俊顕くんの秘密の話

ある日の夜、仕事を終わって家に帰る途中で、携帯がブルブルと震えた。見ると珍しく俊顕くんからメールが来ていた。

-金曜の夜、時間あったら会いたいな。聡一の都合はどう?

ちょうど金曜の夜はジュンは仕事関係の飲み会がある予定でいないし、ヒロのほうは仕事で遅くなるということだった。

-夜ならだいじょうぶ、ジュンもヒロも用があって帰りは遅くなるみたい。

-じゃあ、金曜の夜、仕事が終わったら、行くね。

-そんで、メシどうすんだ、ウチで食べる?

-食べたい、いつも聡一がジュンと食べてるようなものがいい。

-それでいいなら、準備しとくよ。なるべく早くおいで、いっしょに食べよう。

-じゃあ、デザートは俺が買っていくからね。

俊顕くんがわざわざジュンのいない時に来るということは、何か私に話があるのだろう。ジュンの話では仕事の方では問題はないらしいので、俊顕くんは何の話があるのだろうかと、私は少し気になった。

そして金曜の夜、私は仕事を定時で終えて、商店街のいきつけのお惣菜屋さんに寄った。少し多めの惣菜を買い込んでマンションに帰った。
そして軽くシャワーを浴びて仕事の疲れを洗い流してから、ご飯を炊き、味噌汁を作った。
ご飯が炊ける頃、俊顕くんがやって来た。

俊顕くん「聡一、久しぶり。」
私「よく来たね、まあ上がれよ。それにしても嫌味なくらいに高級スーツが似合ってるな。」
俊顕くん「うわあ、聡一に褒められちゃった。」
私「褒めることは褒めたけど、嫌味なくらいっていうのが付け加えられてるのを忘れるな。」
俊顕くん「もう、聡一ったら素直じゃないんだから。俺のことをカッコいいって思ったくせに。」
私「自分で言うな、ったく・・・」
俊顕くん「せっかく聡一がカッコいいって褒めてくれたけど、もう仕事じゃないから、スーツ脱いでもいい?」
私「いいぞ、着替えはジュンのを貸してやるから。」
俊顕くん「ホント、それなら洗濯する前のがいいな、ジュンの匂いがするのがいい、パンツなんか特にね。」
私「アホ、お前は変態か、ったく、ジュンのパンツまで貸すわけねえだろうが。」
俊顕くん「もう、しょうがないなあ、洗濯したものでいいから、パンツも貸して。」
私「それにしても今日ウチに来るのがわかってるのに着替えを持ってこなかったのは、ジュンのを借りようとしての確信犯だな。」
俊顕くん「もう聡一は疑り深いんだから。だって会社に着替えなんか持って行けないでしょ。」
私「まあいい、俊顕に貸すぶんにはジュンも嫌がらないだろう。」

俊顕くんに洗濯をしたジュンの普段用のスエットとパンツの中で比較的新しい物を出してやった。俊顕くんはうれしそうに着替えた。

私「ほら、メシにするぞ。」
俊顕くん「なんか手伝うことある?」
私「今日は出来あいの惣菜を買ってきただけだから、手伝うことなんてないよ。まあ手伝ってくれるんだったら、味噌汁をお椀に入れてくれ。」

