俊顕くんの相談

俊顕くんが結婚式を終え、新婚旅行から帰ってきてすぐに、わたしのところに報告に来た。

俊顕くんからは、結婚式前にわたしにある相談をしていた。その報告もかねて来てくれたようだった。

結婚式の少し前の11月の初め、結婚式を翌週の土曜にひかえた俊顕くんとわたしはふたりだけで会った。
ジュンにもあまり聞かれたくないことを相談してくるつもりらしく、ジュン抜きでわたしと俊顕くんで仕事の後に会うことにした。
場所は俊顕くんが個室のある落ち着いた料理屋さんを予約してくれていた。
当日、わたしは仕事を終えると、都心まで出かけていった。
俊顕くんが予約していた店は、繁華街から少し外れたところにある静かな料亭のような店だった。
中に入って、俊顕くんの名前を言うと、係の人がすぐに案内してくれた。
密談にちょうどよさそうなあまり広くない和室で、雪見障子の向こうには小綺麗な坪庭が見えていた。
まだ少し時間前だったので、俊顕くんは来ていなかった。

店の人「こちらでございます、お連れ様がいらっしゃるまで、何かお出ししましょうか?」
私「お茶でもお願いします。」

お茶を飲みながら待っていると、約束の時間より少し遅れて俊顕くんがやってきた。
もともと俊顕くんは背が高くてスタイルがいいので、からだに合った高級スーツがものすごく似合っていた。

俊顕くん「聡一、ゴメン、待たせちゃったね。」
私「それほど遅れてないだろう、それにたいして待ってないし・・・」
俊顕くん「じゃあ、二人そろったことだし、とりあえずビールで乾杯しましょう。」

しばらくして頼んだビールがくると、わたしたちは乾杯をした。

俊顕くん「聡一、ジュン夫妻と仲良くやってる?」
私「まだ慣らし運転だから、お互いすごく気を使ってるって感じだね。」
俊顕くん「まあ、ジュンはしっかりしてるし、ひ〇は自立してるしね。」
私「炊事洗濯はジュンと暮らしてた時もしてたわけだから、あんまり変化はないよね。」
俊顕くん「聡一は何でもできちゃうからなあ、俺の家にもいてほしいくらいだよ。」
私「俊顕のフィアンセは家事とかはどうなんだよ?」
俊顕くん「なんかひ〇といっしょに料理教室に通ったから、料理は少しはできるみたいだね。まあ、実家で俺の世話をしてくれてたお手伝いさんが、新居に来てくれることになっているから、だいたいの家事はまかせちゃうつもり。」
俊顕くん「そんでジュンは子作りがんばってるの?」
私「ああ、がんばってるみたいだよ。そのうち時期を見て、妊娠の検査をするみたいだけどね。」
俊顕くん「ジュンなら精液濃そうだし一発で妊娠させちゃうよ。」
私「ひ〇さんも早く子供を作りたがってるからね。」

