卒業旅行-5

直さんたちとウィーン料理をお腹いっぱい食べたあと、ライトアップされた旧市街をホテルまでぶらぶらと歩いて帰った。

シュテファンプラッツ
聖シュテファン寺院(左側の石造りの建物)の前の広場、シュテファンプラッツの夜景。

ホテルの戻ると、私もジュンもけっこう疲れていたのか、すぐに眠気がおそってきた。

ジュン「なんかすげえ眠い。」
私「長い一日だったからね。でも寝る前にちょっとだけシャワーを浴びておいで。」
ジュン「そうだね、からだを流したほうが気持ちよく眠れそう・・・」

ジュンはベッドの上に脱いだ服を置いて、すっぱだかでバスルームに入っていった。私はジュンの脱ぎすてた服をたたんでクローゼットにしまった。ほんとうにお湯でからだを流しただけでジュンはバスルームから腰にバスタオルを巻いただけの姿で出てきた。交代で私もシャワーを浴びにバスルームに入った。

シャワーを浴びて、部屋に戻ると、すでにジュンはベッドに潜り込んで気持ちよさそうに寝ていた。ジュンを起こさないように静かに毛布を持ち上げて、ゆっくりとジュンの横に私は寝転がった。ジュンはなにも着ないで裸で寝ていた。部屋はとりあえずは暖かかったが、朝方冷えるといけないので、クローゼットに片付けられていたベッドカバーを取り出して毛布の上に広げて掛けた。ジュンの体温をダイレクトに感じながら私もすぐに眠ってしまった。

翌朝、私が目覚めた時、ジュンはまだ気持ちよさそうに眠り続けていた。私は先に起きて、顔を洗った。ベッドに戻るとジュンを起こしてやった。

私「ジュン、そろそろ起きなさい。」
ジュン「もう朝なんだ、まだ眠い・・・」
私「今日は美術史美術館に直さんたちと行くから、そろそろ起きないといけないよ・」
ジュン「まだ眠いなあ・・・ でもとうさんがキスしてくれたら起きられそう・・・」
私「まったく甘えて、しょうがないなあ・・・」

私はジュンに近寄って、軽くキスをしてやった。

私「ほら、起きて、オシッコして、顔を洗っておいで。」
ジュン「うん、起きる・・・」

ジュンはすっぱだかのまま、朝立ちのものをぶらぶら揺らせながらバスルームに小走りで入っていった。
そしてレストランに行って、ビュッフェの朝食をゆっくりと食べた。

ジュン「翼にいちゃんたち、食べに来てないね。」
私「ルームサービスにしたのかもね。」
ジュン「今日はまずは美術史美術館に行くんだったよね。」
私「直さんがいろいろ解説してくれるみたいだから、楽しみだね。」

そして午前中は直さんたちといっしょに美術史美術館を巡った。まずは直さんのいちばん見たかったというオランダの画家ブリューゲルの作品を見に行った。

ジュン「おおっ、この冬の狩人の絵、見たことある。」
直さん「ブリューゲルでもいちばん有名な絵だよね。ものすごく細かく描かれてるから、近寄って細部を良く見てごらんよ、印刷では再現できない細かい描写が見られるよ。」
私「それにしても寒そうな風景だよね。」
直さん「この絵が絵がかれた頃は小氷河期だったみたいで、ヨーロッパはけっこう寒かったみたいだよ。」
ジュン「なんか直さん、絵にも詳しいなんてかっこいい。」
直さん「おっ、ジュンちゃん、ぼくのこと見直した?」
翼くん「直は確かに絵にはちょっと詳しいけど、それ以外のことがねえ・・・」
私「直さんは、かっこいいところも、そうじゃないところも含めて私は好きだけどね。」
直さん「ソウさんは誰かと違って優しいなあ・・・」
翼くん「ソウさん、あんまり直を甘やかさないでね、後で俺がたいへんだから。」
私「ところで、午後はどうしようか?」
直さん「今日はフンデルトワッサーの設計した建築を見に行くつもりだけど、ソウさんたちもよかったらいっしょにどう?」
ジュン「フンデルトワッサー? オレ知らないなあ。」
直さん「日本にもフンデルトワッサーの設計した建築が大阪にあるよ、ごみ処理施設なんだけどすげえポップな感じの色使いなんだよね。」
私「そういえば、旅行案内にウィーンのごみ施設がすごいデザインだって書いてあったけど、それをデザインした人?」
直さん「そうだよ、そのひと。今日見に行くのは、彼の設計した共同住宅だよ。最初に見に行くほうは現在も公営住宅として使われてるから、中には入れないんだ。もうひとつは、今はフンデルトワッサー博物館になってるから、中に入れるし、彼の絵が大量に展示されているみたいだよ。」

