実家で迎えた正月

大晦日の夜は、私の実家でヒロも泊まることになり、客間は少し広いので寒いということで、私の部屋で3人並んで寝ることにした。ベッドはジュンが寝て、ベッドの横に布団を二枚押しこむように敷いた。
私「ちょっと狭いけど、一晩だから、我慢して。」
ヒロ「いいよ、狭いほうが暖かいしね。」
ジュン「じゃあ、今回はオレはベッドで寝るからね。」
私「ジュン、一人で寝て風邪引くなよ。」
ジュン「寒かったらそっちに行くからだいじょうぶ。」
ヒロ「下は3人じゃ狭いだろう・・・」
ジュン「べつにヒロちゃんがベッドで寝てもいいんだよ。」
ヒロ「オレは聡一と一緒に寝る、だって久しぶりなんだもんね。」
私「じゃあ、寝よう、ジュンもヒロもおやすみ。」

私は電気を消して、ヒロのとなりに横になった。ヒロの手が私の中心に来て、手の平で私のを軽く包み込むようにした。私はそれには気づかないふりをしていたら、ヒロも眠くなったのか、自然と手が離れていき、ヒロの寝息が聞こえ始めた。私もいつの間にか眠ってしまっていた。

翌朝、目が覚めると、隣のヒロはまだ気持ちよさそうに眠っていたが、ベッドにいたはずのジュンはもういなかった。
私は服を来て部屋から出て行った。キッチンの方から母と姉の声がしていた。

私「ああ、お母さん、おねえちゃん、おはよう。」
母「新年のごあいさつは後で、みんなでちゃんとしましょうね。」
私「ジュンがいないんだけど・・・」
姉「ジュンちゃんならお父さんの朝の散歩に一緒に行ってくれたわよ。」
私「こんな寒いのに?」
母「大雪でもない限り、健康のためって言って、お父さんは毎朝散歩に行くのよ。今朝はジュンちゃんがいっしょだから心配ないんだけど、ふだんは一人で行きたがるから、ちょっと心配なのよ。」
姉「まあ、朝の散歩に一人で行きたがるくらい、お父さんの好きなようにさせてあげたほうがいいと思うわよ。」
母「ジュンちゃんとなら喜んでいっしょに行くのにね。」
姉「ご近所のお年寄りに自慢の孫を見せたいんでしょ。」
母「お雑煮はお父さんとジュンちゃんが帰ってきてから作るつもりだけど、聡一、おなかすいてるんだったら、お節の余った分を先に食べてていいわよ。」
私「いいよ、みんなでいっしょに食べよう。それより、コーヒー飲みたいな。」
母「ちょっと待ちなさい、いれてあげるから。」
姉「お母さん、ホント男どもには甘いんだから。ソウちゃん、自分でいれなさいよ、コーヒーメーカーのあるところわかってるでしょ。」
私「なんだよ、おねえちゃん、俺は最初から自分でいれるつもりだったのに・・・」
姉「じゃあ、いれてちょうだい、それからあたしの分もいれといてね。」
私「まったく、おねえちゃんはいつもそうなんだから・・・」
姉「どうせコーヒーメーカーでいれるんだから、何杯作っても同じでしょ。」
私「はいはい、いれますよ。」

コーヒーメーカーをセットして、私は部屋に戻った。ヒロはまた布団に包まれて気持ちよさそうに眠っていた。

私「ヒロ、そろそろ起きないか?」
ヒロ「ああ、聡一、おは、ふわああぁ、よう・・・」
私「早く起きな、コーヒーいれたから一緒に飲もう。」
ヒロ「ああ、よく寝た。ねえねえ、聡一、起きるから、ちょっとアレ触って・・・」
私「ちょっとだけならね。」
ヒロ「もう痛いくらい固くなっちゃってんだ、だからもう少し念入りに触ってほしい・・・」
私「まったく、もうちょっとだけ触ってやったから、終わり、トイレに行けばすぐに柔らかくなる。」
ヒロ「ちぇっ、しょうがねえなあ・・・ アレ、ジュンちゃんは?」
私「なんか親父と散歩に行ってる。」
ヒロ「そうなんだ、しょうがないなあ、俺も起きようかな。」
私「じゃあ、着替えたらリビングにおいで。」

