俊顕くんとジュンが旅行の打合せ

ジュンの婚約者は、9月に英国での実習を終えて、9月に帰国することになっていた。9月のシルバーウィークにジュンは、婚約者の両親に頼まれて、英国まで迎えに行くことになっている。それに便乗するかのように俊顕カップルも一緒に行くことになったらしい。
その打ち合わせがあるといって、土曜日の午後に俊顕くんがうちに来た。
 
俊顕くん「なんだ、聡一だけなんだ、ジュンは?」
私「俊顕、お前、露骨にがっかりするな、まったく私で悪かったな。」
俊顕くん「もう、聡一ったら、いい年してスネないでよ。」
私「いい年はよけいだろうが・・・」
俊顕くん「俺の同級生のお・ち・ち・う・えなら、いい年でしょうが・・・」
私「まったく、かわいくねえ奴だなあ・・・」
俊顕くん「じゃあ、かわいくしたら、俺の事、抱いてくれるとか。」
私「なぐるぞ。」
俊顕くん「暴力にうったえる人って、俺、嫌い。」
私「おおっ、嫌われたほうがこっちは好都合だ。」
俊顕くん「そうだった、俺は聡一と漫才をしに来たんじゃないんです。ジュンと旅行の打ち合わせをしにきたんですって。」
私「ジュンはちょっと買い物に近所に出かけてるだけだからすぐに戻る。」
俊顕くん「それにしてもひ○さん、帰国だからって、ジュンを呼びださなくてもいいのに。」
私「まあ、ジュンが婚約者を出迎えに行くのは当然かもしれないが、なんで俊顕までついていくんだよ?」
俊顕くん「べつに俺がついていくわけじゃないですよ。俺の婚約者はジュンの婚約者の友達だから、迎えに行くんですって。そんで俺も婚約者に頼まれて、ボディーガードとして一緒に行くことになったんですって。」
私「なんか、俊顕が裏でごちゃごちゃ手を回して、自分の都合のいいように操作したんじゃないのか?」
俊顕くん「なんか、聡一、焦点がぼけてません? ジュンの婚約者のひ○さんを迎えに行くんですよ。俺はいわばおまけでついていくだけで・・・」
私「いいけど、とにかく旅行中は、俊顕は婚約者を第一にするんだぞ。ジュンにあんまりかまうなよ。」
俊顕くん「わかってますよ、いつも婚約者を優先するようにしてますって・・・」
私「俊顕、お前、自分で気が付いてないかもしれないけど、ジュンに話しかけるときだけ声がビミョーに甘ったるくなるからな、それを婚約者に気づかれないほうがいいぞ。」
俊顕くん「わかってますって。それに女の人はそんなことに気づかないですって。」
私「じゃあ、ひ○さんが気づいてるのはどう説明するんだ。」
俊顕くん「げっ、それってマジですか。」
私「そういうところ、俊顕はわかりやすいもんなあ。」
俊顕くん「わかりました、ご指摘ありがとうございます。じゅうぶん気をつけるから・・・」
私「とにかく、俊顕、お前は◎香さんを幸せにしてあげればいいんだからな。お前ならできるだろう、そのくらい・・・」
俊顕くん「それはもう、あったかい家庭をつくっていくつもり。」
私「ジュンのせいで、お前の結婚を破たんさせるようなことがあったら、確実にお前はジュンから嫌われるからな、わかってんだろうな。」
俊顕くん「わかってますって。結婚を破たんさせた経験者の聡一の、ありがたいお言葉、肝に銘じておきます。」
私「ったく、かわいくないやつだなあ、お前は・・・」

その時、ジュンが帰ってきた。

ジュン「なんだ、俊顕、もう来てたんだ。待った?」
俊顕くん「聡一さんにとてもためになるお話聞いてたから・・・」
ジュン「なんかこのところ、俊顕、とうさんとビミョーに仲いいじゃん。」
俊顕くん「ジュンのおとうさんだから、とりあえず気を使ってるだけ。」
私「おお、その言葉、そのまま俊顕に返す。」
ジュン「まあ、ふたりが仲良くしてくれるのは嬉しいけど、オレのとうさん、とらないでね。」
俊顕くん「とるわけないじゃん、俺はいつでもジュンの親友だからね。」

