「ヒロ、疲れただろう?」
ヒロ「まあね、でも今日は明日に備えて省エネ演奏したから。」
私「プロがそんな演奏でいいのか?」
ヒロ「だって明日と連投なんだもん、どっちか手を抜かないと、からだが持たないよ。」
私「なんか野球の投手みたいだね。」
ヒロ「まあピアニストもからだを使うってことではアスリートみたいなもんだからね。」
私「お腹すいてない?」
ヒロ「大丈夫、弁当食ったし、打ち上げの飲み会でも軽く食べたからね。」
私「じゃあ、明日に備えて、早寝するか。」
ヒロ「その前に、シャワーあびてくる。肉体労働者だからすげえ汗かいたからね。流さないと、臭って聡一に嫌われるといけなかいら・・・」
私「べつにヒロの匂いなら気にならないけどね。」
ヒロ「俺のほうが嫌なの。」

ヒロがバスルームに入っていった後、私はベッドに横になって本を読みながらヒロを待っていた。しばらくしてヒロがベッドルームに裸で戻ってきた。

私「こらこら、裸だと風邪引くぞ。」
ヒロ「だいじょうぶ、お湯にゆっくり浸かりすぎて、暑いんだもん。」
私「変えのシャツとパンツ出しておいただろう。」
ヒロ「うん、ありがとう。でも着てもすぐ脱ぐから。」
私「こらこら、コンサートの前の晩だぞ。」
ヒロ「なんかすげえムラムラするんだよね、今夜は演奏後で興奮してるせいかよけいそうなるのかもしれない・・・」
私「明日までガマン!」
ヒロ「ちぇっ、せっかく俺がエロい裸で誘ってるのに・・・」
私「早く、パンツはいて!」
ヒロ「しょうがねえなあ、明日までお預けか・・・ でも明日の夜はジュンちゃんがいるじゃないか。」
私「ジュンは明日の夜は、直さんちに泊まるってさ。」
ヒロ「おおっ、それはうれしい。」
私「ジュンもよけいな気を使って・・・」
ヒロ「たぶん、ジュンちゃんじゃなくて直さんが気を利かせてくれたんだよ。
私「どっちでもいいよ、つまり明日の夜の私たちの行動はすべてあのふたりにはわかってるってことだろ、それが気になるよね。」
ヒロ「みんなやってることじゃんか。だから心置きなく楽しもうね。」
私「はいはい、ヒロ、目がらんらんと輝いてるぞ。」
ヒロ「明日のリハーサルをちょっとやろ。」
私「リハって、コンサートのか?」
ヒロ「ちげえよ、もうわかってるくせに・・・」
私「はいはい、疲れてるんだろう、早く寝なさい。」
ヒロ「ううう、下半身が突っ張って眠れねえ。」
私「じゃあ、トイレに行ってオシッコしておいで。」
ヒロ「そっちじゃねえよ、ったく・・・」

と言いながらも、かなり疲れているのか、ヒロはしばらくすると本当に眠り始めた。私もヒロの体温を心地よく感じながら自然に寝てしまっていた。

よく朝早く私は目を覚ました。ヒロは疲れているせいかまだ熟睡していた。私は、ちょっと寝たりないくらいのほうが体調がいいので、ヒロを起こさないように静かに起き上がった。そして熱いシャワーを軽く浴びて目を覚ましてから、キッチンでコーヒーをいれて、リビングのソファーでゆっくりと飲んだ。ベランダに出て天気を見ると、曇りがちだったけれど雨は降っていないようだった。
私は軽くヴァイオリンで指慣らしをしていると、8時頃にヒロがベッドルームから出てきた。

ヒロ「なんだ、さらってたんだ。起きたら聡一がいないから、目覚めのキスをしてもらえなかった。。。」
私「なに朝から拗ねてるんだよ、ほら、おいで、キスしてあげるから。」
ヒロ「起きたらすぐにしてほしかったのに・・・」
私「ほら、キスしてあげる。そしたらシャワー浴びて目を覚ましておいで。」
のろのろとヒロはバスルームのほうに眠そうな足取りで歩いていった。しばらくすると、こんどは見違えるようなさわやかな顔でバスルームから出てきた。
私「目が覚めたみたいだね。」
ヒロ「お腹減った。」
私「はいはい、すぐに朝メシ食べれるよ。」

私たちはカロリーを補給するために、ご飯を主食に和食の朝食をしっかりと食べた。食後のコーヒーを飲み終えた頃、俊顕君ちの運転手さんから、マンションの下に着いたとの電話がかかってきたので、私たちは荷物を持って降りていった。

私「わざわざ、出迎えしてもらってすみません。」
運転手さん「いえいえ、これが私の仕事ですから。若旦那様のお話だと、演奏される方はコンサートの前は、なるべく心静かにしたほうがいいそうですからね。静かな運転を心がけますので、しばらくの間、くつろいでお過ごしください。」
私「お手数かけます。」

さすがにプロの運転手さんだけあって、けっこうな速度で走っているのに、車はあくまでなめらかに進んでいった。

俊顕くんの家に入ると、サロンからはピアノの音が聞こえていた。俊顕くんと直さんが練習しているようだった。
しばらく私たちは、用意されていたお茶を飲みながら俊顕くんと直さんの演奏を聞いていた。ヒロが私の耳元で小さな声で行った。