リビングに戻って、母と姉といっしょにコーヒーを飲んでいると、ちゃんと身支度を終えてヒロが入ってきた。

私「新年の挨拶は、みんな揃ってからするからね。」
ヒロ「そうなんだ、とりあえずおはようございます。」
姉「聡一の部屋せまかったでしょ、よく眠れました?」
ヒロ「はい、ぐっすり寝られたので、疲れがとれました。」
母「こんな遠くまで来てくださって、ほんとうに嬉しいわ。」
ヒロ「違った土地の正月を一度体験したかったんで、聡一さんにお願いしたんですよ。」
姉「ヒロさんは、どちらで育ったんですか?」
ヒロ「俺は東京の郊外でずっと育ちました。」
姉「じゃあ、ここみたいな地方のお正月は初めてなんですね。」
ヒロ「そうなんですよ。」
母「それじゃあ、お雑煮もずいぶんと違うんでしょうね、こちらのお雑煮、口に合うかしらね。」
ヒロ「お雑煮、どんなものか楽しみです。」

そうしていうちに、父とジュンが散歩から戻ってきた。私たちは和室に移り、父を中心に座って、お屠蘇で新年を祝った。

父「今年もこうやって家族全員揃って正月を迎えることができた。さらに今年は○○くんも来てくれて、賑やかな正月になった。今年もみんなが健康に過ごせるように祈って、乾杯をする。じゃあ、みんな、いいか。新年おめでとう、乾杯!」

新年のあいさつが終わって、母と姉がお雑煮を仕上げて持ってきてくれた。

母「今年は●吾さんが来られなくて残念だわね。」
父「このところずっとウチで正月を迎えてくれておったが、あちらのご両親にはさみしい思いをさせて悪いと思っていたんだ。」
姉「あちらの両親もけっこう年取っちゃったから、仕方ないわよ。」
私「お義兄さん、おねえちゃんがいなくてせいせいしてたりして・・・」
姉「うるさいわねえ、ホント聡一はいくつになってもかわいくないんだから。まあ、●吾もあたしも、親孝行ができるうちに多少はしておかなきゃね。特に●吾は一人息子だしね。」
母「お父さんが悪いときはほんとうに●吾さんには良くしてもらったから、助かったわ。来年は、理●があっちで正月しなきゃね。」
姉「それはいいわよ。それにあたしがいないほうが、親子水入らずでかえっていいんじゃないのかな。」
母「そんなものなのかねえ・・・ あら、お雑煮なくなっちゃったわね、欲しい人にはまた作るわよ。ヒロさん、いかが?」
ヒロ「ああ、いただきます、ほんとおいしいお雑煮ですね。」
ジュン「オレも食べる。」
母「聡一もいるでしょ。」

お雑煮のおかわりを作ってもらい、私たちはじゅうぶんにお節も食べたのだった。
そして昼になり、ヒロが出発する時間になった。

ヒロ「どうも、お正月におじゃましてすみませんでした。」
父「こんなところでよかったらいつでも来なさい。」
ヒロ「ありがとうございます、また来ます。」
母「こんな子ですけど、聡一をよろしくお願いしますね。」
ヒロ「ああ、いや、その、ええと、お世話になっているのは俺の方で・・・」
母「でも、最近聡一がずいぶんと気持ちが穏やかになってきましたのは、ヒロさんのおかげじゃないかしら・・・」
ヒロ「そうだと嬉しんですけど・・・」

母のさりげない言葉を、ヒロは緊張して受け止めたようだった。実家を出て、車で駅まで送る時に、ヒロは言った。

ヒロ「ねえねえ、聡一のお母さんって、俺と聡一のこと、どこまで知ってるの?」
私「仲のいい友達ってしか言ってないけど。」
ヒロ「じゃあ、なんで俺に聡一をよろしくなんて言ったんだろう・・・」
私「なんか、母親の感で何か感じるところがあったのかもしれないけど、ことさら意識して言ったわけじゃないと思うけど・・・」
ヒロ「でも、まあどっちにしろ、お母さんからちゃんとした言葉で、聡一のことをお願いされちゃったわけだから、なんか俺、嬉しい・・・」
私「ちゃんとホントのことを言える時がくるといいんだけどね・・・」
ヒロ「今はこれでも良しとしなきゃなんないと思うよ。」
私「つぎはヒロの両親のところに行かなきゃね。」
ヒロ「うちの場合は最初からはっきり言ったほうがいいかもしれない。」
私「いいけど、うまくいくかな、ヒロにリスクは負わせたくない。」
ヒロ「どうすればいいか、ちょっと考えとくね。」

駅でヒロと別れて、私は実家に戻った。特にやることもなく、私たちは歩いていける神社に初詣に行った。

母「もうジュンちゃんには学業成就のお守りもいらないわねえ・・・」
ジュン「まだ、オレ、院の修了してないもん、お守りいるよ。」
母「あら、そうよね、なんかおばあちゃん、ジュンちゃんがもう仕事してるような気になってた。」
姉「ホントジュンちゃん、大人になったわねえ。」

