父の日(後編)

ヒロ「6時から始めるからね、もう少し待ってて。」
ジュン「今日はオレとヒロちゃんで全部準備するから、とうさんと直は手を出しちゃダメだからね。」
私「じゃあ、のどが渇いてるから、パーティーの前に、直とちょっとだけビール飲んでていい?」
ジュン「ビールくらい、いいよ。」

私は缶ビールをふたつ冷蔵庫から出して、直さんとベランダのベンチに並んで座った。

直さん「ぷはーー、冷たいビール、うまい!」
私「今日は直が来るから、プ●モ○冷やしておいた。」
直さん「ホント、うれしいな。でも聡一と飲むんだったら、なんでもおいしいけどね。」
私「もう、直はサラッと殺し文句を言うからなあ・・・」
直さん「えっ、そんなこと言ってないよう・・・」
私「そういうボーっとしてるところが直のいいとこかもね。」
直さん「なんかすげえけなされた気がするけど・・・」
私「してないしてない、ほめてるんだよ。」
直さん「ならいいけど・・・」

しばらくすると、パーティーの準備が終わったと、ジュンが私たちを呼んだ。テーブルの真ん中には、火のついたローソクが立てられたケーキが置かれてあった。

ジュン「父の日のケーキなんだけど、ローソクを立てるのかわかんないけど、とりあえずローソク消しは盛り上がりそうだからね。」
直さん「ぼくも聡一と一緒にローソクの火、吹き消していいの?」
ジュン「もちろんだよ、だって直はオレのお父さん2号だもん。」
ヒロ「俺もいっしょに吹いていい? だって俺はジュンのお父さん3号だからね。」
ジュン「ダメだよ。」
ヒロ「なんでだよ。」
ジュン「だって、ヒロちゃんはとうさんのお嫁さんだから、オレにとっては義理のおかあさんになるじゃん。」
ヒロ「ジュン、本気でなぐるぞ。」
ジュン「もう、ヒロちゃんったら、子供みたいなんだから・・・」
直さん「ジュンはいいなあ、だってお父さんが3人もいるんだからね。そういえば、最近父親が4人いるって話の小説読んだなあ・・・ そうだ、翼もいれたら、ジュンにも4人のお父さんがいることになるね。」
ジュン「ホントだ、それってけっこうすげえ。まあ、しかたないからヒロちゃんもお父さん4号にしてあげるよ。」
ヒロ「ジュンはマジかわいくねえ・・・」
私「ほら、ローソクの火、消すぞ。」

私たちは3人で顔を寄せて、ケーキの上のローソクを吹き消した。そしてヒロが持ってきてくれた本物のシャンパンを開けて、私たちは乾杯した。

ジュン「とうさん、直、父の日、おめでとう、オレ、すげえ感謝してる・・・」
私「子供は親に感謝なんかしなくていいのに・・・」
直さん「そうだよ、ジュン、感謝してもらうためにしてるわけじゃないからね。」
ジュン「でもとうさんだっておじいちゃんに父の日のプレゼントしてるじゃん。」
私「おじいちゃんととうさんはふだん離れて暮らしてるからね、そのぶん父の日だけでもと思ってるだけだよ。ジュンはとうさんといつも一緒にいてくれるから、それだけでとうさんはいいんだけどね。」
直さん「そうだよ、ジュンといっしょにいるだけで、幸せな気分になれるからね。」

準備されたたくさんの料理をゆっくりと食べながら、私たち4人はパーティーを楽しんだ。

そして直さんは、湘南新宿ラインの最終に間に合うように、帰ると立ち上がった。

直さん「聡一、ジュン、ヒロちゃん、今日はありがとう。」
私「今日は着てくれてありがとう、楽しかった。」
ジュン「オレ、直のマンションにいっしょに行くから。」
ヒロ「おお、ジュン、気が利くねえ。」
ジュン「ちげえよ、明日は直のマンションのほうでちょっと用があるから、ついでに泊めてもらうんだよ。」
私「直、ジュンをよろしく。」