店の人がオーダーを取りに来たので、一時会話を中断して、メニューを見ながら、料理を頼んだ。

俊顕くん「せっかく聡一を招待するんだから、フレンチとかにしようと思ったんだけど、こういうところのほうが話をしやすいかと思って、ここにした・・・」
私「ここのほうが確かにないしょの話をしやすいね。」
俊顕くん「ちょっとデリケートな相談だから、落ち着いて話せるところにした。」
私「で、相談っていうのは?」
俊顕くん「俺の周りにゲイで子供がいる人って、聡一しかいなくて、思い切って相談することにした。」
私「ああ、だいたい相談の種類がわかってきたよ。」
俊顕くん「とにかく、俺は100パーゲイだからさ、女の人とできるか、すげえ心配なんだ・・・」
私「それだったら、俺もほぼ100%ゲイだからね。でも、子供は作ることができた。」
俊顕くん「そこのところを、どうやればできるのか、聡一にききたかったんだ・・・」
私「若い時なら、物理的な刺激でいけるからね。」
俊顕くん「そうだけど、どうやって勃起すればいいんだ・・・」
私「それは頭の中でいちばん興奮できる状況を想像すればいい。」
俊顕くん「じゃあ、ジュンとしてると想像すればいいんだ。」
私「ジュンを想像するのは気に入らないが、そういうことだ。」
俊顕くん「それで、勃起してとりあえず挿入できたとしますよね。」
私「とりあえず挿入できれば、後は腰を前後に動かしてペニスが萎えないように物理的な刺激を与える。」
俊顕くん「なんか女の人の中に入れてると思うと急に萎えそうだなあ・・・」
私「だいじょうぶ、挿入されている女の人が気持ちよくなってきたら、膣がペニスを締め付けてくるようになって、物理的な快感が強くなってきて、それで最後までいくことができると思う。」
俊顕くん「それで聡一は気持ちよかったの?」
私「とりあえず最後出すときは気持ちよかったよ。」
俊顕くん「俺もできるからなあ・・・」
私「気持ちの持ちようが重要だよ、ダメだと思って始めるとたぶん萎えると思う。」
俊顕くん「そうだよね、精神的なものの影響が大きいよね。」
私「それとやっぱ何日かは射精を控えて、溜めとくといいかも。」
俊顕くん「なるほど、そうだよね。」
私「とにかく結婚するんだから、失敗しないようにな。」
俊顕くん「とにかく俺がゲイだってことがバレないようにがんばりますね。」
私「妊娠さえしたら、とりあえず子供のためにしないということで、しなくてもよくなるわけだから、まずは妊娠させることだね。」
俊顕くん「早く妊娠するといいんだけどね。」
私「そうだね、とりあえずがんばれよ。」
俊顕くん「俺、がんばるから、聡一、ご褒美くれるとうれしいな。」
私「なにがほしいんだ?」
俊顕くん「聡一。」
私「ばあか、来週末に結婚するんだろうが、ちゃんと溜めておけ。」
俊顕くん「一週間溜めれば大丈夫、だから今日は射精納め。」
私「しょうがねえなあ、じゃあ、このあとホテルにでも行くのか?」
俊顕くん「ここでだいじょうぶですよ、奥の障子の向こうの部屋には布団が敷かれてるからね。」
私「なに、ここはそういうところなのか・・・」
俊顕くん「もちろん飲み食いするのが第一の目的、その後お忍びで楽しいことがオプションでできる・・・」
私「男同士でなんて店の人にバレちゃうとマズいだろうが・・・」
俊顕くん「いまどき男同士なんて珍しくもないし、お店の人は慣れてるから、もちろん見てみぬふりをしてくれますよ、だから聡一は心配しないで。」
私「そう言われても気になるよ。」
俊顕くん「それって、俺を焦らして、もっと気持ちよくしてくれてるわけ?」
私「ばあか。」
俊顕くん「俺、聡一に焦らされるのも興奮するし。」
私「ったく、おじさん相手に興奮するな。」
俊顕くん「なんか今はおっさんのラブが流行ってるみたいですよ。」
私「あらためておっさんと言われるとなんかムカつく。」
俊顕くん「聡一はイケメンでしょ、だからおっさんには見えないから、じゅうぶん俺の守備範囲。」
私「はいはい、守備範囲って言ってもらって、うれしいよ。」
俊顕くん「もう、聡一ったら、うれしいんだったら、もっとうれしそうな顔していってよね。」
私「ったく、注文の多いヤツだな。」
俊顕くん「まさか、聡一、もう勃たなくなっちゃったとか。」
私「ばあか、じゅうぶん元気だ。」
俊顕くん「なら、俺が気持ちよくしてあげますよ。」
私「俊顕、お前、来週結婚するんだろうが・・・」
俊顕くん「まだ結婚してないんだから、これは浮気にはならないもんね。」
私「はいはい、わがままおぼっちゃまにはかないません。」

