9月二回目の三連休

土曜の朝、それもまだ暗いうちに私とジュンはベッドを離れた。熱いシャワーでまだ眠っているからだを目覚めさせてから、さらに濃い目のコーヒーを飲んで、別荘への出発を待っていた。しばらくするとヒロから、下に着いたと電話がかかってきたので、私たちは下に下りていった。
車にもたれて、少し眠そうな顔のヒロが微笑みながら待っていた。

ヒロ「おはよう、ちょっと早かったけど・・・」
私「だいじょうぶ、もう起きてたから。」
ジュン「ヒロちゃん、眠そうじゃん、運転だいじょうぶなの?」
ヒロ「とりあえずはだいじょうぶ、眠くなって運転できなくなったら、聡一、代わってね。」
ジュン「最初からとうさんが運転したほうが安心かも・・・」
ヒロ「ジュンちゃんの小生意気な顔見たら、けっこう目が覚めたからね。」
ジュン「相変わらず、ヒロちゃんってかわいくない。」
ヒロ「ジュンちゃんほどじゃねえよ。」
私「ほらほら、ふたりともじゃれあってないで、出発するぞ。」

ヒロの車で私たちは出発した。高速に入ると朝早いのに車がけっこう走っていた。途中のサービスエリアで朝食を食べたりして、その後運転を私が代わってゆっくりと車を進めていった。

9時ごろに私たちは俊顕君の家の別荘に着いた。直さんと俊顕君が、私たちを迎えてくれた。彼らは深夜のうちに到着していたそうだった。
到着してからしばらくは、心を鎮めるために、テラスに座って景色を見ながらハーブティーを飲み、まったりとした時間をすごした。
そして午前中は3時間ほど、交代でコンサートの練習をした。次回のコンサートは、これまでに私たちが演奏した中で、俊顕くんの母上がもう一度聞きたいとリクエストした曲を演奏することになっていた。一度演奏した曲だったのでやりやすいかと最初は思ったが、こんどは前の時よりさらにいい演奏をしなければならないわけで、練習はけっこう大変なものになっていた。

昼過ぎに練習を終えて、私たちは昼食をとるために、車で外出をした。街の中にある店でおいしいランチをたべてから、野菜を売っているところに行って、新鮮な野菜や果物を買い込んだ。

そして別荘に帰ってから、午後の練習を今度は交代で4時間ほどして、その後気分転換のためにみんなで夕食の準備をした。
その日は夜の練習はしないということで、夕食時に私たちはアルコールを飲んだ。部屋割りは、私とヒロはとりあえず夫婦だからと俊顕くんが二人用の部屋を割り振ってくれた。直さん、俊顕くん、そしてジュンの三人は客用の和室に布団を敷いて、3人で雑魚寝をするそうだった。

俊顕くん「聡一さんたちは、俺の部屋をふたりで使ってもらいますけど、ふたりだけになったからといって、あんまり頑張り過ぎないようにね。禁欲とまでは言わないけど、合宿中はそこそこに・・・」
私「まったく俊顕はなにを余計な気をまわしてるんだよ。」
俊顕くん「新婚さんだからと思って、配慮してあげたつもりなのに・・・」
私「私たちも和室でいっしょに雑魚寝でいいぞ。」
ヒロ「ああ、だめだめ、せっかく個室をもらえたんだから・・・」
私「みんなで寝ると楽しそうじゃないか・・・」
ヒロ「俺はふたりでいたいの。」
俊顕くん「はいはい、痴話げんかはふたりになってからしてくださいね。」
ヒロ「直さんと俊顕くんは個室じゃなくてもいいの?」
俊顕くん「へっ、俺たちですか、べつに直さんと俺はカップルじゃないし・・・」
直さん「ジュンちゃんもいっしょに3人でいたほうが楽しいし・・・」