私とヒロは酔い覚ましに、直さんとジュンを駅まで歩いて送りに行った。駅の改札でふたりと別れて、私たちはマンションに戻ってきた。

軽く後片付けをしてから、私たちはいっしょにシャワーを浴びた。そして私たちは裸のまま、並んでベッドに横になった。

ヒロ「聡一、しよう。」
私「いきなりだな。」
ヒロ「だってシャワー浴びてる時からずっとおあずけだもん。それに今夜はジュンちゃんがいないから、思い切りやれるし・・・」
私「バスルームでするより、ベッドでゆっくり楽しんだほうがいいからね。それにちょっとガマンしたくらいがちょうどいい・・・」

私は、仰向けに寝ているヒロの上に覆いかぶさって、キスをした。ヒロは私のくちびるが触れる前にまぶたを静かに閉じた。それは私にキスしていいよと態度で示しているようだった。
私は軽いキスから始めて、少しずつ時間をかねてディープキスに変えていった。じっくりとキスをしてから、くちびるを離すしたら、ヒロが少し目を開いた。その目は潤んで、すでに快楽に満たされているような感じだった。
そして私は先を急がないように気をつけながら、少しずつヒロのからだに火をつけていった。
たぶんいつもよりもたっぷりと時間をかけて、私たちは最後の時を迎えた。

ヒロ「聡一、今夜はすげえ情熱的だったね。」
私「そうかな、でもヒロが気持ち良さそうだったんで良かったよ。」
ヒロ「男の生理ってさ、やってる時はすげえ良くても射精しちゃうと急激にさめちゃうじゃん・・・」
私「確かにそうではある・・・」
ヒロ「でも聡一とした後は、エッチな気分はさめても、聡一といっしょにいるってだけで、ずっと満たされた気分なんだよね。」
私「そうだね、そこはからだだけの関係とはまったく違ってるよね。」
ヒロ「なんか眠くなってきた・・・」
私「ゆっくり寝なさい。」
ヒロ「聡一、おやすみ・・・」
私「おやすみ・・・」

ヒロはからだを丸めるようにして、私の胸の前にもぐりこむように頭を近づけてきた。私はヒロの頭を軽く撫でた。こんなところはジュンにちょっと似ているな私は思った。

翌朝、私たちは適度な疲れでぐっすりと寝たせいか、10時ごろまで目を覚まさなかった。

私「ほら、ヒロ、もう10時になるよ、起きよう。」
ヒロ「ふう、なんかよく寝た、もうそんな時間なんだ。」
私「ヒロ、まだ眠いのか?」
ヒロ「もうだいじょうぶ。目が覚めたら、ここが元気になってて、どうしよう・・・」
私「ほら、トイレに行っておいで、そうするとすぐに解決する。」
ヒロ「もう、聡一はしょうがないなあ、俺は誘ってんの。」
私「なに、トイレに誘ってるのか。ウチのトイレは一人しか入れないぞ。」
ヒロ「もう、聡一はいじわるなんだから。もういい、しかたないからトイレに行ってくる。」

そう言うとヒロは大きくなったものを私に見せつけるように起き上がり、トイレに歩いていった。
トイレから帰ってくると、ヒロはまたベッドに入ってきて、私の横に寝た。

私「もう目が覚めてるんだろう。起きようか。」
ヒロ「目は覚めてるけど、もうしばらく聡一の横で甘えたい。」
私「どうしたんだ、今朝はなんかまとわりついてくるね、なんか餌が欲しい猫みたいだ。」
ヒロ「なんだ聡一、わかってんじゃん、俺は聡一が欲しい。」
私「ばあか、爽やかな朝にそんなこと言うな。」
ヒロ「聡一だって大きくしてるくせに・・・」
私「これは朝の生理現象。」
ヒロ「ホントにそれだけ?」
私「ちょっとはヒロのせいでもある。」
ヒロ「そういう聡一、好きだよ。」

