ヒロとデート

金曜の夜、仕事を終えた後わたしは一度ウチに帰ってちょっとだけおしゃれっぽい服に着替えて外出した。おしゃれっぽいといっても服を選んでくれたのはジュンとヒロであって、わたしはふたりに言われたとおりに着ているに過ぎない。
その夜は、ヒロの知り合いのところに行くことになっていたので、ヒロに恥をかかせないためにも、わたしはちょっとだけかっこよくする必要があったのだ。
大きな乗換駅でヒロと待ち合わせて、私たちは混んだ電車に乗った。30分ほど乗ってから電車を乗り換えて、わたしたちは昔ながらの飲み屋街が広がる街に着いた。

ヒロ「このあたりに聡一と来るのは初めてだね。」
私「それにしてもヒロの知り合いって?」
ヒロ「昔、聡一と出会う前、ちょっと俺のことを気にかけてくれていた人がね、ああ、聡一心配しなくても、その人けっこうおじさんだからね。で、その人がこの町でだいぶ前から店を出してたんだって。俺、そのこと知らなくて最近知ったんだよね。すげえいい人だから聡一にも会ってもらいたくてさ。」
私「ヒロがそんなにうれしそうに他人の話をしていると、ちょっとムカつくというか・・・」
ヒロ「もう、聡一ったら柄にもなく嫉妬なんかしちゃって。でもなんか俺、うれしかったりして・・・」
私「ばあか、以前のヒロのことを知ってるなんて、気になるだろうが・・・」
ヒロ「今回は、俺が幸せにやってるって報告、つまり聡一のことを見せびらかしたいの。」
私「コンタクト着けさせられたのはそういうことか・・・」
ヒロ「メガネの聡一もイケてるけど、メガネなしのほうが俺は好きだな。」
私「なんか裸で人前に出るような恥ずかしさがあるけどね。」
ヒロ「いっそ裸になれば、聡一は秘密兵器を持ってるから、すげえ自慢できそう。」
私「ばあか、露出趣味はないぞ。」
ヒロ「まあね、みんなに秘密だから秘密兵器だもんね、俺だけのもの。」

にぎやかな街をぶらぶらと歩いて、ヒロの知り合いの店を探した。たまに名前からいかにもこっち系の店もあったけど、だいたいは普通の店と区別がつかない。
ちょっと奥まったところにあるビルの中にヒロの知り合いの店があった。
ヒロが先にドアを開けて入り、わたしもすぐその後から入った。店にいた人が全員わたしたちのほうを向いて、わたしたちを品定めするように見た。これは何度経験してもわたしは慣れることができない。

マスター「いらっしゃいませ。えっ、ひょっとしてヒロ!」
ヒロ「マサさん、お久しぶり。」
マスター「よく来てくれたね、何年ぶりだろうね、ヒロに会うのは・・・、まあまあ、こっちに座って。」
ヒロ「マサさんがお店出したなんて知らなくて、やっとこの前、偶然知ったんだ。」
マスター「店出した時にヒロにも案内を送ろうと思ったら、連絡先が見つからなくってさ、でも来てくれてよかった。」
ヒロ「ええと、マスター、紹介するね、こっちが俺の友達の聡一さん。」
マスター「初めまして、ここのマスターのマサです。よろしくお願いしますね。」
私「こちらこそよろしく・・・」
マスター「ヒロ、聡一さんとできてるのか?」
ヒロ「ええ、まあ、一応・・・」
マスター「ヒロは、あんまりこっち方面に淡白だと思ってたから、心配してたんだけど、しっかりこんないい男を捕まえたね。まあ、ヒロだとどんな男でもホントはより取り見取りだったのに、こんなにまじめそうなイケメンをちゃんと選んだのね。」
ヒロ「マスター、俺がんばったでしょ。」
マスター「こらこら鼻の穴広げて惚気るんじゃない。でもヒロも落ち着いた雰囲気になってきたな。」
ヒロ「それでマスターのほうは?」
マスター「こっちのほうは相変わらずだよ。」
ヒロ「ひょっとしてまだタクトと付き合ってる?」
マスター「あいつとはもう腐れ縁だね。」
ヒロ「相変わらず大事にしてるんだ。」
マスター「まあそこそこね。ときどき息抜きはさせてもらってるけどね。」
ヒロ「タクト、嫉妬しない?」
マスター「あいつはけっこうボーっとしてるから。もっと嫉妬してほしいくらいだよ。」
ヒロ「マサさんもとりあえず幸せそうでよかった。」
マスター「ヒロには負けそうだけどね。ところで聡一さんも音楽家?」
私「いえいえ、とんでもない、普通の勤め人です。」
ヒロ「でも聡一はヴァイオリンがうまいんだよ。」
私「たいした腕じゃないけど、ヴァイオリンを弾くのは好きですね。」
マスター「じゃあ、今度ヒロとここで弾いてほしいですね。」
ヒロ「それいいかも。そんでマスターの彼氏のタクトもピアノうまいんだよね、そんでここにピアノを置いてるんでしょ。」
マスター「最初はインテリアとして置いとくつもりだったけど、タクトが弾くっていうから、きちんと調整した。小さいけど一応グランドだから、ヒロ、試してみる?」
ヒロ「でもほかのお客さんの迷惑にならない?」
マスター「今夜のお客さんは大丈夫だと思うよ。」