俊顕くんが危なっかしい手つきで味噌汁をお椀によそうのを見ながら、私はご飯をつけた。

私「ほら、おかずは多めに買ってきたから、たくさん食べろよ。」
俊顕くん「いただきます。なんか聡一の息子になったみたい。」
私「こんなもんでいいんだったら、いつでも食べさせてやるぞ。」
俊顕くん「聡一と食べるからいいんだろうな、ジュンがうらやましい・・・」
私「まったく、人も羨むようないいとこのお坊ちゃまが何を言い出すやら、ないものねだりだな。」
俊顕くん「そうだ、ジュンのお嫁さんになるのはムリだけど、聡一のパートナーになるんだったら可能性はあるじゃん。」
私「俊顕、寝言は寝て言え。」
俊顕くん「聡一も俺もゲイだから、無理なくカップルになれるし、まあちょっと年は離れてるけど、聡一だったら許容範囲だし、それに聡一とカップルになったら、俺はジュンの母親役になれるじゃん、すげえ。」
私「まったく、かってに妄想をふくらませるんじゃないって。」
俊顕くん「聡一、ヒロさんと別れて俺とカップルにならない?」
私「なるわけねえだろうが、まったく・・・」
俊顕くん「それは残念。でも妄想だけど、なんか楽しい。」
私「アホ。」
俊顕くん「なんか聡一としゃべってると楽しいな。」
私「俊顕、なんか話があって来たんだろ?」
俊顕くん「別に深刻な話じゃないから、聡一は安心して。」
私「そうなのか、ちょっと心配してた。」
俊顕くん「ヘンなこと聞くけど、聡一ってさ、ジュンと一年くらい別れて暮らせる?」
私「はあ? 話が見えないんだけど・・・」
俊顕くん「ジュンに一年間、会社からの派遣で外国のビジネススクールに行ってもらいたいんだけど・・・」
私「まだ話がはっきりわからない。」
俊顕くん「会社として未来の人材を育成するために、海外でビジネスを学んでもらうようなプログラムを発足させようって、社長が考えてるらしいんだ。」
私「そうなんだ、それはいいことじゃないかな。」
俊顕くん「そんで、海外に派遣する人を社員の中から選抜することになんだよね。」
私「じゃあ、俊顕が第一号で行けばいいんじゃないのか? そういう選抜をしたら、俊顕がきっと一番だろう。」
俊顕くん「たぶん、試験でもすれば俺が一番になりますよ。でも社長は俺のおやじで、それで俺が最初に試験を通過したら、実力で通過したとしても、ぜったいなんだかんだ言われちゃいますよ。」
私「まあな、そう思われてもしょうがないだろうな。」
俊顕くん「でしょ、だから、俺は第一号はちょっと遠慮して、たぶんジュンは俺に負けない成績を上げると思うんですよ。そうなったらジュンにとりあえず海外研修第一号として行ってもらうことになるけど、一卵性親子の聡一とジュンを裂いちゃうことになるから、どうかなって思って、まずは聡一に相談しようと思って。」
私「そりゃあ、ジュンと一年も離れて暮らすのはさみしいけど、でも海外研修に行けるなんてチャンスをジュンが掴んだら、俺はぜったい賛成するけどね。」
俊顕くん「聡一さんはそう言うと思っていました。問題はジュンのほうが聡一さんと別れたくなくて、海外行きに積極的じゃないってことですよ。」
私「ホントにジュンはそうなのかな?」
俊顕くん「間違いました、ジュンのほうは自分が海外に行くと聡一がさみしがるから行かないでおこうと考えているみたいなんだ。」私「ジュンは優しい子だなあ・・・」
俊顕くん「だから、今回の要点は、ジュンに、自分が一年間海外に行っても聡一さんは大丈夫なんだって思わせなきゃならないんです。」
私「ジュンのことを考えたら、ジュンが心置きなく海外に行く気になるようにしなきゃならないな。」
俊顕くん「おおっ、聡一、俺が思ってたよりずっと大人。」
私「うるせえ、ったく年下のくせに生意気いうんじゃない。」
俊顕くん「いい年してジュンと子離れできてない癖に。」
私「ジュンのためなら子離れだってなんだってしてやる。」
俊顕くん「言いましたね、俺聞きましたよ、ちゃんとジュンが心配なく海外で勉強できるようにしてくださいね。」
私「ああ、わかってるって。」
俊顕くん「まずはジュンに海外で勉強して成果を上げてもらって、そんで次に俺が行かせてもらう、聡一にもジュンにも俺にもいい案でしょう?」
私「すごくうれしい話ではある。でも実際大丈夫だと思うのか?」
俊顕くん「ジュンもけっこうがんばってTOEIC800点以上いってるから問題ないですよ。それに専門知識については俺もジュンの実力はよく知ってるし。」
私「じゃあ、とにかくそういういい話は受けるようにってジュンに言っておくよ。でもいい話を持ってきてくれてありがとう。」
俊顕くん「なんか改めて聡一にお礼を言われると照れちゃうな。じゃあ、聡一、俺にご褒美ちょうだい。」
私「ご褒美ってなんだよ?」
俊顕くん「俺を気持ちよくさせて・・・」
私「ノドのあたりをなでてやればいいのか?」
俊顕くん「もう俺は猫じゃないですって・・・」
私「じゃあ、どこを撫でればいいんだ?」
俊顕くん「もう、わかってるくせに・・・」
私「しょうがねえなあ、でもここじゃダメだぞ、いつジュンが帰ってくるかわからない。」
俊顕くん「じゃあ、手始めにキスだけして。」