食事のあと、わたしは俊顕くんに隣の部屋に連れ込まれ、そして思い切り弄ばれた。
それでもそれはものすごく気持ちよくて、わたしは時間のたつのも忘れて行為に没頭していた。
俊顕くんは若いのにものすごい手練手管に精通しているようで、わたしは俊顕くんにいいようにいかされてしまっていた。

俊顕くん「聡一って、こういう時はけっこうウブイよね。」
私「うっせえ。」
俊顕くん「でも、聡一はそういうウブイところがいいよね、ソソルもんね。」
私「どうせ俺はジュンの身代わりなんだろう・・・」
俊顕くん「なんだ、聡一、そんなことでスネてるんだ、かわいい。」
私「アホ、年下のくせに生意気な・・・」
俊顕くん「ゴメンゴメン、怒らないでよ。ジュンはジュン、聡一は聡一で、まるで違うんだから。」
私「ったく、ジュンに何したんだ。」
俊顕くん「ジュンは基本ノンケだから、ちゃんとセーブしてますって。聡一とはゲイ同士、思い切りやれるから、聡一とするほうがいいかも・・・」
私「まあ、くやしいけど、気持ちはよかった・・・」
俊顕くん「でしょ、でしょ、それなら、これからも定期的に気持ちよくなろうよ。」
私「ダメ、これから結婚するやつの言うことか・・・」
俊顕くん「うちの親父だって、二号さん三号さんその他さんがいるんだから、俺も。まあ、俺の場合、相手は男だけど・・・」
私「ったく、お前の愛人には絶対にならないからな。」
俊顕くん「もう、聡一ったら意地張っちゃって。今夜のエッチ、俺のテクで気持ちよくなってすげえ喘いでいたくせに・・・」
私「ったく、そのいかせテクは他の男に使え。」
俊顕くん「はいはい、わかりました。でも、しばらくして俺のテクが忘れなれないって言っても知らないからね。」
私「ばあか、ああ言えばこう言うとは俊顕のことだな。」

いいように俊顕くんにイジられて、俊顕くんの相談は終わった。
いま私たちの住んでいるマンションは俊顕くんの実家に近いので、同じタクシーに乗って帰った。

俊顕くん「じゃあ、披露宴での演奏、楽しみにしてますね。」
私「ああ、こんどはジュンとだから、ヒロの時とはまた違った演奏になると思うよ。」

そう言って、わたしが先にタクシーを降りた。俊顕くんの乗ったタクシーが見えなくなるまでわたしは道に立って見送った。
そしてその翌週、俊顕くんの結婚披露宴にわたしとジュンは出席したのだった。
ジュンは友人代表のスピーチも頼まれたらしいが、それはジュンは辞退して、わたしとのピアノ演奏の前に短い挨拶をすることになっていた。

ジュンの結婚式も、相手側の事情も考慮して、わたしたちにとっては不相応なほどに華やかな披露宴になってしまったが、俊顕くんたちのは、芸能人の披露宴と見まがうような華やかな式になっていた。

新郎の俊顕くんは、もともとがモデルも真っ青の整った顔のイケメンだから、新郎の衣装を着てますます輝くようなイケメンになっていた。
新婦のほうは、ふだんは比較的おとなしめの顔なのだが、花嫁の化粧をすると見違えるほど生き生きとした美人になっていた。
出席者の誰しもがお似合いの新婚さんだと思っただろう。
そして式中のわたしとジュンのお祝いの演奏も、これまでに最高の演奏ができた。