午前中はずっと私たちは美術史美術館の絵を見て過ごした後、昼食を4人で食べた。そして私たちは地下鉄でドナウ運河沿いにある市電の大きな停留所に行った。そこで目的地の方角に行く電車が来るのを待ってから乗り込んだ。電車はウィーンの街の中を静かに進んで行き、しばらくすると、直さんが電車の前方を指差した。

直さん「ほら、この先の左側にカラフルな建物が見えるでしょう?」
翼くん「ああ、なんか植物が壁に一杯生えてる建物でしょう?」
直さん「次の停留所で降りるからね。」

私たちは少し来た道を戻って、フンデルトワッサーの共同住宅の前に行った。電車の通る道路に面して赤やら青やらに塗られた複雑な形の壁が聳え立っている。建物の敷地は微妙にうねった形のまま、カラフルなタイルが張られている。このうねった広場は理由があってこう言う形に作られているらしい。
中に入れないので外観を見ただけで、私たちは歩いてふたつ目の建物に向かった。そちらのほうは博物館になっているので、入場料を払えば中に入ることができた。相変わらず一階の床は微妙にうねっていて、ちょっと歩きにくい。上に行くと、大量のフンデルトワッサーの強烈な色の絵画が並べられていた。

そして、全体を回って見終わったので、私たちは一回にあるカフェに行って、ウィンナコーヒーを飲んだ。カフェのトイレまでが、タイルの張られた床がうねっていたのはすごかった。。

いちどホテルに戻って、すこしフォーマルな服に着替えた。ロビーで同じくちょっとフォーマルな感じに着替えた直さんたちと合流して、4人でいっしょに国立歌劇場に出かけた。

オペラ座の前でとりあえず記念撮影をしてから、私たちは中に入っていった。案内のお姉さんに席まで連れて行ってもらい、チップ代わりにお姉さんが売っているプログラムを買うことにした。100ページ以上もあるりっぱな本と言ってもいいようなりっぱなプログラムだった。最後のほうのオペラのあらすじ紹介のところには、一ページだけだが日本語のあらすじも掲載されていた。

オペラが始まり、イタリア語のオペラなので、意味はわからないけれど、日本語のあらすじを読んだおかげで話しの展開はわかった。

幕間には4人で混雑するカフェバーに行って、私たちはビールを一杯ずつ飲んだ。まわりにいる着飾った人たちが、オペラを楽しんでいるような雰囲気がよくわかった。

それほど長いオペラではないのだが、それでも終わったのがけっこう遅かったので、夜遅くまで開いているブラッスリーのようなところで私たちは軽食をとった。
ジュン「なんか、疲れてるのかなあ、せっかくの国立劇場のオペラだったのに、もう少し感激するかと思ってたけど、意外に冷静に聞けた。」
私「なんか響きが頭の上を飛んでいってるような気がした。」
ジュン「体調が万全の時に聞きたかったなあ。」
直さん「それは旅行者には難しいかもね。」
ジュン「でもとりあえず国立歌劇場で聞けたんだから、良かったとは思ってるんだけどね。」
翼くん「俺なんかあんまりオペラは聞いたことないから、ちょっと眠かったけどね。」
私「それでも、やっぱ一度は国立歌劇場でオペラを見たかった。」

軽食をとった後、私たちはホテルに戻った。もう日付が変わってしまっていたので、私たちはそのままベッドに横になって眠った。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ウィーン国立歌劇場 ブリューゲル

卒業旅行-4

ルームサービスの朝食を食べた後、俊顕くんの婚約者を出迎えに空港に行く時間が来た。俊顕くんの運転する車に私も同乗して、空港で婚約者を出迎えた。

●香さん「まあ、ジュンちゃんのお父様にまでお迎えいただいてありがとうございます。」
私「どうもお久しぶりです。」
俊顕くん「飛行機、揺れなかった?」
●香さん「ぜんぜん揺れなくて、ゆっくり機内食をいただけましたわ。」
俊顕くん「じゃあ、ひ○さんの住んでる街に行こうか。」
私「どのくらいかかるんだ?」
俊顕くん「車だと一時間ちょっとじゃないかな。」