私はゆっくりと俊顕くんの顔に近づいて、軽くキスをした。その時俊顕くんの手で抱き寄せられて、今度は俊顕くんから濃厚なキスをされてしまった。

俊顕くん「もう、聡一ったら、勃っちゃってる。」
私「お前、キスうますぎ。」
俊顕くん「俺のキスを気に入っていただいて光栄です。」
私「ばあか、もう離れろ。」
俊顕くん「こんなに固くなってるのにいいのかな?」
私「大人をからかうのもいいかげんにしろ。」
俊顕くん「聡一、けっこうかわいかった。」
私「年下のくせに、生意気いうんじゃない。」
俊顕くん「年上なのにあんまり経験豊かじゃない癖に。」
私「うるせえ、ったく・・・」
俊顕くん「俺もこんなところをジュンに見つかりたくないから、今日はこれでやめるけど、今度はきっちり気持ちよくしてもらうからね。」
私「誰か他のやつに気持よくしてもらえ、セフレはたくさんいるんだろ。」
俊顕くん「なんか聡一、すげえヤキモチ焼いてるみたいだよ。」
私「ばあか、誰がヤキモチなんか焼くか。」
俊顕くん「聡一ってホント面白いよね。」
私「生意気いうんじゃない。」
俊顕くん「イテッ。聡一ったらひでえ、暴力反対。」
私「しつけとして一発叩いただけだ。」
俊顕くん「ジュンのことは叩いたりしないくせに・・・」
私「ジュンはお前と違っていい子だからな。」
俊顕くん「あ~あ、すげえ親バカ。」
私「もう帰れ。」
俊顕くん「なんか聡一、大人げないなあ・・・」
私「ったく、もっと可愛くしろ。」
俊顕くん「じゅうぶん可愛くしてるつもりだけど。」
私「ちっとも可愛く感じないけど。」
俊顕くん「聡一、俺のこと嫌いにならないでね。」
私「なんだよ急に・・・」
俊顕くん「なんか俺、ヘンなこと言っちゃったね、聡一、忘れて。」
私「今ちょっと可愛かった。」
俊顕くん「ふうん、そこが聡一のツボなのか、わかった。」
私「お前なあ、そんなにいろんな情報ばっか集めて分析してないで、もっと自然にした方がいいぞ。」

なんだか俊顕くんのペースに巻き込まれて言葉でじゃれあってしまったみたいだった。

そして10時過ぎにジュンから飲み会が終わったから帰ると電話がかかってきた。
俊顕くんはその夜はジュンに会わないほうがいいと言って帰っていった。

私は今年は少し大きな変化がありそうな感じがしていた。

theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

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今年は大きな変化がありそう

ジュンちゃん、海外で修行ですか。大きな飛躍のチャンスですね。優しいジュンちゃんは、聡一さんのことが気がかりだと思うけど、絶対行かせてあげてくださいね。

すてきだね。

東京は人も豊富、文化も豊か、ゲイライフも豊かですね。

いいなあ!

俊顕君の出来すぎ君ぶりがすごい。

Re: 今年は大きな変化がありそう

たけろー様

なんか私が子離れするチャンスなのかもしれませんね。
ジュンが私から親離れしやすいように、相方のヒロを見つけたのですが、なかなかうまくいかないようです。
せっかくのチャンスですから、ジュンも私もつかむことができるようにがんばらなければならないですね。

Re: すてきだね。

じった様

私としては、その豊かさを受け取っているとは思えないのですが・・・ 東京の片隅で静かに暮らしているだけだと思います。
まあ、俊顕くんのような人に出会えたことは本当に感謝しています。
いつかはきっといいことが巡ってくることがあるのではないでしょうか。

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