そう言うとマスターはお客さんたちにピアノを鳴らしていいかと聞いていった。常連客の多そうなお客さんたちは、こころよく弾くのを許してくれた。

ヒロ「じゃあ、ちょっとだけ弾いてみようかな。マサさんは何が聞きたい?」
マスター「ショパンだな。最近スケート見てたら、バラードが流れてきて、改めていいなって思ったから、それをちゃんと全部聞きたい。」
ヒロ「聡一は?」
私「じゃあ、ワルツ。」
ヒロ「ワルツなら聡一の好きな64の2にしようかな。」
私「いいね、聞きたいな。」

ヒロはショパンのバラードとワルツを暗譜で弾いた。抑え気味だけど、内部にいろんな情感が込められたいい演奏だった。

マスター「さすがだね、ウチの小さなピアノとは思えない豊かな音が出てたよ。」
ヒロ「けっこうひきやすいピアノだね、これならタクトも弾いてくれるだろう?」
マスター「気が向いた時だけね、まああんまり気が向かないみたいだけど・・・」
ヒロ「気まぐれなところはタクトらしいんだけどね。」
マスター「困ったもんだよ。」
ヒロ「でも、そんなところがすきだったりするんでしょう?」
マスター「まあな。それにしてもヒロもそういうことを言えるようになったんだ。以前はイケメンだけどおもしろみがあんまないというか・・・」
ヒロ「俺も大切な人ができて、少しは成長したからね・・・」
マスター「いい相手ができてよかったよ。私も安心できた。」
ヒロ「そうだ、聡一、フォーレのドリーの楽譜があったから、一緒に弾こう。」
私「ドリーか、じゃあ子守唄とワルツなら何とか弾けそう。テンポゆっくり目でね。」

これはプリマはちょっとうまい子供だったら弾けるくらいの曲なので、私でもヒロの低音部にのっかって何とか弾けないことはない。
とにかくほとんどヒロの完璧な演奏に支えられて、私も何とか2曲とも弾き終わることができた。

マスター「いいね、カップルで連弾なんて、理想的だ。」
ヒロ「マスターだって、ドリーくらいは弾けるでしょう、タクトと弾けばいい。」
マスター「タクトはヒロみたいに優しくないからね、へた私とは弾きたくないって言うよ。」
ヒロ「あいつらしいね、じゃあ俺と弾いてみる?」
マスター「ヒロ、ありがとね、気持ちだけ貰っとくよ。ヒロと聡一さんの信頼しあってるのがすぐにわかるような演奏を聞いたら、ヒロと俺が一緒に演奏するわけにはいかないからね。」
私「信頼しあっているっていうより、ピアノ演奏に関しては私のほうがヒロに頼りっぱなしなんだけどね。」
マスター「ピアノに関してはヒロはすごく頼りになるけど、その他のことはねえ。まあ聡一さんみたいなしっかりした年上の相手と一緒になって、ヒロも落ち着いたみたいだね。」
ヒロ「とりあえず、マサさんに聡一を紹介できてよかった。」
マスター「ヒロ、いい相手を見つけたね、私も安心したよ。それに引き換え、私のほうは相変わらずあたふたしてるよ。」
ヒロ「マサさんがタクトのことを甘やかしすぎてるんじゃないの。でもなんだかんだいって長続きしてるんだから、いいと思うよ。」
マスター「今度来てくれる時にはタクトも呼んでおくよ。」
ヒロ「タクトに連弾したいって俺が言ってたって伝えておいて。」