披露宴が終わって、わたしたちはひ〇さんのご両親といっしょにワゴンタクシーに同乗して、うちまで帰った。
ジュンたちとわたしが暮らし始めてから、ひ〇さんのご両親は新居に来たことがなかったからだ。
披露宴ではフルコースの料理を食べていたので、夜になってもそれほどお腹は空いていなかった。
そこでイギリス式のアフターヌーンティをすることになった。
ジュンが近所のスーパーに買い物に行ってくれて、ひ〇さんが簡単なサンドイッチを作り、出来合いの洋菓子等をきれいにさらに盛って、それを食べながら紅茶を飲んだ。

ひ〇さんのお母さん「ひ〇、子供はどうなの?」
ひ〇さん「いやだわ、いきなりそんなこと聞かないでよ。」
お母さん「今はいちばん重要なことでしょ。」
ひ〇さん「もう少ししたら検査に行くわよ。」
ひ〇さんのお母さん「そういう兆候があるのね。」
ひ〇「検査が終わったら、報告するから、それまで待ってよ。」
お母さん「もしも子供ができたら、大事をとってすぐにうちに帰ってきなさいね、初産なんだから、何があるかわからないんだから。」
ひ〇さん「仮の話を今しないで。」
お母さん「でも、お母さん、安心したわ、ひ〇がこんなに早く結婚するとは思ってなかったわ。」
ひ〇さん「子供を早く作って、それが終わったら仕事に集中できるでしょ。」
お母さん「そう言ってても、子供ができたら、子供中心になっちゃうんだから。」
ひ〇さん「お母さんの頃はそうだったかもしれないけど、今は変わってきてるから。」
お母さん「子供を育てるっていうのは本当に大変なことなのよ、わかってるの?」

女性二人だけが主にしゃべり、男三人はときどき話に参加するだけでアフタヌーンティーは終わった。
ご両親は呼んだタクシーに乗って帰っていった。

その後、軽く後片付けをしてから、わたしは早めに自分の部屋に引っ込んだ。
新婚をなるべくふたりだけにしてあげるつもりだった。

部屋に入って、本を読んでいると、夜遅くヒロから電話がかかってきた。

ヒロ「聡一、寝てなかった?」
私「まだ寝てないよ。ヒロはマンションに帰ったのか?」
ヒロ「今帰って来たところ。」
私「お疲れ。」
ヒロ「聡一だって披露宴で演奏したんだろう?」
私「そうだけど、たった6分くらいだからね。」
ヒロ「いい演奏できた?」
私「できたよ。」
ヒロ「俺がピアノ弾きたかったんだけどね。」
私「ヒロとはジュンの披露宴で弾いただろうが。」
ヒロ「そうなんだけどね。」
私「ヒロのほうはどうだったんだよ。」
ヒロ「チャリティーコンサートのゲストだからコンチェルトを一曲弾いただけ。」
私「プロのオケだろう?」
ヒロ「プロのオケだけど、あんまり重要視してない営業の仕事だから、正規の仕事と違ってやや手抜き演奏だよね。頼まれ仕事じゃなきゃしたくない種類の仕事だった。」
私「それでもヒロはちゃんと演奏したんだろう?」
ヒロ「まあそこそこには。」
私「明日は休みだろう、朝、そっちに行くよ。」
ヒロ「来てくれるんだ、待ってるよ。」
私「たまの休みなんだから、寝てていいからね。」
ヒロ「じゃあ、聡一、こっちに着いたらいっしょに二度寝しようね。」