私たちは空港を車で出発して、ひ○さんとジュンのいる街に俊顕くんの運転する車で行った。そしてジュンと婚約者も合流して、その地方のイングリッシュガーデンを見て回った。

緑に囲まれた池のそばにある古い家を改造した小さなレストランで私たちは食事をした。

●香さん「なんか新婚旅行の予行演習をしてるみたいですわね。」
ひ○さん「新婚旅行も私たち二組いっしょにするのかしらね。」
俊顕くん「未来の花嫁ふたりがそれでいいなら、いっしょにするのもいいかもね。ジュンは?」
ジュン「オレはみんながいいなら、ぜんぜん問題ないよ。」
俊顕くん「本番の新婚旅行にも聡一さん、ついて来たりして・・・」
私「ばあか、それじゃあまるでおじゃま虫がついていくようなもんだろうが・・・」
俊顕くん「なんだ、聡一さん、ちゃんとおじゃま虫だとわかってるんじゃん。」
私「うるせえなあ、ったく俊顕はかわいくないやつだなあ・・・」
俊顕くん「はいはい、俺はジュンと違ってかわいくないですよ。」
●香さん「やだもう、ジュンちゃんお父様と俊顕様って、おもしろいことばかりおっしゃって。」
ジュン「なんか最近、俊顕ととうさん、すげえ仲いいんだよね。」
ひ○さん「俊顕さんにしては珍しいわね、以前はこんなに打ち解ける人じゃなかったからね。」
俊顕くん「ジュンのお父さんだから、しかたなく仲良くしてるだけだからね。」
私「はいはい、しかたなく仲良くしてもらって、感謝してるよ。」

午後も俊顕くんの運転する車で、イングリッシュガーデンを見て回った。そして夕方、私たちはジュンの婚約者と別れて、私とジュン、それに俊顕くんとその婚約者の4人でホテルに戻ってきた。4人で軽く食事をした後、私とジュンは部屋に戻って、翌朝の出発に備えて荷物をまとめた。

翌朝、6時に私たちはホテルのチェックアウトを済ませて、ホテルの入口で俊顕くんに見送られて空港に向かった。そして空港で飛行機に乗って、私たちは昼前にウィーンの空港に着いた。

とりあえずタクシーに乗って予約してもらったホテルに行った。まだ部屋は使えなかったが、荷物を預かってもらえた。もう何日か前にウィーンに来ている直さんたちから夜いっしょに食事をしたいというメッセージがあった。

ホテルを出て、しばらく街中を歩いて行くと公園に、モーツアルトの像があった。

ジュン「モーツアルトってお墓ないんだよね。」
私「なんか共同墓地のどこかに他の人といっしょに埋葬されてて、今はもうどこだかわからないんだろう。」
ジュン「あんなにすごい曲をいっぱい作ったのにね。」
私「でもお墓が残るより、曲が残るほうがモーツアルトとしてはうれしいんじゃないかな。」
ジュン「そうだね、なんかモーツアルトのソナタ、弾きたくなっちゃった。」
私「今日はこれからどうしようか?」
ジュン「とりあえず、せっかくウィーンに来たから、シェーンブルン宮殿を見に行きたいな。」

私たちは近くの駅まで行き、地下鉄に乗ってシェーンブルン宮殿に行った。建物の中は予約していなかったので、ちょうどいい時間に空きがなくて入れなかった。それでも広大な宮殿の敷地をぐるっと歩いて回っていった。高台から見る宮殿の全景はすばらしかった。

宮殿の中を見学した後、宮殿の前の停留所からこんどは市電に乗って、朝着いた西駅にまで戻ってきた。そして地下鉄でシュテファンプラッツ駅で降りて、地上に出てちょっとちょっと迷いながら、ジュンの行きたがっていたドブリンガーに行った。世界的に有名な楽譜屋さんは、ちょっと奥まった通りにひっそりとあった。

私「ジュン、なんかさがしてる楽譜あるのか?」
ジュン「とりあえずドブリンガーでなんか買ってみたい。」

ジュンは店の人に声をかけて、楽譜の棚を空けて、順番に楽譜を見始めた。ジュンは声をかけても気がつかないくらい集中していた。私もヴァイオリンの楽譜を探し始めた。

ゆっくりとドブリンガーで楽譜を見てから、私たちは荷物を預けてあるホテルに戻った。フロントで鍵を受け取って部屋にやっと入ることができた。

ジュン「もう直さんと翼にいちゃん、いつホテルに戻るのかなあ。」
私「ちょっと、外出してるみたいだから、夕食前には戻るんじゃないかな。」
ジュン「オレ、部屋に入って、シャワー浴びたい。移動がけっこう長かったから、シャワー浴びて疲れ取りたいし。」
私「そうだね、ちょっと部屋で休むか。」