ヒロ「それにしてもこのふたり、すげえのびのびと自然な演奏するね、俺も負けないように頑張んなきゃ・・・」
私「ジュンとのシューベルト、楽しみにしてるよ。」
ヒロ「俊顕くんとの連弾も楽しみだ・・・」

私たちは交代で最後の練習をした。今回私が弾くフランクは、前々回のコンサートでヒロと一緒に弾いたものである。今回はジュンのピアノで弾くということで、またちょっと私は新鮮なものを感じていた。

みんなの練習が終わるとちょっと遅いお昼をいただくことになった。仕出し屋さんから運ばれてきた弁当を私たちは食べた。

そして楽屋代わりの俊顕くんの広い部屋で、各自それぞれ演奏までモチベーションを高めていった。俊顕くんは静かに目をつむって瞑想をし、ヒロと私は楽譜を読み、ジュンと直さんは相変わらずじゃれあっていた。そんなところに俊顕くんの母上が挨拶に来て、みんなにていねいにお礼を言ってくれた。

そしてステージ衣装に着替えて、準備も終わり、まずは俊顕くんとヒロとの、モーツァルトの連弾でコンサートは始まった。私は自分の演奏のまえは緊張しているせいか、他の人の演奏はまるで聞こえてこない。ふたりの演奏は耳には入ってきているのだが、本当の意味では聞こえていないのだ。
そして、2曲目は俊顕くんの独奏で、ドビュッシーだったが、次の演奏を控えて、私は聞くどころではなかった。
そして、とうとう三曲目の、私とジュンとの演奏になった。ジュンは堂々としていたが、私のほうはけっこう舞い上がっていた。舞台に出て、客席に向かって挨拶をしたあと、私はしばらく目を閉じて心を落ち着かせた。そしてチューニングを少し確認してから、ジュンの方を見た。ジュンがうなづいて、少ししてピアノを弾き始めた。その音を聞くと、なぜか急に心が落ち着いてきて、ヴァイオリンの第一音がきれいに出てくれた。それからは私とジュンはだんだんと高揚してきて、そして目の前に広々とした美しい景色が急に開けてきたような錯覚を覚えた。そして30分弱の演奏をものすごく気持ちの良いい状態で終えることができた。私たちの演奏は客席にも伝わったようで、演奏後は暖かな拍手がうれしかった。

そして休憩の後の後半の演奏は、私はもう出番が終わっているので、客席のいちばん後ろで落着いて聞くことができた。後半の最初の曲は、俊顕くんと直さんの2台のピアノのソナタで、これは聞いていると自然に幸せになってくるような、ものすごくいい演奏だった。
そして2曲目はヒロの弾く、珍しいフランクのピアノ曲だった。地味な曲だが、ヒロの演奏は生き生きとして、この曲の別の側面を見せてもらったような気がした。
そして最後は俊顕くんとジュンの連弾で、シューベルトの大曲だった。これも練習を重ねて、曲の偉大さを観客に自然に感じさせる演奏だった。

それでプログラムの曲は終わり、鳴り止まない拍手に、私たちはアンコールを弾くことになった。アンコールは俊顕くんの母上の一番好きな曲で、フォーレのドリーをやることになった。これは小曲が六曲集まった組曲で、連弾の曲である。第一曲は、なんと私がプリマを弾き、セコンダは俊顕くん、そして二曲目はヒロとジュン、そして三曲目は俊顕くんと直さん、四曲目はヒロと俊顕くん、五曲目がジュンと直さん、そして最後の六曲目は俊顕くんとジュンが弾いて、アンコールは終わった。アンコールはみんなで交代で弾いて、とりあえず最後となるコンサートの終わりとしては、楽しいものとなった。

コンサートの後は例によって、アフターヌーンティーパーティーとなった。もちろんワインも用意されていた。私たちは片手にワイングラスを持って、演奏者として挨拶をして回った。俊顕くんの婚約者ももちろん聞きに来ていた。

俊顕くんの婚約者「みなさん、ほんとうにすてきな演奏でしたわ。楽器ができるっていいですわねえ。」
俊顕くん「きみだって、クラリネット吹けるだろう?」
俊顕くんの彼女「部活のブラスバンドでちょっと吹いてただけだから、今はとても人前で披露できるような腕前じゃないんですのよ。」

そこに俊顕くんの母上がやってきた。

母上「みなさん、ほんとうにお疲れ様でした。すばらしい演奏を堪能しましたわ。」
俊顕くん「アンコールのフォーレ、良かったでしょ?」
母上「みなさん、交代しながら弾いてるのが、楽しそうで、聞いてる私たちも楽しい気分になりましたわ。」
直さん「なんか最後のコンサートなんて、残念だな。」
母上「来年からは、俊顕もジュンちゃんも社会人になるわけだから、学生の時のようには時間がなくなるでしょうけど、また余裕ができたら、ぜひ演奏してもらいたいとは思ってますのよ。」
俊顕くん「俺たち、社会人になったらどれだけ忙しくなるのかわからないから、はっきりしたことは言えないけど、またコンサートはやりたいとは思ってる。」
母上「毎年じゃなくてもいいから、できるといいわね。やるのなら、私はいつでも応援しますからね。」

二時間ほどでパーティーはお開きになり、私とヒロはタクシーでマンションに帰った。ジュンは俊顕くんといっしょに直さんのところに泊まりに行くということで、別れたのだった。

マンションに帰ると、私もヒロも疲れきっていて、風呂にゆっくりと浸かった後は、そのまますぐに寝てしまったのだった。

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