ヒロの声を聞いてから、わたしはすぐに眠ってしまった。ヒロの声が子守歌になったみたいだった。
そして翌日は朝早くからヒロのマンションに出かけていったのだった。

そして披露宴の10日後、俊顕くんがハネムーンから帰ってきた。
さっそく俊顕くんから連絡があり、フレンチを食べながら、俊顕くんにハネムーンの首尾をたずねた。

私「おかえり、俊顕。」
俊顕くん「ただいま、聡一。」
私「そんで、相談の件は、うまくできたのか?」
俊顕くん「聡一、ありがとね、聡一のアドバイス通りしたら、何とかできたんだ。」
私「ちゃんと中出しできたんだね。」
俊顕くん「二回もできたから、ハネムーンベイビーも夢じゃない。」
私「そうか、ホント良かった、安心したよ。」
俊顕くん「なんか、おっとりしてると思ってた相手が、けっこう感じてくれたんで、俺でも喜んでもらえるんだって、うれしかったよ。」
私「とにかく、俊顕がゲイってことは悟られなかったわけだ、良かった良かった。」
俊顕くん「近いうちに、聡一にお礼として、また食事に誘うね。」
私「また、布団を敷いた次の間付のところか?」
俊顕くん「聡一がそれがいいんだったら、そこにするけど。」
私「新婚とエッチなんかできねえよ。」
俊顕くん「とか何と言って、その場になると積極的にエッチするくせに。」
私「うっせえ。」
俊顕くん「そういう聡一、好きだよ。」
私「ばあか、じゃあまたな。お幸せに・・・」

とにかく俊顕くんのハネムーンは首尾よく運んだらしい。わたしは相談された責任上、うまくいくように祈っていたからだ。
ジュンも俊顕くんも遠からず父親になりそうな感じだった。




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ジュンたちと同居開始

二週間ほど前にジュンが結婚して、すぐに新婚夫婦はハネムーンに行ってしまった。

わたしは先にひとり新居に入って、ジュンたちがいない間に少しでも片づけようと思っていた。
誰もいない新居に住んで、ジュンたちの帰ってくるのを待っていると、新婚夫婦と同居がうまくいくだろうかとか、不安になっていた。

そして9日後に新居に帰ってきた。
ジュンとひ〇さんは夕方、羽田空港からタクシーで戻ってきた。
平日だったけれど、わたしは午後半休をとって、新居の片づけをしていた。
夕方になると、ジュンたちは日本食を食べたくなったころだと思い、いつものおかず中心の夕ご飯を作ったのだった。
6時ごろ、ジュンとひ〇さんはちょっと疲れた顔をして、帰ってきた。

私「おかえり、疲れただろう。」
ジュン「とうさん、ただいま。」
ひ〇さん「ただいまかえりました。」
私「これからいっしょに住むことになるので、よろしく。」
ひ〇さん「こちらこそ、お世話になると思いますので、よろしくお願いいたします。」
私「ふたりとも疲れてるだろう、風呂入れといたから、食事の前に入っておいで、疲れとれるよ。」
ジュン「うん、荷物をちょっと整理したら、入るよ。」
ひ〇さん「おとうさまは、お風呂はお使いになったんですか?」
私「いや、まだだよ。」
ひ〇さん「わたしたちはまずはスーツケースを開けてますから、おとうさまがお先にどうぞ。」
私「わたしは後でいいから。それから、おとうさまって言うのはやめてもらえるかな、おとうさんと呼んでもらう方がいいから。」
ひ〇さん「わかりました、これからはそういたします、おとうさん・・・」
私「それでいい、ありがとう。」

ふたりに交代で風呂に入ってもらい、その間にわたしはとりあえず夕食の準備をした。
とはいえ作ったものと言えば、いつもジュンと食べていた家庭的なお惣菜だったので、ひ〇さんの口に合うか、わたしは心配だった。
ひ〇さんと俊顕くんの婚約者は今年初めから、東京〇館の料理教室に通って、料理の腕を磨いたそうなので、わたしの作るお惣菜は喜んでもらえるのだろうか。

先にひ〇さんが風呂に入ったらしく、ジュンが風呂に入っているあいだに、ひ〇さんはキッチンに来て、少し手伝いをしてくれた。

ひ〇さん「おいしそうですね。」
私「これ、ちょっと味見てみる?」
ひ〇さん「いいんですか?」
私「味が物足りなかったりしたら、ちゃんと言ってくれるかな。」
ひ〇さん「では、いただきますね。」