私たちは部屋に入って交代でシャワーを浴びた。熱いお湯を浴びると疲れがちょっと取れたような気がした。

ベッドに寝転がってうつらうつらしていると、ドアがノックされた。ドアを開けると、直さんと翼くんがニコニコしながら並んで立っていた。

直さん「あれ、ソウさんたち、寝てたんだ。」
私「なんか移動で疲れちゃって・・・」
翼くん「どうします、夕食、食べにいけます?」
ジュン「オレはもうだいじょうぶだけど・・・」
私「それほど疲れてるわけじゃないから、夕食食べに行くくらいだいじょうぶだよ。」
翼くん「予約してるレストランはここから歩いてすぐに行けるから。」
私「じゃあ、すぐに着替えるから、待っててくれる?」
直さん「じゃあ、ぼくたちロビーで待ってるから、急がなくてもいいからね。」

私たちは急いで着替えをして、ロビーに行った。ホテルを出てウィーンの街を歩いてシュテファンプラッツに行った。タイルの屋根のきれいな教会の外観を見てから、翼くんが予約しておいてくれたウィーン料理の店に行った。そこでウィーン名物と言う茹でた牛肉がメインになったコースを食べた。

翼くん「ホントはシュニッツェルのほうが有名なんだけど、揚げ物よりこっちのほうがいいかなっと思って。」
ジュン「なんか歴史のありそうなレストラン、すげえ。」
私「有名店なんでしょう?」
翼くん「けっこう有名みたいだね。せっかくソウさんとジュンちゃんにウィーンで会えたんだから、ちょっといいとこにしてみた。」
直さん「なんか、ウィーンってなんでも歴史を感じさせるんだよね。」
私「今日、ちょっとカフェに行ったんだけど、そこも重厚なインテリアだった。」
翼くん「ソウさんたち、今日はどこに行ってたんですか?」
ジュン「シェーンブルン宮殿に行ってた。その後、ドブリンガーに行った。」
翼くん「そうなんだ、シェーンブルン行ったんだ。で、ドブリンガーって?」
直さん「楽譜屋さんだよ、有名なとこだよね。なんかいい楽譜あった?」
ジュン「いくつか買ったから、あとで見せてあげるね。」
私「明日はどうする?」
直さん「とりあえず、美術史美術館に行こうよ。ブリューゲル見たいし。」
翼くん「けっこう見るだけで時間かかりそうだよ・・・」
私「全部の絵を見るのは無理だろうから、いいところだけでも見れればいいね。」

私たちは動けなくなるくらい夕食をお腹に入れて、ホテルに戻った。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

卒業旅行-3

翌朝私たちは早く起きて、レストランでビュッフェの朝食をゆっくりと食べてから、ホテルを出た。ブラブラとシャンゼリゼまで歩いて、凱旋門のあるエトワールロータリーに行った。地下道を通って凱旋門に入り、長い階段を登って一番上のテラスまで行った。

ジュン「おお、すげえ、まっすぐな道が放射状に広がってる。」
私「すごい都市計画だよね。街自体が芸術作品みたいだ。」
ジュン「ええと、あれがエッフェル塔でしょう、そんであの高層ビルはモンパルナスタワーか。」
私「そんで、あの丘の上の白い建物が、モンマルトルのサクレクール寺院だね。で、反対側を向くと、新凱旋門が見える。」
ジュン「古いものと、新しいものがいっしょに見えるなんてすごい。」

私たちは場所を移動しながら、四方の景色をそれぞれゆっくりと眺めた。

その後私たちは地下鉄に乗ってノートルダム寺院に行った。

私「これはまた、すごい教会だ。」
ジュン「ええと、12世紀末に立てられたみたいだね。」
私「900年以上前の建築っていうことなんだね。」
ジュン「都庁の建物って、この塔の影響?」
私「まあ良く言えば参考にしたんだろうね。」

私たちは初期ゴチック様式の聖堂に入っていった。石造りの内部にステンドグラスを通した光が美しかった。

そしてまた地下鉄に少し乗ってホテルに戻った。部屋には俊顕くんが戻ってきていた。

ジュン「俊顕、帰ってたんだ。」
私「昨日はどうだったんだ? まあその晴れ晴れした顔を見たら大体想像つくけどね。」
俊顕くん「まあそれなりに楽しく・・・ ジュンと聡一さんは今朝はどこに行ってたんですか?」
ジュン「とうさんと観光に行ってたんだよ、凱旋門とノートルダム寺院。」
私「とりあえず二つだけでも見られて良かったよ。午後は何時ごろホテルを出発なんだ?」
俊顕くん「2時でいいと思いますよ。ホテルの車頼んであるから。」