私たちは初詣をすませて、母はジュンのためにお守りを買い、私と父は絵馬を買った。
私は絵馬に家族全員が健康で過ごせますようにとかいた。父は、ジュンが社会人として立派な仕事ができますように、と書いてくれていた。

そして私たちはまたぶらぶらと歩いて実家に戻った。

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旅先でヒロと合流して

ジュン「とうさん、そろそろ起きなよ。」

そういうジュンの声で、私は大阪のホテルの部屋で目を覚ました。二度寝をしたせいか、いつもの時間には起きられなかったようだった。

ジュン「オレ、腹減ったから、朝メシ食いに行こうよ。」
私「ふぁあ、よく寝た。ちょっと待って、軽くシャワーを浴びて目を覚ますから。」

私は起き上がって、手でさりげなく朝立ちでふくらんだところを隠しながら、バスルームに急いだ。前日出したときはひときわ激しく朝立ちしてしまう。まあ、隠したところで男同士なんだからジュンもわかってはいると思う。

急いでシャワーを浴びてスッキリしてから、私はジュンと一緒にホテルの朝食ビュッフェに出かけた。それぞれ食べたいものを皿に盛って、明るい席に私たちは座った。

ジュン「なんかすげえお腹へっちゃって。」
私「よく眠れたみたいだね、肌がつやつや輝いてる。」
ジュン「なんか溜まってたものが出ていった感じで、すげえからだが軽くなった。」
私「とうさんも今朝はすげえ気持よく目覚められた。」
ジュン「だいぶ調子良くなったみたいだね。」
私「調子が悪かった時は、朝起きた時にものすごい不安を感じたんだよな・・・」
ジュン「オレはいつもとうさんのそばにいてあげるつもりだし、ヒロちゃんも来年からは仕事減らしたほうがいいかなって言ってたから。」
私「なんか、ふたりには余計な心配させちゃったね。」
ジュン「でも、良かったこともあるんだよ。」
私「そんなことあるのか?」
ジュン「なんかヒロちゃんも真剣にとうさんのことを心配してるのを見て、ちょっとヒロちゃんとわかりあえたような気がするもん・・・」
私「そうなんだ、それは良かった、とうさんはジュンとヒロが仲良くしてくれるのがいちばん嬉しいからね。」

朝の心地良い光のなかで、ジュンとふたりの穏やかに食べる朝食がやけにおいしかった。

朝食の後、部屋に戻って少し休んでから、ジュンが行ってみたいと言ってた、大阪駅の北側にできたショッピングエリアに出かけることにした。私はヒロといっしょに一度行ったことがあったのだが、ジュンは初めてだった。
ジュンに付き合って、人混みの中をいろんな店を回わっていった。
ちょうどいいトランクスがあったので、旅行中の寝る時用に、ジュンに二枚買ってやった。

そして大阪駅からJRに乗って、奈良方面に行くことにした。環状線を半分まわっていくので、時間はかかるけれど、乗り換えなしで奈良駅に着くことができた。
そしてお土産物屋が並ぶ商店街をぶらぶら歩いて、興福寺まで行き、有名な阿修羅像を眺た。
途中で昼食をとった後、こんどは奈良観光の定番、大仏を見に東大寺まで行く。鹿に餌やりをしてから、大仏を見物して、また歩いてこんどは近鉄の奈良駅に戻ってきた。
近鉄電車で30分ほどでこんどは難波に戻り、黒門市場や法善寺横丁、道頓堀をぶらぶらと散歩した後、地下鉄に乗って夕方にはホテルに戻ってきた。

ジュン「今日はいろんなとこに行けて楽しかった。」
私「けっこう盛りだくさんだったね。」
ジュン「晩御飯どうする?」
私「大阪らしいもの食べようか?」
ジュン「それなら、串かつ!」
私「じゃあ、後でフロントでいい店を教えてもらって、そこに行こう。」
ジュン「どうする、少し休む?」
私「とうさんは、風呂で暖まろうかな。」
ジュン「じゃあ、オレはまた少しパソコン使うね。」

そして風呂で暖まり、少し部屋で休んでから、私たちはフロントで教えてくれた比較的近くにある串揚げのお店に行って、ビールを飲みながら串揚げをたくさん食べたのだった。

翌31日の朝、私たちはホテルで朝食をゆっくりと食べたあと、大阪駅から電車に乗った。1時間以上乗って、新幹線との接続駅に着いた。そして新幹線の出口の改札で待っていると、しばらくしてヒロが降りてきたのだった。