そして私とヒロは別室に引き上げた。ふだんは俊顕くんが使っている大きなダブルベッドに私とヒロは並んで寝た。

私「けっこう眠くなってきたね。」
ヒロ「今朝は早く起きたからなあ・・・」
私「それに集中して練習したから、疲れたね。」
ヒロ「俺も疲れてるけど、こっちは元気。」
私「まったく、ヒロは・・・」
ヒロ「疲れるとよけい勃っちゃったりしない?」
私「そういう時もないことはないけど・・・」
ヒロ「それに聡一とくっついてると、疲れててもすぐに勃つ。」
私「やりたいざかりの高校生じゃないんだから・・・」
ヒロ「あそこの元気さは高校生以上だよ。」
私「ばあか、明日に備えて寝なさい。」
ヒロ「明日は一日中練習かあ・・・」
私「そうだよ、ヒロはけっこうたいへんだろ。」
ヒロ「やっぱやり過ぎちゃうと、演奏を聞くとわかる人にはわかるからなあ・・・」
私「俊顕はそういうことにはものすごく敏感だからねえ・・・」
ヒロ「しょうがねえ、今夜はおとなしく寝る。そのかわり、明日の夜は・・・」
私「はいはい、今夜は寝ようね。」
ヒロ「明日は絶対だからな。ふふふ、明日の夜が楽しみ・・・」
私「ほら、寝るまで抱いててやるから・・・」
ヒロ「聡一、好きだよ。」
私「寝なさい、おやすみ・・・」
ヒロ「おやすみ・・・」

私も疲れていたのか、目を閉じるとすぐに眠ってしまっていた。

翌朝7時過ぎに私は目を覚ました。トイレに行こうと部屋を出ると、リビングの方ではもうジュンや直さんたちの声がしていた。トイレを済ませてリビングに行くと、俊顕くんたちが3人でコーヒーを飲んでいた。

私「みんな、早いんだね。」
直さん「けっこう早く目が覚めたから・・・」
ジュン「ヒロちゃんは?」
私「まだ寝てるよ。」
俊顕くん「朝メシ、何時くらいに食べます?」
私「8時過ぎでいいんじゃない?」
直さん「今朝はパンケーキ焼きますから、ソウさん、いっぱい食べてね。」
私「そろそろヒロを起こしてくるよ。じゃあ8時に朝食ということで。」

部屋に戻るとヒロはまだ気持良さそうに眠っていた。ベッドに近寄って、ヒロと呼ぶと、ヒロはゆっくりと目を開けた。

私「ヒロ、おはよう。」
ヒロ「夢のなかで聡一の声が聞こえたけど、リアルにも聡一に声をかけられてたんだ。」
私「そろそろ起きなよ、8時から朝ごはんだってさ。」
ヒロ「起きるから、聡一、キスして・・・」
私「しょうがないやつだなあ、ほら。」

私はヒロの顔の上にからだを曲げて、くちびるに軽くキスをした。そうするとヒロは手を私のからだに回して、私を自分のからだの上に引っ張ったったので、私はヒロの上に倒れこんだ。

私「こらこら、引っ張るんじゃない。」
ヒロ「聡一のからだの重さが気持ちいい。」
私「ばあか、キスしてあげたんだから、起きなさい。」
ヒロ「じゃあ、すげえ固くなってるものも触ってくれたら起きる。」
私「朝からなに言ってるんだか。ジュンはキスするとすぐ起きるぞ。」
ヒロ「俺はジュンちゃんじゃないし・・・」

と言いながらもヒロはのろのろとからだを起こした。そしてそのまま立ち上がって洗面所に入っていった。
しばらくするとヒロは別人のようにスッキリとした顔で部屋に戻ってきた。

私「目覚めたか?」
ヒロ「うん、シャワー浴びたからね。」
私「朝ごはん食べに行こうか。」
ヒロ「お腹すいた。」

私たちがリビングに行くと、直さんたちがパンケーキの準備をして待っていてくれた。

俊顕くん「アメリカで食べたなかでいちばんおいしかったパンケーキを再現したんだ。」
ジュン「粉が違うかもしれないけど、おいしくなりそうだよ。」
俊顕くん「ホットプレートだから、失敗はしないだろうけどね。」

私たちは次々とパンケーキを焼いて、朝食にした。ちゃんと焼くとパンケーキはけっこうおいしかった。
そして食後少し休んでから、私たちは練習を再開した。午前中は3時間以上練習をしていた。

昼過ぎにまた気分転換にドライブをしながら、途中で昼食をとった。そしてまた別荘に帰ってくると、午後の練習を始めたのだった。

夕方5時ごろ、私たちが練習をしているところに、俊顕くんの世話係の●さんが別荘にやってきた。

●さん「まあまあ練習の邪魔をしてすみません。どうぞお続けください。」
俊顕くん「●さん、来てくれたんだ。」
直さん「ちょうどキリの良い所だから、休憩にしようか。」
●さん「それでしたら、お茶でもお持ちいたしましょうか?」
俊顕くん「じゃあ、お願いしようかな。」
●さん「かしこまりました。」