私たちはホテルの中で軽く昼食をとってから、ホテルの車で北駅に向かった。簡単な手続きをしてホームに入るとそこはもう英語の圏内になっていた。
列車に乗ってしばらくパリの裏町やら田園地帯を眺めているうちに私は眠ってしまっていた。
次に目が覚めたときは、外の景色がすっかり変わっていた。

俊顕くん「もうすぐ、着きますよ。」
私「えっ、そうなんだ。早いな。」
俊顕くん「ユーロトンネルに入る前に一応起こしたけど、ジュンも聡一さんもちょっと目を開けただけですぐ寝ちゃったから・・・」
ジュン「まだ時差ぼけなのかなあ・・・」
俊顕くん「それから時間が一時間遅くなりますから、聡一さん、時計直しておいたほうがいいですよ、ジュンも・・・」
ジュン「おっ、なんか一時間得したような気分。」

ユーロスターは静かに終着駅のホームに到着した。駅からタクシーに乗って俊顕くんが予約しておいてくれたホテルに行った。
ホテルにはジュンの婚約者の○○さんが待っていた。

ひ○さん「おとうさま、ご無沙汰しております。」
私「いやあ、こんなところで会うことができるとは思わなかった。」
ジュン「元気みたいだね、勉強はうまくいってる?」
ひ○さん「順調よ、思い切って来て良かったわ。」
俊顕くん「なんか生き生きしてるね。」
ひ○さん「そうそう、○香から明日は予定通りの飛行機で着くって連絡がさっきあったわよ。俊顕様にロンドンでお会いするのが楽しみって伝言があった。」
私「俊顕、おまえ、婚約者に俊顕様ってよばれてるのか?」
俊顕くん「そうですよ、いけませんか。」
ひ○さん「まあ、俊顕さんは○香には白馬の王子様だからねえ。」
俊顕くん「いいよなあ、ひ○さんとジュンは気軽に呼び合えて・・・」
ひ○さん「いえ、わたくしも二人だけのときはジュン様とお呼びしておりますのよ、ほほほ。」
俊顕くん「ばあか、んなわけねえだろうが。」
ひ○さん「まあ○香は天然記念物的深窓の令嬢だから。」
私「でもひ○さんだって、お嬢様だよね。」
ジュン「うん、オレもそう思うけど。」
ひ○さん「私はそういうのが嫌で、飛び出しちゃった。ある意味○香は偉いわよ、ちゃんとお嬢様を続けてるんだから。」
俊顕くん「そんで、今夜はなんかおいしいもの食べられるんだろう?」
ひ○さん「コンランプロデュースのレストランを予約しておいた。わりとおいしいのよ。」

私たちはホテルの車で、テレンス・コンランのプロデュースしたというレストランに行った。奥まった予約席に私たちは座って、名物料理を食べた。

そして食べ終わった後は、ジュンはひ○さんの住んでいる町にいっしょに行ってしまった。
私と俊顕くんとふたりでホテルに帰ったのだった。

俊顕くん「聡一、わかりやすい、ジュンがいなくなってがっかりしてる。」
私「俊顕も同じような表情してるぞ。」
俊顕くん「べつに嫉妬してるわけじゃないけど、なんか取られた感があるんだ・・・」
私「こっちも同じだよ、妬いてるわけじゃないんだけどね・・・」
俊顕くん「じゃあ、置いてかれた二人で慰めあいましょうか・・・」
私「とりあえず、なんか飲みたいなあ。」
俊顕くん「ルームサービスでワインでも持ってきてもらいます?」

私たちはすでにレストランである程度ワインを飲んでいたけれど、さらに一瓶赤ワインを飲んだ。

私「そろそろ寝るかな・・・」
俊顕くん「なんか聡一、元気ない。」
私「そうかもしれないな、じゃあ、慰めてくれるのか?」
俊顕くん「俺で良かったら・・・」
私「ゴメン、さっき言ったこと、忘れて・・・」
俊顕くん「聡一はすぐに冷静になるんだから・・・ こういう凹んでる時は素直になったほうがいいと思うけど・・・」
私「今日は俊顕、えらく大人だな。」

