しゅん君が新居に来た

日曜日の夜、わたしはヒロのマンションを出て、電車で帰ってきた。
マンションの入口を入ると、ロビーのソファに、イケメンの男の子がポツンと座っていた。
顔をよく見ると、ひ〇さんの弟のしゅん君だった。

しゅん君「おじさん、遅い。」
私「おじさんじゃねえだろうが。」
しゅん君「じゃあ、何て呼べばいいんだよ、兄貴? でも兄貴だと、ジュン兄くらいの年までじゃないとムリがあると思うけど・・・」
私「じゃあ、名前で呼んでいいよ。」
シュン君「じゃあ、お許しがでたし、あらためて、聡一、遅い。」
私「なんで呼び捨てなんだよ。」
シュン君「う~ん、なんとなく。」
私「甘えた声でごまかそうとしてもダメだぞ。」
シュン君「まあまあ、聡一ったら、細かいことにはこだわらないようにしたほうがいいぞ。」
私「とりあえず、部屋に入れ。」

私はシュン君を連れて部屋に入った。シュン君は一度ここに来たことはあったので、ここが珍しいわけでもないだろう。

私「そんで、しゅん、何しに来たんだよ。」
シュン君「何しにって、聡一、しばらく泊めてもらいに。」
私「なんでうちに泊まりたいんだよ。」
シュン君「聡一、やさしいから、なんちゃって。」
私「ったく、ふざけるんじゃないって。」
シュン君「ホントは、姉貴が出戻ってきてるから、もううるさくてやってられないんだ。せっかくジュン兄が引き受けてくれたのに、すぐに帰ってきちゃうんだもん。」
私「まあ、俺にも姉がいるから、その気持ちはわからないでもないけどね、でも妊娠してるんだからしょうがないだろう・・・」
シュン君「とにかく、前よりもいちいち口を出してくるから、俺、限界。」
私「でも、それはしゅんへの愛情があるからだろうが。」
シュン君「そんな愛情、いらねえし。もうおふくろだけでもうるさいのに、さらにうるさくなった姉貴が加わって、すげえんだよ。俺ももう子供じゃねえんだから、いちいち口出ししてくるなよなって言いたい。」
私「でも、しゅんって、けっこう年下男キャラだから、世話をやきたくなるんだろうな。」
シュン君「そうか、俺がかわいすぎるからいけないんだね。」
私「ばあか、しゅんも社会人だろうが。まあ、まだまだかわいいけどね・・・」
シュン君「だから、しばらく泊めて。」
私「しょうがないなあ、ひ〇さんの部屋があいてるから、そこを使え。弟なんだから、ひ〇さんのベッドを使ってもだいじょうぶだろう。」
シュン君「聡一のベッドは俺の入るスペースないの?」
私「ないよ、ジュンがいっしょに寝てるからね。」
シュン君「げっ、マジっ! 近親相姦?」
私「怒るぞ、ったく、いっしょに寝るだけだ。」
シュン君「俺なんか、親父といっしょに寝たことなんかないぞ。」
私「そちらのお父さんはけっこう厳しい人だからね。」
シュン君「でも、親父ってなにげにお姉ちゃんにはあまいんだよね・・・」
私「ったく、父親にかまってもらえなくてスネる年でもないだろうが。」
シュン君「スネてなんかねえよ。」
私「とにかく、今夜は泊まっていいから、そのことを家に連絡しておけよな。」
シュン君「俺は女子じゃねえっつうの。社会人の息子がしばらく家に帰らなくても、親はさわいだりしないよ。」
私「いいから、電話しろ。しなかったら、追い出すからな。」
シュン君「聡一って、けっこう鬼畜。俺みたいな美少年をこんな夜遅くに外に追い出したらどうなるかわかってるの。」

そこにジュンが帰ってきた。シュン君がいるので驚いていた。

ジュン「あれっ、しゅん、うちにいたんだ。お母さんたち、心配してたぞ、昨夜も帰らなかったし。」
しゅん君「ジュン兄、俺、しばらくここに泊めてもらうから。」
ジュン「ひ〇やお母さんはそれを知ってるの?」
しゅん君「まだ知らねえ、これから電話する。」
ジュン「じゃあ、ちょうどいいや、オレ、ひ〇に無事戻ったって電話するから。」
しゅん君「じゃあ、ジュン兄、お姉ちゃんに言っといてくれる。」
ジュン「ダメ、オレの用事がすんだら、しゅんに代わるから、ちゃんと自分で言いなさい。」
しゅん君「ジュン兄は、以前はもっと俺にやさしかったのに、最近はお姉ちゃんの悪影響で、あんまやさしくなくなった・・・」
ジュン「しゅん、甘えた声を出してもダメだからな。」