ヒロ「ゴメン、ちょっと新幹線遅れ気味だった。」
私「それほど待ってないよ。」
ジュン「ヒロちゃん、もう仕事はいいの?」
ヒロ「うん、さすがに大晦日の夜の仕事は入れなかったからね。」
私「いいのか、ウチの実家に来て・・・」
ヒロ「別に今回は、俺が聡一の嫁ですって言う訳じゃないから、まあなんとか・・・」
ジュン「そうそう、ヒロちゃんはとうさんのお嫁さんになるには、まだまだ修行が必要だもんね。」
ヒロ「ったくジュンちゃんは・・・ でもジュンちゃんも協力しろよな。」
ジュン「今回はどういう話にすればいいの?」
私「ええと、ヒロはとうさんの親しい友だちで、たまたま仕事でこっちの方に来たから、東京とは違うお正月に興味があって、そんで来たってことで。」
ヒロ「それに今夜はお世話になって、明日は、お正月のごあいさつを聡一のご両親にしたら、すぐに俺は自分の実家に行くからね。だから明日はお正月を二回祝うことになるのかな・・・」
私「まあ今回はヒロの顔を両親に見てもらうだけが目的だからね。」
ジュン「ヒロちゃん、おじいちゃんたちに気に入られるかなあ。」
ヒロ「とにかく、そのあたりはがんばるから・・・」

私たちは特急列車に乗って私の実家の最寄り駅に降りた。そしてタクシーに乗って実家に行った。玄関を入ると母と姉が迎えに出てくれた。

私「ただいま。」
母「ジュンちゃん、聡一、おかえりなさい。」
私「ええと、友達の○○ヒロ、そんでこっちが母で、こっちが姉。」
姉「聡一の姉の●●です。よろしく。」
母「ほんとうに遠いところで大変だったでしょう?」
ヒロ「いや、ちょっと仕事がらみで近くまで来てたものですから。」
母「お父さんは居間にいるから、とりあえずそっちに行きましょう。」

居間に入っていくと父がソファに座ってテレビを見ていた。

私「お父さん、ジュンと帰ってきたよ。」
父「おお、ジュン、久しぶりだな。」
母「聡一のお友達の○○さんがお見えですよ。」
ヒロ「初めまして、聡一さんの友達の○○ヒロです。」
父「聡一がいつもお世話になっとります。」
ヒロ「いえいえ、お世話になってるのは私のほうで・・・」
姉「○○さんはピアノを弾いてらっしゃるんですって?」
ヒロ「いちおうそういうことになっています。まあ本業は音大の教員ですけど・・・」
母「まあ、それはステキだわ。私もヘボピアノですけど、近所の子供に教えたりしてますのよ。」
父「私も以前は大学で教員をしておったから、○○君は専門は違ってもいわば同業者だな。」
姉「あたしも○○さんみたいにステキな先生に教えてもらってたら、ピアノ弾けるようになったかもしれなわ・・・」
私「まったくおねえちゃんは相変わらずチョー面食いだなあ。」
父「まあこんな田舎だが、ゆっくりしていってください。」
ヒロ「ありがとうございます。」

挨拶が終わってお茶を飲み終えると、母と姉はお節の準備の途中とかで、キッチンに戻っていった。ふたりがいなくなるとなんとなく会話が途切れてしまっていた。父は夕食まで部屋で休むと言って、居間を出ていった。

ジュン「ヒマになっちゃったね。」
私「ジュン、やんなきゃいけないことあったら、部屋に行っていいぞ。」
ジュン「今はいい。」
ヒロ「なんかいいご両親だよね、聡一はこういう人たちに大事に育てられたんだっていうのが良くわかった。」
ジュン「ヒマだから、ヒロちゃん、連弾しよう。」
ヒロ「ピアノ、弾いていいの?」
私「古いピアノだけどね、ちゃんと手入れはしてるから。」
ジュン「けっこうひきやすいピアノだよ。」
ヒロ「ジュンちゃん、何弾く?」
ジュン「モーツァルトの連弾ソナタの楽譜ならあるよ。」
ヒロ「じゃあ、どれ弾く?」
ジュン「D-dur(K.381)ならすぐ弾ける。」
ヒロ「それなら俺もだいじょうぶ。」

ジュンは楽譜をすぐに探しだして、ピアノの譜面台に置いた。

ジュン「ヒロちゃん、どっち弾く?」
ヒロ「じゃあ、ジュンちゃん、プリマ弾きなよ。」
ジュン「いいの? オレ、プリマのほうがよく入ってるんだよね。」
ヒロ「じゃあ、決まり、テンポはこのくらいでいい?」
ジュン「最初はもうちょっとゆっくり目でやってみようよ。」
ヒロ「いいよ、じゃあ、このくらいかな。」
ジュン「じゃあ、とうさん、めくってね。」
私「ああ、いいぞ。」