ひ〇さんは小皿にとった料理を口に入れて味わった。

私「味はどうだい、だいじょうぶかな?」
ひ〇さん「とてもおいしいですわ。」
私「それならよかった。」

そこに風呂から上がったジュンがバスタオルで髪を拭きながら、上半身裸でキッチンに来た。

ジュン「すげえ、おいしそうな匂いがしてる。」
私「こらこら、ジュン、女性の前で、そんな格好するな。」
ジュン「べつにもう夫婦なんだから、このくらい平気だよ、素っ裸じゃないんだし・・・」
ひ〇さん「ジュンちゃんは、おとうさんの前では子供になっちゃうみたいね。」
ジュン「ゴメン、そういうの嫌?」
ひ〇さん「そういうジュンちゃんもいいと思うわ。」
私「いいから、ジュン、上に何か着てきなさい。すぐにご飯にするから。」
ジュン「ふわあい。」

ジュンがキッチンから出ていった。

私「じゃあ、ひ〇さん、ご飯つけてくれるかな。」
ひ〇さん「御付けはどうします?」
私「そっちもできたらお願いするよ。」

ご飯と御付けはひ〇さんに任せて、わたしはおかずをさらに盛っていった。
テーブルに準備ができたころ、ジュンが部屋から出てきた。

ジュン「うわあ、こういう日本的な晩御飯食べたかったんだ。」
私「そう思って、日本らしいものを作っておいた。」
ひ〇さん「向こうの料理もまずいわけじゃないんですけど、やっぱり日本食がうれしいですね。」

わたしたちは新婚旅行の話をしながら、ゆっくりと夕食をとった。
食後は、ジュンたちが買ってきてくれたお菓子をデザート代わりに食べて、夕食は終わった。
食器等の後片付けは、新居には作り付けの食洗器があるので楽だった。
時差ボケのあるジュンたちは、眠くなったらしく、早めに寝ると言って、部屋に戻っていった。

わたしはひとりで寝酒代わりのウイスキーを舐めていた。
そこにジュンが寝間着姿で部屋から出てきた。

私「どうした、ジュン、寝るんじゃなかったのか?」
ジュン「うん、子作りに励むつもりだったけど、ひ〇が疲れてるらしくて横になるとすぐに寝ちゃったからね。」
私「飛行機の中ではよく眠れなかったんだろう。」
ジュン「オレも寝たような寝られなかったような、ヘンな感じだもん。」
私「子作りは焦らないですればいい。」
ジュン「でも、たぶんハネムーンベイビーができてると思うよ。」
私「ならうれしいけどね。」
ジュン「オレにもウイスキーちょうだい。」
私「これ、飲んでいいぞ。それにそんなに頑張らなくても、ジュンたちはまだ若いんだから。」
ジュン「そうだといいけど・・・」
私「とうさんだって、すぐにジュンを授かったからね。」
ジュン「おじいちゃんたちに早く曾孫を見せてあげなきゃいけないからね。」
私「ジュン、眠そうだな。」
ジュン「やっぱ飛行機であんまり寝られなかったから、急に眠くなってきた。」
私「じゃあ、もう寝なさい。」
ジュン「とうさん、おやすみのキス、してくれたら寝る。」
私「しょうがないやつだなあ・・・」

わたしはジュンに軽くキスをした。

私「はい、キスしたからもう寝なさい。眠くても寝る前にちゃんとオシッコしとくんだぞ。」
ジュン「うん、とうさん、おやすみ。」

その後わたしはゆっくりと風呂に入ってから、ベッドに横になった。
まだ同居一日目なので、ひ〇さんとはお互い様子見の状態だったのだが、それほど悪くはなかったのでないかとわたしは思った。