その場でジュンがひ〇さんに電話して、無事マンションに戻ったと報告していた。
その後、電話がシュン君に渡されて、シュン君はしぶしぶここに泊まるということを告げていた。
最後に、電話はわたしに回されて、ひ〇さんからは、バカな弟のお世話をお願いします、と頼まれてしまった。

ジュン「よしっ、しゅん、ちゃんと許可は取ったみたいだから、泊まっていいぞ。」
しゅん君「もうジュン兄ったら、兄貴ぶっちゃって。」
ジュン「でも、できの悪い子ほどかわいいって、ホントだったんだね。」
しゅん君「ジュン兄、まさかそれは俺のことを言ってんじゃないんだろうな。」
ジュン「だから、かわいい弟ができてうれしいって言ったんだぜ。」
しゅん君「ならいいけど。それから、聡一、電話でお姉ちゃんになんて言われたんだよ。」
私「バカな弟がお世話かけてすみません。」
しゅん君「ったく、姉貴の奴、許さねえ、俺よりちょっと早く生まれただけなのに、威張りやがって・・・」
私「お姉ちゃんって、そういうもんだよ。しゅんの怒りはよくわかるけどね。」
ジュン「でも、オレは一人っ子だから、兄弟がいるってうらやましいよ。まあ、ひ〇と結婚して、お兄さんやしゅんみたいな弟ができたからね、オレはすげえうれしいんだ。」
しゅん君「あんな横暴な兄貴でも、できてうれしいのか、ジュン兄は・・・」
ジュン「お兄さんにはよくしてもらってるよ。」
しゅん君「最初だけだよ、兄貴は外面がいいからね、そのうち本性が現れるよ。」
私「そんで、しゅん、晩飯は食ってるのか?」
しゅん君「金曜の夜から、直のところに泊めてもらってて、今日は直と遅い昼を食べたけど、まだ夕飯は食ってねえよ。」
私「ジュンは?」
ジュン「俺はあっちで早めの夕食を動けなくなるくらいまで食ってきたから、まだお腹いっぱいだよ。」
私「とうさんもヒロのところで早い夕飯食べてきたからなあ。」
ジュン「しかたないな、とうさん、なんか野菜とか残ってる?」
私「ああ、ネギとかキャベツくらいなら、冷蔵庫のあるだろう。」
ジュン「じゃあ、しょうがねえなあ、しゅんに残り野菜のひとり鍋を作ってやるよ。」
しゅん君「ジュン兄、やさしい、だから俺好き。」

ジュンは冷蔵庫の残っていた野菜と、冷凍してある鶏肉、シイタケ、油揚げを使って、ひとり分の鍋を手早く作った。

ジュン「ほら、しゅん、食え。」
しゅん君「ジュン兄、女子力すげえ高い、俺の嫁にしたかった。」
ジュン「ばあか、それを言うなら、しゅんのほうが嫁だろうが。」
しゅん君「それでもいいぞ、貰ってくれるならいつでもなるよ。」
ジュン「やだよ、オレにはいい嫁がすでにいるからね。」
しゅん君「お姉ちゃんだって、今は猫被ってるけど、すぐに本性を出すぞ。」
ジュン「それはしゅんの被害妄想だよ。」
しゅん君「ジュン兄は、お姉ちゃんの本当の姿をまだ知らないだけだって。」
ジュン「とうさんは、おばさんのこと、どう思ってたの?」
私「そうだな、若い頃は姉ってうるさいだけだと思ってたよ、だからしゅん君の気持ちもわからないでもないよ。」
しゅん君「ほおら、どこだって姉貴っていうのは横暴なものなんだよ。」
私「でも、今はそうは思わないよ、姉がいて良かったって思ってる。」
しゅん君「とにかく、しばらくここにいさせてよ。」
私「でも、明日から仕事だろうが、スーツとかどうするんだよ?」
しゅん君「とりあえず、会社のロッカーにはスーツが一着入ってるからだいじょうぶ。」
私「じゃあ、当面は仕事に支障はないんだな。」
しゅん君「何とかなるって。」