ふたりがテーブルに座って旅行の相談を始めたので、私はキッチンにコーヒーをいれに行った。
私は口の肥えた俊顕が来ているので、新しいコーヒー豆をミルで挽き、コーヒー販売店で教わった通り、手でコーヒーをいれていった。キッチンを、おいしそうなコーヒーの香りが満たしていた。
私はトレイにポットのまま載せて、カップもいいものを準備した。

俊顕くん「なんかすげえいい香りのコーヒー。」
私「一応コーヒー豆屋でおいしい入れ方を教わったからね。いつもはコーヒーメーカーでいれてるけど、とりあえず、チョーオボッチャマくんの俊顕が来たんで、少し見栄を張った。」
俊顕くん「なんか、聡一さん、いちいちとげとげしいこと言ってるけど・・・」
私「なんで、俊顕は正真正銘のオボッチャマくんだろうが。」
ジュン「そうだよね、こんど英国に一緒に行くことになった、◎香さんの妹さんだけどね。」
私「なんだ、俊顕の婚約者はコブ付きで行くのか。」
俊顕くん「俺たちが一緒だと安心だからって、割り込んできた。」
ジュン「その妹さんがね、俊顕を、としあきおにいちゃま、って呼ぶんだよ。」
私「ははは、俊顕、おにいちゃまって呼ばれてんだ。」
俊顕くん「仕方ないでしょ、彼女たちは普通にそう呼ぶんだから・・・」
ジュン「まあ、オレ達とは違う世界だよね。」
俊顕くん「俺んちは、そんなことありませんけどね。」
私「そりゃあ、俊顕に女の兄弟がいないからだろう。」
俊顕くん「ジュンだって、じゅんおにいちゃまって彼女は呼んでるんですからね。」
私「まあまあ、としあきおにいちゃま、ムキになるなよ。」
俊顕くん「もう、聡一さんって、やっぱ性格格悪い・・・」
私「じゃあ、性格悪いんだったら、これからもおにいちゃまと呼んでいいんだな。」
俊顕くん「もう、勝手にしてください。」

ジュンたちの旅行の相談を邪魔しないように、私はベッドルームに行って、ジュンの学習机に座って、パソコンを使った。

夕方が近くになって、私はとりあえず買い物に行くことにして、リビングにいるジュンたちに声をかけた。

私「ちょっと買い物に行ってくる。俊顕、今夜暇だったら、飯食ってく?」
俊顕くん「ホントいいの? 久しぶりに聡一さんの作った食事を食べたいな。」
私「じゃあ、ゆっくりしていけ。じゃあ、ジュン、とうさんはちょっと買い物に行ってくるよ。なんか食べたいものある?」
ジュン「少し涼しくなってきたから、豚汁とかがいいな。」
私「じゃあ、後は適当になんか作ることにしよう。」
ジュン「オレたちも、ずっと座ってて疲れたから、とうさんといっしょに買いものに行こうかな・・・」
俊顕くん「俺も行ってみたい、聡一さんの買いものに。」
私「じゃあ、ふたりとも一緒においで。そのかわり荷物は持ってもらうからね。」
ジュン「今日はなんか重いもの買うの?」
私「お前たちが一緒に来てくれるんだったら、米を買う。」
俊顕くん「おお、スーパーマーケットで買い物するのって、なんか楽しそう。」

私は、長身ですらっとしたイケメンのふたり引き連れて、スーパーマーケットに行った。俊顕くんは珍しそうに店内を眺めていた。

スーパーでの買い物を終えて、ジュンにコメの入ったトートを、俊顕くんにはネギの飛び出たトートを持ってもらった。
モデルのような服を着てかっこいい俊顕くんが、ネギの飛び出たトートを持っている姿はなかなか見ものだった。