私たちは二台並んだ大きなベッドの片側に並んで横になった。

俊顕くん「ほら、聡一、しばらく抱いててあげるよ。」
私「いつになく優しいじゃないか・・・」
俊顕くん「いつもは聡一さんってしっかりしすぎてるから、俺なんかが助けられないじゃないですか。今夜みたいな、ちょっとさみしそうな聡一って、けっこうソソる。」
私「ばあか、息子と同い年のくせに生意気だぞ。」
俊顕くん「ジュンは俺のどストライクなんだから、その父親の聡一もけっこうタイプなんだけど・・・」
私「なんだ、ジュンの代わりなのか・・・」
俊顕くん「そういう意味じゃないですって。聡一さんのほうが熟してておいしそう・・・」
私「ジュンから見たら、これって俊顕の浮気じゃないのか?」
俊顕くん「俺とジュンは友達以上ではあるけど、残念ながら恋人じゃないから、浮気にはなんないよ。」
私「でも俊顕は息子の友達だからなあ・・・」
俊顕くん「ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと実行したら?」
私「いいけど、ジュンには絶対に秘密だからな。」
俊顕くん「そんなこと言うわけないでしょうが。聡一さんってけっこう優柔不断なんだなあ・・・」
私「俊顕みたいに遊びなれてないからな。」
俊顕くん「ひでえなあ。でも、なんか聡一さんに抱かれると思うと、なんかドキドキしてきた。」
私「俊顕もそういうかわいい顔できるんだ・・・」
俊顕くん「ごちゃごちゃ言ってないで、早くして・・・」

私は思い切って俊顕を抱き寄せてキスをし始めた。俊顕くんは目を閉じて気持ちよさそうな表情で私のキスを受け入れてた。

俊顕くん「聡一、ちょっと苦しいよ、キスがんばりすぎ・・・」
私「ゴメン、キスあんまり良くなかった?」
俊顕くん「聡一のキスだったらどんなのでも気持ちいいけどさ、あんまり焦らないで。」
私「慣れてなくてゴメン・・・」
俊顕くん「まあ、聡一さんのそういうちょっと初々しいところがソソるんだけどね。」
私「うるせえ・・・」

若いくせにそっちのほうの経験豊かな俊顕くんにさりげなくリードされながら、だんだんと快感の嵐に巻き込まれてしまっていた。

けっきょく勢いで俊顕と一夜をベッドでともにしてしまい、私は疲れ果てて眠ってしまっていた。
翌朝目が覚めると、私にくっつくように俊顕くんが安心しきったように眠っていた。眠っていると、昼間見せているような人を寄せ付けないような厳しい表情が消えて、意外にかわいい感じだった。わたしは思わず、手を伸ばして俊顕君の滑らかな顔を触っていた。

俊顕くん「なんだ、聡一さん、起きてたんだ。俺の顔に何かついてました?」
私「そうじゃなくて、俊顕も寝るとけっこうかわいくて、つい触ってしまった。」
俊顕くん「それって、父親みたいな感じ、それとも寝た相手として?」
私「う~ん、両方かな。」
俊顕くん「そういう時はウソでも一夜をともにした相手としてって言って欲しいなあ。」
私「俊顕とこんな朝を迎えることになるとは思わなかった。」
俊顕くん「聡一って清潔そうな顔してるくせに、けっこう淫乱なんだもんな、それにすげえでっかいんだもん・・・」
私「俊顕がうますぎるからだよ・・・」
俊顕くん「まあ、経験の差かな。聡一、俺のテクにはまっちゃったとか。」
私「ばあか・・・ でもありがと・・・」
俊顕くん「俺はあんまり同じヤツと繰り返しやんないんだけど、聡一だったら、またしてもいいな、だってでっかいアレをもういちどオレに・・・」
私「ったく、アレにしか興味がないのか・・・」
俊顕くん「聡一なら、アレの大きさだけじゃなくてすべてがいいって・・・」
私「まったく口からでまかせばっかり言って・・・」
俊顕くん「聡一、俺、おなかすいちゃった。」
私「そうだな、でもちょっとダルくて、レストランに行きたくない。」
俊顕くん「ルームサービスにしましょう。それに聡一と二人だけで食べたいし。」

ルームサービスの朝食を私たちは着替えもしないでゆっくりと食べた。そしてその後、俊顕くんは空港に婚約者を出迎えに行った。私も同行して、婚約者を出迎えた後、3人でジュンの婚約者が住んでいる町に出かけた。

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