ジュンとヒロは目の覚めるようないい音でピアノの連弾を始めた。このピアノがこんなにクリアな音で鳴るとは私もちょっと驚いていた。少しすると、姉と母がエプロン姿でキッチンから出てきた。母などは持ったままの菜箸でリズムを取りながら、ジュンとヒロのピアノを聞いていた。
この連弾ソナタは15分弱で三楽章全部の演奏が終わってしまう。私はもう少し聞いていたい気分だった。

姉「すごいわねえ、ウチのピアノがこんな豊かな音がするとは知らなかったわ。」
母「なんか、もっと聞いていたいわねえ。」
ジュン「じゃあ、おばあちゃん、もう一曲弾いてあげるよ。ヒロちゃん、もう一曲付き合ってよ。」
姉「おかあさん、お箸置いてきなさいよ。」
母「そうね、エプロンも取りましょう。」

そしてジュンとヒロは続いて、B-dur(K.358)を弾き始めた。ふたりともだいぶ気持ちが融け合ってきたのか、前の曲よりももっと完成度の高い演奏だった。

母「○○さん、ジュンちゃん、ほんとうにステキな演奏だったわ。いい新年が迎えられそう・・・」
姉「いい気分になったところで、お節の仕上げをしなきゃならないわ。」
母「そろそろ、お風呂のお湯が入ったころだから、聡一、お父さんに入らないか言ってきてちょうだい。」

母に言われて父の部屋に行くと、父はこたつで居眠りをしていた。

私「お父さん、そんなところで寝てると、風邪引くよ。お風呂が沸いたみたいだから、先に入ったら?」
父「ああ、聡一か、お前たち、先に入らんのか?」
私「後でゆっくり入るから、お父さんお先にどうぞ。」
父「じゃあ、先に入るらせてもらうか。」

そして交代で風呂に入っていると、すぐに夕食の時間となった。できたばかりのお節の味見をしながら、にぎやかに夕食をすませた。
夜は更けていき、静かな大晦日が終わり、遠くの方から除夜の鐘が聞こえてきた。静かな新年を私たちは迎えた。




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帰省の前の小旅行

昨年末は、ジュンもヒロも例年以上に忙しく、ヒロは30日の夜まで仕事があり、けっきょくあまり会うことができなかった。ジュンのほうは29日から休みを取れるようになったので、本来は3人で行く予定だった年末旅行を、ジュンとふたりで帰省がてらすることになったのだった。
29日はジュンといっしょに朝早くマンションを出て東京駅に向かった。年末の帰省の時期だったので、東京駅はけっこう混雑していたが、急がない旅なのでこだまに乗って出発した。
ジュン「こだまは比較的混んでないんだね。」
私「まあ京都まで行くなら、ふつうはのぞみに乗るからね。」
ジュン「でもこだまで各駅に止まっていくのは好きだな。」
私「けっこう時間がかかるから、ジュン、パソコン使っていいぞ。とうさんは外の景色を眺めるの好きだからね。」
ジュン「うん、まだちょっとやらなきゃならないことがあるんだよね、ゴメンね、とうさん、オレパソコン使うから、通路側に席替わるよ。」
私「とうさんのことは気にしないでゆっくりパソコン使っていいからね。」

私が窓側に移って、ジュンは通路側の席に座りパソコンを開いた。私はちょうど通りがかった車内販売のお姉さんからコーヒーを買って飲みながら、窓の外を流れすぎる景色をぼんやりと眺めていた。
その後少し居眠りをしていると、電車は名古屋を通り過ぎていた。私はトイレに行ったついでにデッキで義兄に電話をしてみた。
私「もしもし、お兄さん、俺、聡一です。」
義兄「あれ、聡一、いまどこにいるの?」
私「新幹線で名古屋を過ぎたところ。」
義兄「そうなんだ、俺は一人で実家に帰ってるよ。」
私「あれ、お姉ちゃんは?」
義兄「昨日から、ご両親のところに戻ってるよ。昨日は俺が車で送っていったんだけどね。俺のほうは少し前にこっちに戻ってきたところだよ。」
私「そんで、正月は?」
義兄「正月は両親と3人で静かに過ごすよ。」
私「じゃあ、正月は夫婦別々?」
義兄「そうなんだよね、まあ、それぞれ親が年だから、少しでも親孝行しようってことでさ。」
私「でも、兄貴のご両親は元気なんでしょ?」
義兄「そうなんだけどね、まあ後何年いっしょに正月を迎えられるかわからないからね。それより、聡一、これから会わないか?」
私「今日はジュンがいっしょだからダメだよ。」
義兄「そうなんだ・・・ じゃあ、年明けに東京に帰る途中で寄らないか?」
私「ちょっと2日にそっちで友達に会うから、その時だったらちょっとだけ・・・」
義兄「ほんとか、うれしいな、楽しみだな。」
私「会うだけだよ・・・」
義兄「とりあえず聡一の顔を見たい・・・」
私「じゃあ、また連絡するから。」
義兄「待ってるよ。」
私は電話を終えると、元の席に戻った。ジュンは相変わらず、パソコンに没頭していた。

