土曜の夜

夏休みも終わり、ヒロは9月の前半は出張講義とかで、8月末に二週間の予定で海外に行ってしまった。私にも同行しないかと誘われたのだが、9月に続けて休みを取るわけにもいかず、ヒロひとりで行ってもらうことになった。

ヒロ「俺が9月15日に仕事を終えて帰ってきたら、その翌週の飛び石連休に骨休めに温泉でも行こうね。」
私「ああ、22日は休みを取るよ。そうしたら4日間行けるからね。」
ヒロ「どこでもいいから、温泉のあるところでまったりしたい。」
私「ジュンも疲れが溜まってそうだから、いっしょに連れていっていい?」
ヒロ「やっぱ、そうきたか。ジュンちゃんがいっしょに来ると、ふたりだけになれないじゃん。」

ヒロはすねたような口ぶりで言った。

私「やっぱ、だめだね・・・」
ヒロ「もう、聡一ったら、そんながっかりしたような顔すんなよ。」
私「そんな顔した? なら、ゴメン。」
ヒロ「ジュンちゃんといっしょでもいいけど、ひとつ条件がある。」
私「なにさ?」
ヒロ「あっちに行った時、聡一と俺が心置きなくふたりだけでいられるように、ジュンちゃんの世話をしてくれる人をいっしょに連れて行く。」
私「それって、ひょっとして直のこと?」
ヒロ「直さんって、ジュンちゃんのお父さん2号なんでしょ、ちょうどいいじゃん。」
私「それでヒロがいいんだったら、とりあえず直を誘ってみるけど・・・」

その後、私は直に連絡してみた。

私「もしもし、直? 聡一です。」
直「聡一、どうしたの?」
私「直ってさあ、9月22日に休み取れる?」
直「たぶん、だいじょうぶだと思うけど、どうしたの?」
私「20日から、ヒロとジュンとで温泉に行く予定なんだけど、直もどうかと思って・・・」
直「行きたい、すげえ行きたい。」
私「でも、直にはジュンのお守りをさせることになるけど、いい?」
直「なんだ、じゅんだったら、ぼくのほうが遊んでもらうほうだよ。」
私「直とジュンがいっしょだと、私も安心してヒロとふたりになれそうだからね。」
直「いいよ、聡一はヒロちゃんの相手をしてなよ、ぼくはジュンちゃんと遊ぶから。」
私「それなら、決まりだね、4人でどっか行こう。」
直「どっか行くあてはあるの?」
私「これから探すよ。」
直「それならさ、ぼくの知り合いの別荘、ほら、聡一も行ったことあるじゃん。そこが借りられるか、持ち主に聞いてみるよ。」
私「そこまで、直にしてもらっていいの?」
直「いいって、たいしたことじゃないし。」

けっきょく直のつてで、高原の別荘が借りられることになった。

直「聡一、別荘借りたよ。」
私「直、無理して借りたんじゃないんだろうね、連休だからさ。」
直「ぜんぜん。だって別荘の持ち主はどっか他に行くから、ぜひ使ってって言ってたよ。ただ掃除はきちんとしておいてってお願いされたけどね。」
私「じゃあ、使わせてもらうことにしよう。」
直「でも、布団はちょっと持っていかなきゃならないけどね。」
私「まあ、それくらいだったら、まだ夏のおわり頃だから、それほど荷物にならないだろう。」
直「じゃあ、楽しみにしてる。」
私「直がいっしょに行けてよかったよ。」
直「まだ別荘に行くまでには日にちがあるから、一度聡一とジュンに会いたいな。」
私「じゃあ、土曜にでもおいでよ、ジュンと3人で夕飯を食べようよ。」
直「じゃあ、土曜に行くね。」

そうして、土曜の夕方、直がやってきた。私とジュンはいろいろとおかずを午後から準備していた。

直「来ちゃいました。」
私「久しぶりだね、直。」
ジュン「直、久しぶり。」
直「ジュン、なんかすげえキリッとしたいい顔になったね。」
私「ジュンももう一人前の社会人だから。」
ジュン「ホントはまだまだなんだけどね・・・」
直「まあ、どこでも新人はたいへんだからね。特にジュンは期待の新人だろうから・・・」
私「まあ、こんかい別荘でちょっと休ませないと行けないと思ってたんだ。」
直「まあ、気の合った4人で行くんだから、のんびりできると思うよ。」
ジュン「お父さん2号の直といっしょだったら、オレも気楽にできるし。」
私「直、ジュンをよろしくね。」
直「どっちかというと、ぼくのほうがジュンに遊んでもらうほうだよ。」
ジュン「じゃあ、直、オレが遊んであげるね。」
直「うん、それは楽しみだ。」
私「じゃあ、晩ゴハンを食べよう。」
直「うわっ、いっぱい作ってくれたんだ。」
私「ジュンとふたりで作ったから、それほど大変じゃなかった。」
直「そういえば、ヒロ、いつ出発したの?
私「昨日の深夜、羽田から。」
直「そうなんだ、ヒロって相変わらず忙しいんだ。」
私「仕事を少しずつ減らして行きたいって言ってたけど、なかなかそうはいかないみたいで・・・」
直「聡一、さみしいね。あっ、ジュンがいるから、そうでもないのか。」
ジュン「へへへ、ヒロちゃんのいない間は、オレがとうさんを独占できる。」
私「ヒロがいないと、ジュンはいつもよりさらに甘えてくるんだよね。」
直「聡一はいいなあ。ジュン、ぼくにも甘えてきてほしい・・・」
ジュン「直のことも大好きだよ。」
直「ジュンちゃん、メッチャかわいい。」
私「ほらほら、ジュン、いいかげんにしなさい、仮にもジュンは社会人なんだから・・・」
ジュン「外ではちゃんとしてるよ。でもウチの中では、とうさんと直に甘える。」
私「もう、しょうがない甘えっ子だ・・・」
直「でも、甘えてもらうと、けっこううれしいよね。」
私「そうだんだけどね・・・」

私たちは楽しく晩ゴハンを3人で食べた。御飯のあと、ソファに座って、貰い物のウィスキーを3人で楽しんだ。

私「直、今夜は泊まってくだろう?」
ジュン「そうだよ、もう遅いから、直、帰るのたいへんだろう?」
直「泊まっていい?」
私「もちろん。」

私たちはその後、軽くシャワーでからだを流してから、ベッドにジュンを真ん中にして横になった。

ジュン「お父さんがふたりもいてくれて、すげえオレうれしい。」
直「それより、ぼくのほうがうれしいよ、ジュンがぼくのことをお父さん2号って思っててくれて。」
私「ほら、ジュン、もう寝なさい。」
ジュン「直、とうさん、おやすみ。」
直「おやすみ、ジュン。」
私「ふたりともゆっくりと寝るんだよ。」

私はしばらく眠れなくて、すぐに寝入ったふたりの寝顔を眺めていた。そして幸せな気分に包まれて、だんだんと眠りに引き込まれていった。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

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Re: 素敵ですね

たけろーさま

コメントありがとうございます。
気心の通じた相手と寝ていると、安心して寝られますね。
愛されるのも幸せだけど、愛するのはもっと幸せな気がします。
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