高原の温泉に(その2)

高原に来て三日目の朝、私たちはその日の予定を考えていた。

私「さて、今日はどうしようか?」
ヒロ「俺はできたら、ピアノを弾いていたい。暗譜できてるか、念のため確認しておきたい曲があるんだよね。」
ジュン「じゃあ、ヒロちゃんはピアノ練習してなよ。とうさんはどうする?」
私「ヒロの練習を、本でも読みながら聞いてようかな。」
直「じゃあ、ぼくとジュンはどっか出かけよう。」
ジュン「どこに行く?」
直「ちょっと運動不足だから、温水プールに行って泳ぐっていうのはどう?」
ジュン「オレ、泳ぎたい、行く行く。」
直「でも、ぼくたちが車で出かけちゃったら、聡一たちはどこにも行かれなくなるけど・・・」
私「それはだいじょうぶ、出かけるとしても歩いていけるところに行くから。」
直「じゃあ、車で出かけるよ。」
ヒロ「俺は聡一とふたりで昼飯食べるから、直たちもどこかでお昼食べてきなよ。」
直「それじゃあ、ジュン、泳いだ後、どっかでふたりでお昼食べて、そのあと高原美術館にでも行こうよ。」
ジュン「うん、それでいいよ、なんか直とデートするみたい。」
私「直も、ジュンも、ゆっくり楽しんでおいで。」

その日のそれぞれの行動が決まって、直とジュンは仲良く車で出かけていった。

ヒロ「ふふふ、邪魔モノが消えてくれた・・・」
私「こら、ヒロ、目がスケベ丸出しになってるぞ。」
ヒロ「げっ、考えてることが顔に出ちゃった?」
私「ああ、モロ出てたぞ。」
ヒロ「ねえ、聡一、俺ね・・・」
私「ヒロ、ピアノは?」
ヒロ「ピアノの前に、ちょっとウォーミングアップ。」
私「ストレッチでもする?」
ヒロ「ちげえよ、ったく、聡一ったら、わかってるくせに・・・」
私「わかってるけど、でも先にピアノをさらおうね。暗譜入ってるか確かめるんだろう?」
ヒロ「ううう、ピアノなんか仕事にするんじゃなかった・・・」
私「はいはい、わかったから、まずピアノの前に座ろう。」
ヒロ「しょうがねえなあ、そのかわり、後で、わかってるよね。」

弾く前にはゴネていても、ピアノを弾き始めると、ヒロはすぐに集中していた。私は、少し離れたソファに座って、本を読み始めた。

一時間ほどして、ヒロの練習がキリの良い所で終わったらしく、休憩のためのティータイムを取ることになった。

ヒロ「集中したら、脳が疲れた。なんか甘いもの食べたい。」
私「直が持ってきてくれたクッキーがあるよ。」
ヒロ「直さん、どんなクッキー持ってきてくれたの?」
私「直の言うには、なんか昔風のクッキーだって言ってたよ。まあ、とりあえず食べてごらん。」

私たちは直の持ってきたクッキーを食べ始めた。袋入りの気取らないパッケージのクッキーだった。

ヒロ「おおっ、これ、うまい。」
私「なんか子供のころ食べたようなクッキーがさらに美味しくなったって感じだね。」
ヒロ「高級っぽいクッキーじゃないんだけど、この味、俺好きだ。」
私「紅茶によく合うよね。」
ヒロ「なんか、すげえ疲れが癒やされた・・・」
私「じゃあ、もう少しピアノ弾けるね。」
ヒロ「ううう、ピアノより楽しいことを、し、た、い。」
私「ピアノ弾いたら、後でいいことがあると思うけどね。」
ヒロ「なんか、聡一にいいように操縦されてるような気が・・・」
私「気のせい、気のせい。」

その後、今度はふたりでヴァイオリン・ソナタをちょっとさらった後、私たちは昼飯を食べに外に出かけた。 ちょっと美味しそうなイタリアンレストランがあったので、そこで前菜とパスタのランチを食べた。

午後は、腹ごなしにちょっと離れた牧場まで、私たちは散歩がてら、景色を眺めながらぶらぶらと歩いて行った。

そして散歩から帰った後は、またヒロは譜面を睨みながら覚え間違いがないか、集中して練習していた。私は相変わらずテラスで高原の風を受けながら、本を読んだ。

夕方、ジュンと直が帰ってきて、私たちは最後の夕食ということで、残っている食材を全部使って、いろんな料理を作って食べた。

私「ビールも残ると持って帰らなきゃならないから、なるべく飲んでね。」
直「ようし、今日は寝るだけだから、思い切り飲むぞ。」
ジュン「直、調子にのって飲み過ぎないようにね。」
ヒロ「なんか、直とジュンっちゃんてホントの兄弟みたいに仲いいよね。」
ジュン「だって直はオレのおとうさん2号だもんね。」

夜遅くなってくると、また直さんが酒に酔って、居眠りをし始めたので、宴会はお開きにして、それぞれの部屋に戻った。

ヒロ「明日、もう帰らなきゃならないね。」
私「ホント、早いね。」
ヒロ「ねえねえ、聡一、マジで聞くけど、俺のこと、好き?」
私「いきなり何を言ってるんだよ。」
ヒロ「聡一が俺のことを好きでいてくれたらうれしいなって思っただけ。」
私「いまさら言わなくても、わかってるだろう?」
ヒロ「わかってるつもりなんだけど、やっぱちゃんと確認したいというか・・・」
私「ヒロのこと、好きだよ。」
ヒロ「ジュンちゃんとオレとどっちが好き?」
私「どっちもすげえ好きだよ、まあ好きの種類がちょっと違ってるんだろうけど・・・」
ヒロ「もう、聡一ったら、優等生の答えをして・・・」
私「じゃあ、これだったらどうかな。ヒロはパートナーとして好き、ジュンは息子として好き。」
ヒロ「なんか、まだ納得しきれないけど、まあいいことにしなきゃいけないんだろうね。」
私「ヒロ、愛してるよ。」
ヒロ「聡一、俺も・・・」

ふたりは自然にキスをし始めていた。いつもよりも甘いキスに感じられた。

翌日、朝ごはんを食べたあと、部屋の掃除と、食器を洗って別荘をきれいにした。そして、みんなの荷物と、持ってきていた布団も車に積み込んで、渋滞をなるべく避けようと、早めに別荘を出発した。
途中、混雑しているサービスエリアで軽く昼食を食べて、私たちは東京に向かった。均一料金区間に入って、少し渋滞したけれど、たいした遅れもなく、私たちは午後マンションに帰り着いた。
そして、夕方になる前にマンションに帰りつきたいという直を見送った。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

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Re: いつも楽しみにしてます♪

なる。さま

今回は本当にのんびりと過ごすことができました。高原の爽やかな風のおかげで、心からリフレッシュできました。

Re: No title

たけろーさま

メールの方にも書き込みいただき、ありがとうございます。
気のあった仲間と、高原でゆったりと過ごして、ほんとうにリフレッシュできました。

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