●さんがいれてくれたおいしいお茶を飲んでいると、直さんが温泉に行きたいと言い出した。

直さん「ちょっと疲れたから、温泉に行こうよ。」
俊顕くん「聡一さん、どうします?」
私「練習もまあまあ進んだから、いいんじゃないのかな。」
ヒロ「この辺、いい温泉あるみたいだね。」
俊顕くん「じゃあ、行きましょうか。●さん、俺たちちょっと温泉に言ってくるよ。」
●さん「そうなさいませ、その間にお掃除と夕食の準備をしておきます。ごゆっくり温泉にいらしてください。」
俊顕くん「じゃあ、俺たち行ってくるから、あとはよろしくお願いしますね。」
●「かしこまりました、いってらっしゃいませ。」

私たちは車で別荘を出た。

俊顕くん「あんまり早く帰ってくると、●さんの準備が間に合わないといけないから、近くの温泉はやめて、ちょっと離れたところに行きます。」
私「お手伝いさんにまで気を使うなんて、お坊ちゃまは大変だな・・・」
俊顕くん「あたりまえじゃないですか、俺たちのためにいろいろしてくれてるんだから、こっちもちゃんとしないと・・・」
ヒロ「なんか使用人にかしずかれて、ふんぞり返っているんだと思ってた。」
俊顕くん「将来、父に変わって当主になったら、俺もそうする必要があるだろうけどね。今はその必要ないし、父からも若いうちは真似するなって言われてるし・・・」

私たちは車で20分ほど行ったところにある温泉に行って、露天風呂でゆっくりと暖まった。
そして別荘に帰ると、●さんの作った夕食が並んでいた。にぎやかに夕食を食べてから、私たちはテラスに出て、雲間から見える月を見ながらそれぞれ好きな酒を飲んだ。

その後私はヒロと部屋に戻った。部屋にはいると、私たちは立ったまま抱き合って長いキスをした。しばらくすると、ヒロの目が潤んできていた。

ヒロ「あのさ、聡一、俺、まだ聡一のを受け入れてないけど、いいの?」
私「どうしたのさ?」
ヒロ「だって、俺が受け入れられないで、そのせいで聡一に愛想をつかされたりしたら、やだなって思って・・・」
私「そんなことで愛想つかしたりしないよ。」
ヒロ「それに俺だって聡一とできたらひとつになりたいし・・・」
私「わかったけど、今日はむりだろう、ゴム用意してないし・・・」
ヒロ「俊顕なら別荘にちゃんと準備してそうだから、借りてこようかな・・・」
私「ばあか、そんなことしたら、これからやりますって宣伝するようなものだろうが・・・」
ヒロ「べつに後ろめたいことするわけじゃないし・・・」
私「いつかできたらやろうね、だいたいそんなことしなくてもヒロとするだけでじゅうぶん気持ちいいし・・・」
ヒロ「聡一がいいなら、俺はそれでいいけどね・・・」

私はヒロをベッドまで連れていき、ヒロを静かにベッドに寝かせた。そしてふたりでゆっくりと気持ちのいいことを楽しんだ。

翌朝は、起きてリビングに行くと、もうテーブルの上には朝食の準備ができあがっていた。私たちは●さんの給仕でゆっくりと朝食を食べた。

直さん「●さんも今日東京に帰るんでしょう、ぼくたちの車によかったら乗って行きません?」
●さん「お心遣いはとてもうれしいんですけど、使用人の分際で俊顕さまのご友人のお車に乗せていただくわけにはまいりませんので・・・」
直さん「でも俊顕はべつに●さんといっしょでもいいんだろう?」
俊顕くん「俺はべつになんの問題もないんだけどね。」
●さん「みなさんのお気持ちだけ、ありがたくちょうだいいたします。それに私は帰りの指定券を持っておりますから・・・」
私「じゃあ、駅まではいっしょにどうぞ。」
俊顕くん「じゃあ、●さん、駅までは乗っていってね。」
●さん「みなさん、お優しくていらっしゃるから・・・ それでは厚かましいですが駅までご一緒させていただきます。」
直さん「じゃあ、決まりだ。」