翌朝はわたしは仕事に出かけた。以前住んでいたマンションは、わたしの勤め先に近くて、自転車で通うことができた。
こんどの新居は、勤め先まで電車を3本乗り継いでいかなければならないので、時間も一時間近くかかってしまう。
ジュンたちはまだ結婚休暇中なので、ゆっくりと寝かせてやろうと思い、わたしはジュンたちの朝食の準備だけして、マンションを出た。
早めの時間に出ても、通勤電車はけっこう混んでいる。
わたしは勤務先に近いところにあるカフェに入って、一休みしてから、仕事場に入ることにしてる。

仕事を終えて、また電車に3本乗って、マンションまで帰ってきた。
前に住んでいたところほどはにぎわってはないが、駅前にはスーパーがあって食品は手に入れることができる。

とりあえずジュンに電話をすると、すでにジュンが夕食の準備をしているという。
わたしはちょっとだけ買い物をしてマンションに帰った。

ジュン「とうさん、お帰り。」
私「ただいま。ジュンは今日はどうしてたんだ?」
ジュン「まずは旅行中の衣類の洗濯をしたんだ。それからこのあたり、何があるか、あちこち探検してた。」
私「けっこういろいろあるだろう?」
ジュン「ちょっとあるけど、街道沿いに大きなショッピングセンターがあって、そこで買い物した。」
私「カレー作ったのか?」
ジュン「うん、いちばん食べたいと思ったのは、日本風のカレーだったんだよね。」
私「確かにロンドンのインドカレーはちょっと違う感じがするよね。」
ジュン「それで、今夜はこてこての日本風カレーだよ、ハ〇スの固形カレールーで、牛肉のこま切れと、タマネギ人参ジャガイモを入れて煮たんだ。」
私「すごくおいしそうな匂いがしてるよ。」
ジュン「それにスープと浅漬けピクルスを作った。」
私「じゃあ、夕食前に風呂に入ってくるよ。」
ジュン「お湯はすでに張ってあるから、とうさん、いっしょに入ろうね。」
私「でも、ひ〇さんに、ジュンといっしょに風呂に入っているところを見られたくないなあ。」
ジュン「だいじょうぶ、ひ〇は帰ってくるのは9時頃になるんだって。だから、ゆっくり入ってもだいじょうぶだよ。」
私「なら、いっしょに入るか。」

以前と同じように、ジュンの服を脱がせてやり、わたしたちはいっしょに風呂に入った。
バスルームは以前のマンションより広くなり、バスタブもゆったりしている。
以前と同じように、ジュンはわたしの前に座り、背中をわたし胸にもたせかけてきた。

ジュン「やっぱ、これがいちばん落ち着く。」
私「でも、とうさんとだけじゃなくて、ひ〇さんともいっしょに入るんだぞ。」
ジュン「でも、ひ〇に軽く嫌がられるかも、ひとりでゆっくり入りたいって・・・」
私「まあ、気持ちが通じ合っていたら、問題はないと思うけどね。」
ジュン「オレたちは、べつに運命の大恋愛をしたわけじゃないんだけどね。でも、ちゃんと好きあっているのは確かだよ。婚約してから、だんだんとお互いのことを大切に思うようになってきてるから。」
私「ジュンたちがそれでいいんだったら、とうさんはそれを受け入れるよ。」
ジュン「あとは、とうさんとひ〇がうまくやっていければ、何の問題もないことになる。」
私「とりあえずは、少しずつ共同生活に必要なものを探っていく段階だよね。」
ジュン「うまくやっていってね、とうさん。」

今まで通り、ジュンのからだを洗ってやり、先にジュンをあがらせて、その後わたしは自分のからだを洗って風呂を出た。
ジュンが夕食を仕上げて、待っていてくれた。

ジュン「とうさん、食べよう。」
私「ひ〇さんを待たなくていいのか?」
ジュン「8時になったら、待たないで食べることに決めたから。」
私「遅く食べるとからだによくないから、そのほうがいいね。」