そしてこだまは雪景色の伊吹山の下を通り、琵琶湖をちらっと見ながら、京都の到着した。
ジュン「うへっ、京都って、すげえ寒い。」
私「盆地だから昼間でも底冷えがするね。」
ジュン「どうしようか?」
私「どこに行く?」
ジュン「京都らしい庭のある寺に行きたいな。」
私「ここからだと、東福寺がけっこう近くで、枯山水の方丈があるよ。それと、雪舟の庭園のある別院もあるし。」
ジュン「オレはそこでいいよ。」
私たちは奈良線の電車に一駅だけ乗って東福寺駅に下りた。ここは京阪電車との乗り換え駅だが、狭い通路の小さな駅である。
ジュン「お腹すいたね。」
私「上方寿司でも食べようか?」
ジュン「うん、それってあんまり東京じゃあ食べられないもんね。」
私たちは駅前の寿司屋に入って、上方寿司のセットを頼んだ。握りと違って手間のかかった寿司は、京都らしくきれいに盛り付けられていた。
そして駅から10分ほど歩いて、東福寺に行った。
そのまま方丈に入って、私たちは寒さで身を寄せるように縁側に座って枯山水の庭を眺めた。
方丈

ジュン「年末なのにけっこう空いてるね。」
私「この寒さじゃ、庭見物もたいへんだからね・・・」
ジュン「でも、なんか底冷えの中で石庭を眺めるなんて、すげえそれが京都らしい感じだよね。それにとうさんとくっついてると、なんか暖かいし・・・」
私「寒いから、風邪引くなよ。」
ジュン「なんか、石庭を見てると、なごむよね・・・」
私「なんか、このところ不安定だった気持ちが、修復されていくよね。」
ジュン「なら良かった、けっこうオレもヒロちゃんも心配してたんだから・・・」
私「ありがとね、それはとうさんもわかってたよ・・・」
ジュン「でも、来て良かった・・・」
私「寒いけど、ジュン、だいじょうぶか?」
ジュン「オレはまだ平気。とうさんは?」
私「けっこう厚着してるから、だいじょうぶだ。」
私たちは身を寄せ合ってしばらく無言で枯山水の庭を眺めていた。
方丈の眺めをふたりで堪能した後、境内を一周していろんな建物を見た後、寺を出て、すぐ近くにある別院に行った。そこには雪舟庭園があるので、また中に入っていった。
雪舟庭園

こちらも底冷えの日は訪問に向いていないのか、閑散としていた。
ジュン「こっちは、苔の庭なんだね。」
私「後ろの借景の緑が美しいね。」
ジュン「風で竹の触れ合う音がすげえいい感じだね。」
私「ああ、ただの風の音がいい音に聞こえるね。」
ジュン「でも風がけっこう冷たい・・・」
私「それにしても冷えるな。」
私たちは縁側の段差に座っていた。私は立ち上がってジュンの後ろにくっついて座り、ジュンの片方の肩のうえにあごを乗せて、ジュンを後ろから軽く抱いた。
私「これで少しは暖かいだろう。」
ジュン「うん、けっこう暖かい。」
私「これを他人が見たら、ゲイカップルだと思われるな・・・」
ジュン「思われてもいいよ、だってなんかカッコいいじゃん。」
私は他の人が来るまでの間、ジュンを後ろから抱きしめていた。
そして雪舟庭園でジュンに癒されて、私は少し心が暖かくなっていた。
東福寺の駅まで戻り、今度は京阪電車に乗って四条まで行き、三年坂界隈をぶらぶらと散歩をした。ジュンは京都の雑貨類を婚約者のためにいくつか買っていた。
ジュン「とうさんも、ヒロちゃんになんかかってあげなよ。」
私「ヒロ、喜ぶかなあ・・・」
ジュン「ヒロちゃんってああ見えてもけっこうマジで乙女だから、ぜったい喜ぶよ。」
私「じゃあ、ジュンが買ったものと同じものを買おうかな。」