出発の時間まで私たちは軽く練習の仕上げをした。そして昼前に別荘を出て、駅まで●さんを送ってから、二台の車は高速に乗った。私の車にはジュンと俊顕くんが乗って、直さんの車にはヒロが乗っていた。

ジュン「●さん、けっきょく列車に乗っちゃったね。」
俊顕くん「まあ、車だと●さんのほうが気を使っちゃうから、JRのほうが気楽なんじゃないかな。」
私「そうかもしれないね、あんまり強く誘うのもかえってよくないかもしれないね。」
ジュン「●さんって、俊顕のお母さん二号みたいなもんじゃん、だからあれほど遠慮することはないんじゃないかなって思うけどね。」
俊顕くん「まあ実際は俺の母親代わりではあるけど、●さんとすれば、あんまりでしゃばって母に嫌われると仕事無くしちゃうから、ことさら控え目にしてるんだと思うよ。」
私「なるほど、●さんとしては、俊顕のお母さんをまずはたてなきゃならないんだね。」

高速を走って、談合坂で休憩をした後、私とジュンは私の車にそのまま残り、ヒロが直さんの車から移ってきた。
そして俊顕くんは直さんの車に乗り換えた。直さんと俊顕くんとはそこでさよならを言って別れた。

ジュン「けっこう練習できたね。」
私「ああ、そうだね、でもとうさんはやったことある曲なのに、初めてやったみたいに直さなきゃならないところがいっぱい出てきたよ。」
ジュン「そうなんだよね、やればやるほど、それまで気づかなかったことに気づいていくんだよね。」
ヒロ「コンサートで演奏するのって、やればやるほど大変になってくんだよ。」
ジュンちゃん「おっ、ヒロちゃんがめずらしく演奏家っぽいことを言った。」
ヒロ「めずらしくって言うのは余計だぞ。」
ジュン「せっかくほめてあげたのに・・・」
ヒロ「俺のすごさが少しはジュンちゃんもわかってきたか・・・」
ジュン「ホントはほめてなんかないのに、ヒロちゃん、単純。」
ヒロ「うるせえ、ったくかわいくないやつ・・・」
ジュン「ヒロちゃんにかわいいなんて言われたくないし・・・」
ヒロ「生意気なガキにはこうしてやる。」
ジュン「いてて、ヒロちゃん、マジ痛いって。」
ヒロ「痛いようにしてるんだから、当然だろ。」

ヒロとジュンのじゃれあっている姿を見ていると、私はなんとなく幸せな気分になっていた。

私「こんどのコンサートが楽しみだ。」
ジュン「とりあえず、最後のコンサートになるのかな・・・」
私「まあ社会人になったらしばらくの間はコンサートどころじゃないかもね。」
ヒロ「ジュンちゃんがもうすぐ社会人か・・・」
ジュン「いいコンサートにしたいね。」
私「直さんも俊顕もがんばってるし、いいコンサートになるよ。」

そして車は無事にマンションにまで帰り着いて、私たちの二回目の三連休は終わった。けっきょくヒロはその夜はうちに泊まって、月曜の朝、早起きして急いでマンションを出ていったのだった。


theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

comment

管理者にだけメッセージを送る

No title

合宿お疲れ様です。コンサート楽しみですね~

やっぱりヒロさんも気になさってるんですね・・・うーん。2人とも幸せなら全く問題ないですしね。うんうん。ほぐしに参りたいところではございますが。(おかしな事を・・すみません

ヒロさんとジュンさんが仲良くじゃれてるところが脳内再生されました。また描ける時に書いてみたいです(´ω`)

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: No title

眠兎さま

コンサートまであと一ヶ月、今回はヒロのピアノ伴奏で、時間がある限り練習しています。

なんかヒロは気になるみたいですね。私としてはどっちにしても気持ちは変わらないのですけどね。

ジュンとヒロ、かっこかわいくしてくれると、うれしいです・・・

Re: いつも楽しみにしてます。

なる。さま

コンサートは11月です。あと一ヶ月というところですね。今回はヒロの伴奏なので、会うたびに練習しています。
これからもコメントをよろしくお願いします。
プロフィール

悩む父親

Author:悩む父親
FC2ブログへようこそ!

最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ
カレンダー
02 | 2024/03 | 04
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
FC2カウンター
カテゴリー
メールフォーム
何でもけっこうですので、メールをくださると嬉しいです。

名前:
メール:
件名:
本文:

最近のトラックバック
ブログ内検索
リンク
QRコード
QRコード