わたしはジュンの作ったカレーの夕食を食べ始めた。

ジュン「とうさん、どう、おいしい?」
私「すごくおいしいよ。」
ジュン「まあ、とうさんが作ってくれたカレーをお手本にしてるからね。」
私「それに、この浅漬けピクルス、おいしいよ。」
ジュン「野菜がほしかったから、作ってみたんだ。」
私「ひ〇さんの行った料理教室はカレーとかないんだろうな。」
ジュン「西洋料理の基本コースらしいから、カレーはないかな。」
私「どんな料理をひ〇さんが作ってくれるのか楽しみだな。」
ジュン「まあ、仕事が忙しいみたいだから、平日はムリかもね。」
私「じゃあ、平日はとうさんが作るよ。」
ジュン「うん、期待してる。」

わたしたちが夕食を食べ終わって、使った食器等を洗っていると、ひ〇さんが帰宅した。

ひ〇さん「ただいま帰りました。」
ジュン「おかえり。久しぶりの仕事で疲れたんじゃないの?」
ひ〇さん「休んでる間に溜まってた仕事を片付けるだけで、今日一日終わってしまった感じだわ。」
私「風呂入ってるよ、疲れをとったほうがいい。」
ジュン「その後、夕飯食べるだろう?」

しばらくすると、ひ〇さんが普段着に着替えて出てきた。普段着と言っても、そのまま外出してもいいような、ちゃんとしたもの来ていた。
ジュンとわたしで、ひ〇さんの夕食を準備した。
ひ〇さんが食事を始めたので、わたしは部屋に戻ることにした。
新婚なんだから、少しでもふたりだけの時間を持ちたいだろうと思ったからだ。

わたしは部屋に戻ると、ヒロの声を聞くために電話をした。

ヒロ「新婚さんとうまくやれてるの?」
私「今のところはお互い、探り合いみたいなところがあるからね、もう少しすれば、だんだんと落ち着いてくると思う。」
ヒロ「でもさ、遠からずジュンちゃんたちには子供ができるだろう?」
私「子供ができたら、子供中心の生活になって、それはそれで安定してくるんじゃないかな。」
ヒロ「ジュンちゃんはすげえ健康なからだしてるから、すぐに子供ができちゃうだろうね。」
私「ふたりとも早く子供を作りたがってるしね。」
ヒロ「俺が聡一に妊娠させられたら、いい子供ができそうなんだけどね・・・」
私「ヒロ、子供欲しいのか?」
ヒロ「聡一の子供だったら欲しいよ。」
私「ヒロがそんなに子供を欲しがってるとは思わなかった。」
ヒロ「初めて言ったもん。」
私「ヒロとじゃ子供作れないけど、その代わりにジュンに子供ができたら、いくらでも抱かせてあげるから。」
ヒロ「そうなったら、俺、聡一のところに同居しちゃおうかな。」
私「ジュンたちがいいって言ったら、同居できるぞ。」
ヒロ「でも、同居したら、俺、ジュンちゃんにイジワルされちゃうかも。」
私「ジュンはそんなことしないよ。」
ヒロ「聡一に対してはね。」
私「ジュンも結婚したんだから、少しはヒロに対して気持ちの余裕ができたと思うけど・・・」
ヒロ「なら、いいけどね・・・」
私「じゃあ、土曜にはそっちに行くよ。」
ヒロ「午後はちょっと仕事があるから、夜、どっかでご飯食べようよ。」
私「そうなんだ、でも土曜はジュンとフランクの練習をしなきゃならないから、ちょうどいいな。」
ヒロ「で、土曜の夜、何食べたい?」
私「落ち着いて食べられるところだとどこでもいいけど。」
ヒロ「じゃあ、いいところを探しとくね。」

ヒロの声を聞いてわたしは落ち着いて寝ることができた。
その翌日からはジュンも仕事に出かけるので、夕食はわたしがやることになる。
そう思うと、ジュンが結婚しても、それほど依然と生活パターンが変わったわけではないなと気づいたのだった。






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