買い物をした後、私たちは三条まで歩いて、加茂川沿いのカフェに入って少し休んだ。そして、四条川原町から阪急特急で梅田に行った。そして以前に泊まったちょっとしゃれたデザインのホテルにチェックインした。
ジュン「ここって、部屋のデザインがイケてるよね。それに夜景がすげえきれいだし。」
私「大阪駅から近いのに、わりとリーズナブルだから泊まりやすいからね。」
ジュン「これからどうする?」
私「一時間くらい休んでから、晩飯食べに行こう。」
ジュン「じゃあ、オレちょっと、またパソコンで作業していい? ここ、インターンネット使えるし・・・」
私「じゃあ、とうさんは風呂に入って暖まるよ。」
ジュンは窓に向かって座るようになっている広いデスクの上にパソコンを置いて作業を始めた。わたしは、バスタブにお湯を張って、ゆっくりと冷えたからだを暖めた。
一時間後、私たちはホテルを出て、梅田の町に行き、適当なレストランを探した。ジュンがたまたま見つけた豚テキというものを食べたがったので、そこで夕食にすることにした。豚テキとは厚く切った豚肉を独特の甘辛いたれに浸けて焼いたもので、大阪発祥の食べ物らしい。けっこうな量の肉で、私たちはお腹一杯になった。
そしてまだ時間もあったので、以前行ったことのあるヒロの知り合いのいるバーに行って軽く酒を飲むことにした。
ジュン「ヒロちゃんの友達がいる店なんでしょ、行ってみたい。」
私「いいけど、バーって言ってもゲイバーだぞ。」
ジュン「別にいいじゃん、オレは社会勉強のために行きたいんだから。」
私「しょうがないなあ、でもジュンは若くてモテるから、気をつけろよ。」
ジュン「うん、気をつける、気をつける。」
とジュンはまるで緊張感なくそう言った。まあ今回は私がいっしょだから、問題は起きないだろう。
雑居ビルの中にある、以前にヒロと来たバーに私たちは入っていった。店はそれなりに混んでいたが、ちょうどカウンター席にジュンと並んで座ることができた。
ヒロの友達「いらっしゃい、確かソウさんですよね。」
私「どうも久しぶりです。」
ヒロの友達「今日はヒロはいっしょじゃないんだ・・・」
私「ヒロはちょっと仕事が忙しくて・・・」
ヒロの友達「それで浮気? こんな若いかわいい子となんてけっこうやりますね。ヒロに言いつけちゃおうかな。」
私「これは、浮気じゃなくて、息子なんだよね。」
ヒロの友達「やだなあ、ヘタなウソつかないでくださいよ。」
ジュン「オレ、恋人のジュンです、よろしく。」
ヒロの友達「やっぱ浮気じゃないの、ソウさん、見かけによらず手が早いのかな。」
ジュン「オレたち、どうかな、似合いのカップル?」
ヒロの友達「ふたりともすげえイケてるから、羨ましいくらいお似合いのカップルだよね。」
私「こらこら、ジュン、いい加減にしなさい。」
ジュン「ちぇっ、つまんねえの・・・ もう少しカップルごっこしたかったのに・・・」
私「これはホンモノの息子なんだよね。」
ヒロの友達「マジでホント? でもいいわねえ、こんなイケメンの息子さんがいて・・・」
私「最近、ヒロに会った?」
ヒロの友達「ついこの前、仕事にこっちに来てた時に、ちょっとだけ寄ってくれた。」
ジュン「ヒロちゃんとはどういう友達?」
ヒロの友達「以前俺が東京にいた頃に知りおうたゲイ友なんよ、けどからだの関係はない友達だやからね。」
ジュン「それホント?」
ヒロの友達「ゲイやいうだけで、すぐに寝るわけやあれへんで、それにヒロも俺もふたりともネコやからね・・・」
ジュン「ネコって女役?」
ヒロの友達「みんながみんな、スパッと分けられるわけやないけどね。」
ジュン「ねえ、とうさん、ヘンなこと聞くけど、ヒロちゃんとはしたの?」
私「ジュ、ジュン、いきなり何聞いてるんだよ。」
ヒロの友達「ゲイカップルというてもアナルセックスまではせえへん場合もけっこう多いんやけどね。」
ジュン「ふうん、そうなんだ・・・」
ヒロの友達「ジュンさんは、ゲイやあらへんの?」
ジュン「どっちかというとヘテロみたい・・・」
ヒロの友達「あら、残念、ジュンさんカッコいいのにもったいない、女にもモテそうやし、男ともできたら二倍楽しめるやんか・・・」
そんなことを話しながら、ジュンと私は二杯ずつ酒を飲んで店を出た。
私たちは年末の賑わった街をぶらぶら歩いてホテルに戻った。
私「ジュン、まだ風呂に入ってないだろう、お湯を入れてあげるから、入っておいで。」
ジュン「とうさん、いっしょに入ろうよ。」
私「とうさんはさっきもう入ったよ。それにバスルームは狭いよ。」
ジュン「なあんだ、つまんねえの・・・」
私「そんなにふくれてないで、服は脱がしてあげるから、ひとりで入っておいで。」
ジュン「しょうがないなあ・・・」
私はいつものようにジュンの服を脱がせてやった。ジュンは素っ裸になって子供のように飛び跳るように歩いてバスルームの方に入っていった。
しばらくすると、ジュンはバスタオルを腰に巻いただけでバスルームから出てきた。