私たちはしばらくくっついて寝ていた。ふたりの心とからだが溶け合ったような気分だった。

しばらくして、私たちはとうとう起き上がり、とりあえずコーヒーをいれて飲んだ。その時ジュンから電話がかかってきた。

ジュン「とうさん、俺。」
私「どうした、ジュン。」
ジュン「これからオレは直さんといっしょにランチを食べに行って、ちょっと買い物をしてから帰るよ。だから夕方になるからね。」
私「晩ご飯はウチで食べるんだな。」
ジュン「うん、そうするつもり。とうさんは、今日はどうするの?」
私「これから、ヒロとどっかでランチをして、その後は、ウチでヒロとソナタの練習をする。」
ジュン「ソナタって、何やるの?」
私「フォーレの一番。」
ジュン「いいな、オレもフォーレ好き。こんどオレともやってね、とうさん。」
私「いいぞ。」
ジュン「じゃあ、オレはこれから直さんとランチを食べに行くよ。」
私「直さんによろしく伝えといて。」
ジュン「うん、わかった。」

ジュンとの電話を終えると、横で電話を聞いていたヒロが言った。

ヒロ「ジュンちゃん、晩御飯まで帰らないの?」
私「うん、なんか直さんと午後は買い物に行くみたい。」
ヒロ「じゃあ、とりあえず夕方までは聡一を独占できるな、ふふふ・・・」
私「なにひとりで笑ってるんだよ。」
ヒロ「とにかく、これからランチデートしようね。」

私たちは電車に乗ってヒロの行きつけのフレンチレストランにランチを食べに行った。フレンチレストランなのでワインがいろいろあったが、午後はソナタの練習があるので、ふたりともいっぱいだけでガマンすることにした。

ゆっくりとランチを楽しんだ後、少し腹ごなしに散歩をしてから、私たちはマンションに帰った。
そして、ヒロと始めてやるフォーレのヴァイオリンソナタ第一番の練習を始めた。とりあえず個別の練習はじゅうぶんにしておいたので、とりあえず通して弾いてみると、たくさんの問題点が明らかになった。

ヒロ「なんか、もう少しうまくいくんじゃないかと思ってたけど、意外に問題点が多かった。」
私「ひとりで練習してるときはけっこういい感じだったんだけどね。」
ヒロ「けっこうこのソナタ、ちゃんとやると難しいんだよね。でも問題点が明らかになってきたんだから、ひとつずつつぶしていくことからやっていこう。」
私「締め切りがあるわけじゃないから、丁寧に問題を解決していける。」
ヒロ「聡一のヴァイオリン、進化してるよ、いっしょにやってると俺も触発されるところが多い。」

私たちはとりあえず2時間ほど練習を続けた。夕方になる前に私たちは、食材を買いに近くのスーパーに出かけた。

そしてヒロと夕食を作っていると、ジュンが帰ってきた。

私「お帰り、ジュン。」
ジュン「ただいま、とうさん。」
私「今日は楽しかったか?」
ジュン「うん、今日のランチは、直さんの知ってる北アフリカ料理を食べに行って、その後、久しぶりに服を買いに行ったんだ。」
私「いい服、見つかったか?」
ジュン「うん、少し買った。それから、これはとうさんに父の日のプレゼントのおまけ。」
私「昨日貰ったものだけでじゅうぶんだったのに・・・」
ジュン「直さんにも同じもの買ったから。それにヒロちゃんにもあるよ。」
ヒロ「えっ、俺にもくれるの?」
ジュン「まあ、ヒロちゃんはとうさん2号半だからね。」
ヒロ「2号半ってなんだよ。」
ジュン「じゃあ、プレゼントいらないんだね。」
ヒロ「いるいる、貰う。」

私たちは父の日のプレゼントのおまけの靴下を貰った。

私「ジュン、ありがとう、すごくとうさん、うれしいよ。」
ヒロ「貰って言うのもなんだけど、俺にはデザインが若すぎない?」
ジュン「だいじょうぶ、精神年齢に合わせたから。」
ヒロ「ジュンちゃん、すげえ意地悪・・・」
ジュン「いらないんだったら、それも直さんにあげるから。」
ヒロ「ううう、貰う。」

なんだかんだ言いながらも、ヒロはうれしそうにジュンからのプレゼントを受け取っていた。

父の日はこんなふうに過ごして終わった。私にとってはとても楽しい週末だった。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

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Re: いつも楽しみにしています♪

なる。さま

いつもコメントありがとうございます。
思い出に残るいい父の日を迎えられたのにはほんとうに感謝しています。
それにしてもとりあえず健康でいられるのがいちばんですね。からだにはくれぐれも気をつけてください。
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