俊顕くん「なんか、ジュンのところにお嫁に来て、お舅さんを連れて買い物に来たみたい。」
私「そんなごっつい嫁はないだろう。」
ジュン「でも、俊顕は内面はけっこうオトメンなんだよね。」
俊顕くん「俺、この際、ジュンにお嫁にもらってもらおうかな。」
私「ふたりとも婚約者がいるだろうが、まったく俊顕、ヘンな妄想をするんじゃない。」
ジュン「オレたちが結婚しても、お互い夫婦そろって買い物に来れば、一緒に買い物できるじゃん。」
俊顕くん「そうだね、そうだよ、だから、ジュン、お互いに結婚したら、すぐ近所に住もうね。」
ジュン「俊顕はともかく、オレはそんな高級住宅街には住めないよ。」
俊顕くん「そんなこと言っても、今はマンションもけっこうあるし、普通の住宅街だよ。そうだ、親父に相談してみようっと。」
私「俊顕は結婚しても実家に住むんじゃないのか?」
俊顕くん「親父が、結婚したら独立して暮らしなさいって、言うからね。」
私「じゃあ、俊顕のお世話係はどうなるんだよ。」
俊顕くん「実家がいいんだったらそこでそのまま働いてくれてもいいし、俺のところに来たいんだったら、うちを手伝ってもらってもいいし・・・」
私「でも俊顕夫婦じゃ、お手伝いさんがいないとやってけないだろう。」
俊顕くん「まあ、お手伝いさんなしじゃ、彼女のほうがかわいそうだし・・・ でもそのへんはじゅんところも同じじゃないかな。俺たちの結婚相手はふたりとも似たような環境で育ってるから。」
ジュン「オレのほうは、家事はオレがやるし、とうさんもやってくれるって言ってるから、お手伝いさんなしでもだいじょうぶだよ。」
俊顕くん「ええっ、聡一さんったら、息子の新婚家庭に堂々と同居しちゃうんですか、信じられねえ。お嫁さんに嫌われちゃいますよ。」
ジュン「それは、ちゃんとオレたちふたりで合意ができてるからだいじょうぶ。それにとうさんがいてくれたほうが、安心だってひ○さんも言ってるし。」
俊顕くん「聡一さんてコブ付きの、新婚さん用のマンションをさがさなきゃならないですね・・・ 親父に相談しておきます。」
私「だから、あんまり高いところは無理だからな、それはお父上によく伝えておいてくれよ。」
俊顕くん「俺だって、億ションに最初から住もうなんて思ってませんから。」

私たちは食材等の買い物を済ませて、マンションに戻った。
そして3人でキッチンにくっつくように立って、晩ごはんを作った。俊顕くんも似合わないエプロンを着けて、使いなれない包丁で、必死の形相で野菜を切ってくれた。
そしていつものウチの晩ごはんとなった。

俊顕くん「いいなあ、ジュンは、いつもこんなに聡一さんの愛情の詰まった料理を食べられて・・・」
ジュン「オレの愛情も詰まってるからね。」
俊顕くん「うん、わかってるよ、ジュンが作ってくれたってだけで、おいしく感じるもん。」
私「今の言葉、結婚したら、お嫁さんに言うんだぞ。」
俊顕くん「料理してくれるのかなあ、料理するとしてもこういうお惣菜的なものじゃないだろうからなあ・・・」
私「確かに料理学校とかで教えてくれる料理はみょうに凝ったものが多いからね。」
ジュン「でも、俊顕がおいしいって褒めてくれたら、オレだってうれしから、◎香さんはもっと喜ぶんじゃないかな。」
私「とにかく、俊顕のことは私もジュンも近くで応援してやるから、がんばれよ。」
俊顕くん「どうしたんですか、聡一さん、急にやさしくなって、なんか俺、ちょっと胸キュンした・・・」
私「俊顕、若いのに心臓病なのか?」
俊顕くん「もう、聡一さん、性格悪~、もうキライ。」

楽しい夕食が終わり、俊顕くんは泊まって行きたそうな素振りだったが、それでも明日の朝から用があるということで、しぶしぶ帰っていった。

ジュンと俊顕くんのイングランドへの旅行はもう来週にせまっていた。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

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No title

ジュンくんも、俊顕くんも、新しい生活に踏みだそうとしてるんですね。
密かに応援してます。
聡一さんもジュンくん夫婦と同居ですか。理解のある人たちに囲まれて幸せですね。

Re: No title

たけろー様

まだすぐにというわけではないのですが、遠からずジュンも俊顕くんも結婚するわけです。
ジュンたちと同居できるのは、もちろんうれしいのですが、ちょっと気になることもありますね。
まあ、ジュンたちのしたいようにするのが、私の希望ではあるのですが・・・
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