ジュン「なんか寝る時用のトランクス持ってくるの忘れちゃった。」
私「じゃあ、一晩くらい昼間穿いてたローライズのボクサーでもいいだろう?」
ジュン「あれってちょっと小さめサイズだから、寝るときには窮屈なんだよね、だから今日は裸で寝る。」
私「まったく、裸で寝て風邪ひいてもしらないぞ。」
ジュン「だいじょうぶ、この部屋、けっこう暖房が効いてるもん。それに寒かったら、とうさんにくっつけば暖かいもんね。だから大きめサイズのダブルベッドの部屋にしてもらったんだもん。」
私「しょうがないなあ、じゃあ、お湯でからだが暖まってるうちに、早くベッドに入りなさい。」
ジュン「とうさんは夕飯前に風呂に入ってるから、もうすぐに寝られるよね、早くいっしょに寝ようよ。」
私「ちょっと歯を磨いてくるから、ジュンは先に寝てな。」
ジュン「うん、そうする。」

そう言うとジュンは腰のバスタオルをはらりと落として、全裸になってベッドに潜り込んだ。私はバスルームに行って歯を磨いた後、ベッドに戻ってきて、ジュンの横に寝転がった。

私「ジュン、ちゃんとオシッコした?」
ジュン「だいじょうぶ、風呂の入る前にちゃんとしたよ。」
私「ゆっくり寝なさい。」
ジュン「オレ、明日ちょっと早めに起きて、パソコン使うけど、いい?」
私「まだなんかやること残ってるんだ。」
ジュン「なんかこのところいろんなことが重なって、けっこうやり残したこともあるんだよね。」
私「あんなに忙しかったのに、まだ残ってるんだ・・・」
ジュン「ホントだよね、忙しすぎてけっこう疲れが溜まっちゃったなあ・・・」
私「とうさんが、肩をマッサージしてやろうか?」
ジュン「ありがと、とうさん・・・ でも肩はそれほどこってないんだよね、どっちかというとこっちが溜まってるんだけど・・・」
私「最近してないのか?」
ジュン「だってセフレともずっと忙しくて会えなかったし・・・」
私「じゃあ、溜まるだけ溜まったのか?」
ジュン「うん、そうだよ。あっ、セフレのことを思い出したら勃ってきちゃった・・・」
私「ジュンが勃ったなんて言うから、とうさんも元気に・・・」
ジュン「ねえねえ、とうさん、オレのを触ってみてよ。」
私「こらこら、とうさんのを触るんじゃないって・・・」
ジュン「とうさんだって、こんなに固くしてるのに。」
私「まったくしかたないなあ・・・」

私が手で触れると、ジュンのものはさらに固さを増していった。ジュンの手が私のものを包んで刺激し始めると、私の全身にしびれるような快感が湧き上がった。私もそのお返しにジュンのものをゆっくりと刺激し始めた。
そしてどのくらい時間がたったのかわからなくなった頃、先にジュンのものが私の手の中でさらに固さを増していき、激しく爆発を始めた。よほど溜まっていたのか、爆発はなかなか収まらずに、白いマグマを噴出し続けた。
そしてその後、私も最後の時を迎えて、ジュンに向かって激しく噴出をした。

ジュン「うへっ、いっぱい出ちゃった。とうさん、ゴメン、からだベトベトにしちゃったね。」
私「ジュンのほうはだいじょうぶか?」
ジュン「拭けばだいじょうぶ。」
私「ちょっと待ちな、とうさんが拭いてやるから。」

後始末を終えると、私たちは心地よい疲れを感じて、そのまま眠ってしまっていた。

そして翌朝、私が目を覚ますと、ジュンはデスクに向かって、パソコンのキーボードをたたいていた。私はその音を聞きながら、気持ちのいい二度寝をしてしまったのだった。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

新年のごあいさつ

新年おめでとうございます。
昨年は皆様に大変お世話になりました。

私の気分のほうも少し回復してきましたので、今年もブログの方は頑張っていきたいと思います。
今年もまた昨年にもまして応援よろしくお願い致します。

tag : ゲイの父親

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