私たちは店が混み始めたので適当なところで出ることにした。
私たちは夜なのに人通りの多い街をブラブラと歩いて、途中で見つけた小さなレストランで洋食を食べた。そしてヒロが予約してるというホテルに行った。
ホテルはそれほど高級というわけではなかったが、部屋の中に入ると夜景がものすごくきれいだった。

ヒロ「ここは夜景がきれいそうだから予約してみた。」
私「部屋を暗くするともっと夜景がきれいに見えるんじゃない。」

私がそう言うとヒロは部屋の電気を消した。外の風景がキラキラと光って室内に飛び込んできたような錯覚を私はおぼえた。

ヒロ「聡一、きれいな夜景だね。」
私「ああ、このホテルは穴場だね。」
ヒロ「クリスマスイヴは仕事で聡一と一緒にいられないから、埋め合わせ。」
私「そうだったんだ、なんか嬉しいな。」
ヒロ「でもクリスマスイヴは俺がいないのをいいことに、ジュンちゃんが聡一を独占するんだろう?」
私「今年ジュンはクリスマスの夜はフィアンセと食事するって言ってた。」
ヒロ「そうなんだ、まあジュンちゃんはフィアンセを優先すべきだよね。」
私「だんだんそうなっていくんだろうね・・・」
ヒロ「聡一、ちょっとだけキスして。」

私はヒロに軽くキスをした。そして二人はまた窓の外の夜景に見惚れていた。

ヒロ「聡一、風呂にはいろうよ。」
私「いいけど、風呂狭いんじゃない?」
ヒロ「狭いくてもいいんだよ、ていうか狭いからいいんだよ。」
私「しょうがないなあ、とりあえずお湯を出してくるよ。」

お湯が入ったので、私たちはバスタブに向かい合わせになって入った。キスをしり、くすぐりあったりイチャイチャしながらも、固くなったところだけは避けるようにしていた。

じゅうぶんに暖まったので私たちは風呂から出て、裸のまま今度はベッドに移った。

私たちはまず長いキスをした。ヒロの唇が触れただけで私はビクンとなった。

ヒロ「聡一、今日は感度すげえいいね。キスしただけでここがビクンと動いた。」
私「ヒロだってもう先っぽがヌルヌルじゃん。」
ヒロ「好きだよ、聡一。」

私たちは少しずつ快感が増していくのを楽しみながら、時間をかけてピークを目指して登っていった。
好きな相手とするエッチは、我を忘れるほどの激しい快感を私に与えていた。
ヒロの方も行為に没頭して喘ぎまくっていた。
私たちは向い合って下腹部を合わせて、お互いのいきり立ったものを刺激していた。
そしてとうとう私たちはピークにたどり着き、そこから一気に快楽の奈落に落ちていった。

私たちはしばらく快感の余韻を楽しんでいたが、お互いが発射したマグマがからだのあちこちに付いていて不快になってきたので、仕方なくティッシュできれいに拭き取った。

私「ほら、きれいになったよ、ヒロはもう寝なさい。」
ヒロ「うん、眠くなってきた。」
私「ほら、腕枕してやるから。」

ヒロは安心したような表情ですぐに眠り始めた。
私はヒロを起こさないように腕をヒロの頭のしたから抜いて、起き上がってティッシュを捨てに行った。
そしてトイレに行ってから、ベッドに戻りヒロの横に静かに入った。
そうして私もまたすぐに眠ってしまっていた。

theme : 男同士の恋愛
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