しゅん君の食事が終わって、かたずけ終わると、わたしとジュンはとりあえず、弾きなれたヴァイオリンソナタを演奏した。
わたしたちが弾いているあいだ、ピアノはリビングにあるので、横のソファに座ってしゅん君はタブレットを難しい顔をして使っていたようだった。
一時間くらいいっしょに弾いて、わたしたちは練習を終えた。

しゅん君「このリビングって、24時間ピアノ弾けるの?」
ジュン「いちおう、防音になってるけど、まあ夜11時過ぎたら弾かないようにしてる。」
しゅん君「ジュン兄ってすげな、ピアノ、ハンパなくうまいし・・・」
ジュン「まあ、音高をいちおう出てるしね。」
しゅん君「聡一も音高でヴァイオリンやってたの?」」
私「学校は普通校だよ。まあ母親が音楽教師だったから、その影響かな。」
ジュン「しゅんだって吹奏やってたんだろう?」
しゅん君「高校までは部活でやってたけど、あんま好きじゃない。」
ジュン「ひ〇も吹奏やってたんだよね。」
しゅん君「お姉ちゃんは、マーチングバンドだった。」
私「じゃあ、ふたりとも楽器はできるんじゃん。」
しゅん君「クラリネットなんてもう何年も吹いてないから、忘れた。」

その後、順番に風呂に入り、しゅん君にはジュンのスエット上下とパンツを貸してあげた。

私「明日は、みんな仕事なんだから、そろそろ寝よう。」
しゅん君「じゃあ、俺、お姉ちゃんの部屋、借りるね。」
ジュン「寒かったら、エアコン強くしてね。」
私「ちゃんと寝る前にオシッコするんだぞ。」
しゅん君「子ども扱いすんな、ったく。」
ジュン「まあ、寝る前のあいさつみたいなもんだよ。」

そして私はジュンといっしょにベッドの入った。
ジュンに子供ができるまでは、前とそれほど変わらない生活が続くだろう。
それまでは、ジュンとの生活を満喫することにしようとわたしは思った。

翌朝は月曜なので、しゅん君を含めて全員仕事なので、早起きをした。
朝食を作り終えて、しゅん君をジュンが起こしに行くと、しゅん君は寝起きのものすごい姿で現れた。

私「やれやれ、しゅん、すごい寝起きだな、昼間のあのイケメンはどこにいったんだ、ったく・・・」
しゅん君「だって、眠いのにジュン兄が無理やり起こすんだもん・・・」
ジュン「ったく、しゅんは手のかかるやつだな、どうせ起きなきゃならないんだから、グズグズするんじゃないって。」
私「ほら、しゅん、さっとシャワーを浴びておいで。」

しばらくしてシャワーを浴び、身支度を整えたしゅん君は見違えるようなイケメンになっていた。

私「おおっ、しゅん、すげえよくなった、さっきのぼろぼろの寝起きの姿がウソみたいだ。」
しゅん君「こっちが本来の俺なの。」
ジュン「ほら、朝ご飯、食べなさい。」
しゅん君「すげえ、これ、ジュン兄が作ったの?」
ジュン「とうさんとふたりで作ったんだよ、それほど手の込んだものはないから、すぐできちゃうよ。」
私「たくさん食べるんだぞ。」
しゅん君「だから、俺は子供じゃねえっつうの。」

と言いながらも、しゅん君はけっこうたくさん食べてくれた。
そしてわたしたちは3人そろってマンションを出て、駅まで歩いて行った。
電車に乗って、5分ほどの駅でわたしは降りて乗り換えることになる。ジュンとしゅん君はそのまま地下鉄に乗り入れる電車に乗っていった。
さらにわたしは電車を二本乗り継いで、以前のマンションの最寄り駅で降りた。

新しい一週間が始まった。




theme : 男同士の恋愛
genre : 恋愛

tag : ゲイの父親

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若いイケメンに囲まれてますね。
うらやましいです。

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Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。

なんか息子がもう一人増えたような感じですね。
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